Lifestyle インタビュー・対談

ニッチフレグランス界率いる「ディプティック」人気の裏にあるブランド哲学とは?

ミリアム・バドー氏
Image by: FASHIONSNAP.COM

 シックなボトルデザインに、思い出を呼び起こす香り。ニッチフレグランス界を代表するブランドとして支持を集める「ディプティック(diptyque)」が次に着手するのは、ブランドの原点でもあるインテリア。新作コレクション「Raw Materials in Colors」の発売に合わせて来日したプロダクトデザイナーおよびマーケティングディレクターを務めるミリアム・バドー(Myriam Badault)に、「ディプティック」の成功の背景にある哲学と展望について聞いた。

ミリアム・バドー(Myriam Badault)
「パルファム・ジャン・パトゥ(Parfums Jean Patou)」や「アニック・グタール(Annick Goutal)」「ロシャス(ROCHAS)」で経験を積み、2006年に「ディプティック」に入社。プロダクトデザイナーおよびマーケティング ディレクターを務めている。


― 数々のフレグランスブランドでキャリアを積んだミリアムさんが考える「ディプティック」ならではの強みとは何でしょうか?

 他のフレグランスメゾンとの一番大きな違いは、調香師ではなく、3人のアーティストによって創業されたことだと思います。画家と劇場監督、そしてインテリアデザイナーが始めたブランドで、創業当時はインテリア雑貨を展開していて、やがてキャンドルなどフレグランスアイテムが人気を集めるようになりました。様々なカルチャーに精通した3人によって作られたクリエイティブな世界観は、1961年にパリのサンジェルマンに最初のブティックをオープンした時から新鮮だとパリで注目を集めました。

パリのサンジェルマン大通り34番地にオープンしたブティック。このショップにある2つのウィンドウが、二つ折りの絵屏風(ディプティック)のようだったことがブランド名の由来となった。

― 「ディプティック」のブランドフィロソフィーは?

 自分の表現を自分で作り上げる「自由」を顧客に提案することです。コードに従わず自由を追求するというのは「ディプティック」の調香において重要な考えで、製品作りにもつながっています。例えば、昔は「この材料は香水に適していない」「この香りは社会的に受け入れられない」など決まりごとが沢山ありましたが、「ディプティック」ではそういった常識にとらわれない香り作りに励んできました。

 1968年に誕生した香水「ロー(L'EAU)」はそれを象徴するようなアイテムです。当時はいわゆる香水は全てオードトワレと呼ばれていたんですが、「ロー(フランス語で"水"の意)」と名付けたことで男女どちらに向けたものなのかを曖昧にし、ユニセックスで使われるようになりました。一般的な考えを排除して、自分で自分の表現を作っていくという姿勢が、「ロー」の誕生した背景にあると思います。

―「ディプティック」といえばオーバル型のボトルデザインがアイコニックです。

 このデザインは、創業した1960年代からあるものなんです。「ディプティック」はもともとインテリア雑貨を扱う店として創業しましたが、ギリシャ神話の世界観を創業者が気に入っていたため、当時取り扱っていた布のデザインに昔ながらのシールド(盾)のモチーフがあったんです。このオーバル型はそのデザインから着想を得たもので、シールドの表には躍るレタリングで描かれた香りの名前、裏には香りのストーリーを描いたイラストがあしらわれています。

― 「ディプティック」の香りを多くの人がパーソナルに感じるのはなぜだと考えますか?

 一般的なフレグランスは、セクシー、ロマンティックなど、周りの人に何らかの印象を与える香りを提案している事が多いですが、「ディプティック」では、その人自身が自分の肌に香りをのせた時に感情や思い出を蘇らせることを目指しています。例えば、旅先の香りだったり、料理をしている時の香り、お花の香り。そういったパーソナルな記憶や瞬間を蘇らせる香りが、ファンが共感できるポイントになっているのかと考えています。

― ミリアムさん自身が「ディプティック」で愛用している製品は?

 香水だと「フルール ドゥ ポー(FLEUR DE PEAU)」が一番のお気に入り。エレガントな香りでムスクが入っているんですが、とても軽く身につけやすいので気に入っています。インテリアの香りだと、「ル ルドゥテ(LE REDOUTÉ)」。イギリスのポプリの香りを再現したものですね。

― 1961年の創業から半世紀以上が経ちますが、今はブランドにとってどういう時期でしょうか?

 20世紀はパリが中心でしたが、2000年頃から海外展開にも注力し始めました。フレグランス業界自体がパワフルになっている今、「ディプティック」のDNAを改めて認識するタイミングだと解釈しています。そのきっかけとして、ブランドの原点でもあるインテリアのコレクションを9月に発売する予定です。

― インテリアコレクションの詳細について教えてください。

 もともと、約4年前から限られたブティックのみで展開しているコレクション「34」では、セラミックやガラスのデコレーション商品も一部含まれていたんです。しかし、今年の9月から展開するインテリアコレクションは、「34」よりも幅広いカテゴリのアイテムが揃います。様々なアーティストとのコラボレーションをはじめ、アンティークのアイテムを再現したり、アンティークをベースに作り上げる一点物のアイテムも展開する予定です。商品例としては、ガラスのアイテムだったり、パジャマ、小さなポシェットなど...。旅をテーマにしたアイテムも多く揃います。9月から12月までのパリを始めとし、ポップアップストア限定で様々な国を旅する予定です。

― 「ディプティック」の今後の展望は?

 今後はライフスタイルブランドとしての展開になっていくと思います。香りとインテリアをあわせて、「ディプティック」の提案するライフスタイルをより体感してもらえると嬉しいです。「ディプティック」の商品を生活の様々なシーンで使ってもらうことで、みなさんが心のどこかにしまっていた思い出を蘇らせられたら、という気持ちでブランドを展開していきたいですね。

(聞き手:谷桃子)

■ディプティック フレグランス ポップアップストア
期間:2019年6月27日(木)〜7月16日(火)
場所:表参道ヒルズ 西館1階 表参道 R-STUDIO
時間:11:00〜21:00(最終日は18:00まで)
公式サイト

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング