日本国内の主要百貨店5社(三越伊勢丹HD、高島屋、J.フロント リテイリング、そごう・西武、エイチ・ツー・オー リテイリング)の月次既存店売上をレポート。各社の主要店舗で売れた商品もあわせて紹介する。
2022年5月度は引き続きラグジュアリー商品が好調。3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィーク期間中の消費の後押しもあり、コロナ前の実績を超える店舗が増えてきた。
※売上増減率は各社いずれも速報値を参照
※売上は収益認識基準ではなく従来の総売上高で開示
目次
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三越伊勢丹HD:64.3%増
◇基幹店では宝飾などの売上がコロナ前水準比でも2桁増
前年の休業反動の影響で、前年同月比で売上2倍となった首都圏の三越伊勢丹を中心に業績をけん引。グループ百貨店事業会社を含む国内百貨店合計売上は前年比64.3%増となった。
伊勢丹新宿本店が前月に引き続きコロナ前の実績を高水準で上回ったほか、札幌丸井三越や松山三越、岩田屋三越などグループ百貨店事業会社による国内グループ百貨店計の売上が4ヶ月ぶりに2桁増(27.7%増)となるなど復調傾向が伺えた。最も伸び率が高かったのは三越銀座店で前年同月比134.4%増、グループ百貨店事業会社では岩田屋三越が46.0%増と高水準で推移した。免税売上は三越伊勢丹の合計、国内百貨店の合計ともに前年実績を上回った。
伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の基幹店では引き続きラグジュアリーブランド等の高付加価値な商品の動きが良く、宝飾や時計、ハンドバッグ、財布はコロナ前水準比でも2桁増となった。外出機会の増加から、夏物衣料や服飾雑貨も好調だったという。
■伊勢丹新宿本店で売れたもの:ブランのサングラス
行動制限が緩やかになってきたこともあり外出に対する気分の高まりが見られ、気温の高まりとともにサングラスの需要が増えました。5月にバリエーションを最大化して開催したアイウェアブランド「ブラン(BLANC)」のイベントでは、紫外線量によってレンズのカラーが変わる調光レンズの反応が特に良かったです。室内外での掛け外しが不要な2wayなので、室内でもファッションとしてかけられることが◎。また、夏らしいシャンパンカラーのフレームが好調で、ラベンダーやレモネードといったポップなカラーのアイテムもファッション感度の高いお客さまを中心に、今まで以上に注目を集めました。(伊勢丹新宿店 リ・スタイル バイヤー 神谷将太)
ブランのイベントより
高島屋:63.3%増
◇免税を除いた店頭売上はコロナ前の実績超え
一部店舗における生活必需品売場を除いて休業を余儀なくされた前年度の反動や外出機会の増加などの背景から、店頭売上は前年同月比63.3%増と伸長。免税売上は2倍以上で推移した。免税を含む店頭売上、免税売上はいずれもコロナ前の2019年実績には届いていないが、免税を除いた店頭売上は2019年比0.1%増となった。
店舗別売上においても全店で前年実績を上回り、高額品が引き続き好調だったという。
※前年度の店舗別休業日数(生活必需品売場を除く)
大阪店、堺店、泉北店、日本橋店、新宿店、玉川店、立川店:各31日間
京都店:17日間
岡山店:5日間
■高島屋新宿店で売れたもの:「パーリーゲイツ」「アルチビオ」などゴルフ関連商品
開放的に楽しめるスポーツとして新たにゴルフを始める若い世代の増加や、カジュアルファッションとしてのゴルフウェアが注目される中、今春拡大リニューアルオープンし関東地区の百貨店最大級の面積となったゴルフ売場(ゴルフ用品+ゴルフウェア)の売上が好調です。広くなった売場には、海外の25ヶ所の有名ゴルフコースのシミュレーションゴルフが楽しめる試打室2ヶ所と、約40平方メートルの広さを有するパターエリアも新設。ショッピングの途中で気軽にお立ち寄りいただけるスペースを作りました。ゴルフウェアでは特に「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」と「アルチビオ(archivio)」が人気です。
また、高島屋新宿店では今年3月に地域最大級のアウトドアゾーンと乗馬サロンを新たに導入した8階スポーツ・メゾンが誕生。この9階ゴルフ・メゾンと8階スポーツ・メゾンのうち、アウトドア系ブランドの売上を合わせると、2019年同月比で85%増となっております。(高島屋新宿店 広報担当者)
パーリーゲイツの売り場
Image by: 高島屋新宿店
アルチビオの売り場
Image by: 高島屋新宿店
(左から)パーリーゲイツ、アルチビオの売場より
大丸松坂屋百貨店:86.2%増
◇GW帰省土産で食料品も好調
前年の臨時休業の反動や入店客数の回復により、大丸松坂屋百貨店の既存店売上は86.2%増となり前年実績を大きく上回った。免税売上高は前年から225.6%増と大幅復調。客数でみても同214.6%増と回復傾向が伺えた。客単価は同3.5%増。
商品別では、ラグジュアリーブランドや美術・宝飾品が好調だったほか、ゴールデンウィークの帰省土産を中心に食料品も売上を伸ばした。
※免税売上高の実績に大丸心斎橋店の定期賃貸借テナントの免税売上は含まない
そごう・西武:33.6%増
◇西武池袋本店でコロナ前実績超え
そごう・西武全10店の合計売上高は前年同月比33.6%増で、8ヶ月連続で伸長。2019年同月比では4.4%減だが、コロナ前の実績に着実に近づいている。西武池袋本店は前年同月比83.7%増、2019年同月比では0.7%増とコロナ前の実績を上回った。
全商品カテゴリーで前年売上を大きく超え、高級雑貨は前年比約85%増、プレステージブランドは約55%増と引き続き好調。衣料品も外出機会の増加を受け、約50%増とコロナ前の売上水準まで復調した。
■西武池袋本店で売れたもの:カラフルなブラウスやスカート
3年ぶりに行動制限のないゴールデンウイークという事で人と会う機会が増え、ブラウス・スカートなどお出かけ着が好調に推移しました。
昨年まではベーシックカラーを中心に買い足し需要が目立ちましたが、今年は対面の機会の増加ということで見映えのする、タンス在庫に無いカラフルなアイテムが人気でクローゼットに色が集まりました。
また、店頭では「見た目も華やかに映える夏のファッションアイテム」を提案し、インスタグラマーを起用したスタイリングムービーも公開。その結果、動画の再生回数は13万回を超え、ブラウス・スカートの全店の売上高は前年比約50%伸長しました(※池袋本店のみの数字は非開示)。(リーシング本部商品計画部 MD担当 小俣桃子)
阪急阪神百貨店:199.8%増
◇GW商戦、阪急・阪神両本店ではコロナ前の水準まで回復
前年の営業制限の反動で売上高は約3倍と大幅増。特に阪急・阪神両本店で若年層やファミリー層を中心に賑わいを見せ、キャリーケースを持参する来店客も多かったという。4月末以降のゴールデンウィークにあたる10日間の売上高は2019年並みの水準まで回復。インバウンドを除く国内売上高は、2019年対比で4%増と実績を上回った。阪神梅田本店については、売上高・国内売上高ともに2割近く伸長したという。
■阪急うめだ本店で売れたもの:気温上昇でブラウスやサンダルが好調
気温の上昇に伴い、ブラウスが2019年対比で売上が1割増と順調な動きを見せています。また、夏のお出掛けの見通しがつき、サンダルも先行的に買われる傾向がありました。ラグジュアリーの分野でも気温上昇に合わせてアクセサリーが好調でした。(阪急阪神百貨店 担当者)
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