ダブレット 2021年春夏コレクションムービーより
ダブレット 2021年春夏コレクションムービーより
Image by: doublet

Fashion 注目コレクション

「ダブレット(doublet)」が21SSをムービーで発表、なんでもない日をハッピーにする贈り物を描く

ダブレット 2021年春夏コレクションムービーより
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 「ダブレット(doublet)」が、2021年春夏コレクションをフランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会(Federation de la Haute Couture et de la Mode)が運営するデジタルプラットフォームで発表した。新作は約10分のムービーで披露。ユーモラスなストーリーは、デザイナー井野将之が自粛期間に感じたことがアイデア源だいう。タイトルは「A VERY MERRY UNBIRTHDAY FOR YOU (なんでもない日、おめでとう)」。

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 ダブレットは前回の2020-21年秋冬コレクションと同様、パリでプレゼンテーション形式での発表を予定していたが、新型コロナ感染拡大の影響で取り止め。一時は発表すらできないのではないかとも考えたそうだが、協会がデジタルファッションウィークの開催を決定したことを受けてムービーでのコレクション発表を決めたという。

 「デジタルで、と発表があった時単純に面白いなと感じました。これまでのファッションの定石とされてきたランウェイではない方法で、新しさを追求できるんじゃないかと感じたというか」(井野)

 ダブレットはこれまでも動画のクリエイティブを数多く制作してきた。芸能人の謝罪会見を連想させるウィットに富んだもの、ホラー要素を盛り込んだちょっとドキッとするものなど、いずれもコレクションのイメージを動画で表現したショートムービーだったため、約10分という長尺動画を制作するのは初の試みだった。

 「今回はカット数が多くて本当に大変で(笑)。これまでは1時間くらいで動画撮影をやってきたんですが、今回は丸2日かかりました。撮影終わりは正直キツかったなという感想でしたが、でも編集後にはまたやりたいなと思えて。ショーの時もそうなんですが、本当に不思議ですよね(笑)」

 7月11日18時30分(日本時間)に公開された動画は、かぎ針編みのニットでできたクマが、様々な人にプレゼントを渡していくというストーリー。プレゼントが人を幸せにしていく様子を、コミカルとシリアスを織り交ぜて表現している。

 「自粛期間中に気づくことも多かったんです。妻の誕生日があり、これまでなら外食して何かものを買ってプレゼントをしていたんですが、買い物にも外食にも行けないので、人生で初めて手作りのケーキを作ってプレゼントしました。それを妻は本当に美味しそうに食べてくれて。その時に、想いを込めることが出来る贈り物って素晴らしいなと思ったんです」

 2021年春夏コレクションは、不思議の国のアリスに登場する1節「A VERY MERRY UNBIRTHDAY FOR YOU」をテーマに設定し、「祝い」が一つの軸になって作られている。中でもそのテーマを色濃く反映したのが、装飾されたリボンを用いてボックスをラッピングができるテーラードジャケットやコートだ。ただこのアイデアを思いついたとき、井野は「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の2009年春夏コレクション「◯△□」に発想が似てしまっていると思ったという。律儀な井野は親交のある森永邦彦に、このデザインを採用することをどう思うかと連絡を入れたそうだ。

 「森永さんに話したら何も問題ないと言ってもらえて。そればかりか、良かったら参考にしてくださいとパターンなどの資料を提供してもらえたんですよね。コラボレーションではないとしても、結果的に新しいリレーションシップの形になったというか」

2009年春夏「◯△□」※AT TOKYO限定アイテム ©FASHIONSNAP.COM

 このほかには、パールの玉ボタンで作られたウエディングリングがあしらわれたパンツ、パッカブルになったラッピング柄のパジャマなど、ダブレットらしいウイットに飛んだアイデアが随所に散りばめられている。

 コレクション全体ではリボンのディティールが多い。その理由は、関係性の中で生まれてくる"楽"や"面白い"の追求を目指すダブレットのアイデンティティからきている。

 「リボンは好き嫌いが分かれる物だと思いますが、それでもラッピングされたプレゼントについたリボンはみんな好きなはず。その瞬間は誰しもハッピーだと思うんです。誰でも楽しめるディティールの一つがリボンなのではないかと考え、コレクションに多用しました」

 ムービーのエンドロールの最後は、「暑っ」と一言漏らしながらクマの着ぐるみを脱ぐ井野の姿が映し出されている(井野とダブレットを良く知る人は、恐らく最初から正体に気づいていただろう)。デジタルというパリコレの新たなプラットフォームで多くのブランドが試行錯誤しているが、ダブレットの"楽しい表現を"という軸はブレることがなかった。

doublet 2021年春夏コレクションムービー

PARIS FASHION WEEK 公式サイト 動画掲載ページ

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