Fashion なぜ若者がファッション業界を目指さなくなったのか

【連載】「なぜ若者がファッション業界を目指さなくなったのか」VOL7:READY TO FASHION 石川義朗

―本連載も今回で7回目なのですが「卒業後ファッション業界に進みますか?」と聞くとほとんどの学生は「進まない」という回答でした。「学生と企業を繋げる」をコンセプトに活動されていますが、これまでの活動を通して見えてきた業界の問題点は?

 企業側は、学生に対するアプローチがもっと必要だと感じました。就活時期になってから就職サイトから応募して、企業と学生のやりとりが始まった段階からのコミュニケーションしか取れていないので、もっと早い段階から業界の面白さや魅力を企業の方からアプローチする機会があったらいいと思います。実際に学生は、どんな職種があるかも知らないことが多いので。服だけではなく「お洒落でかっこいい」というものを総じて「ファッション」と捉えるなら、その道に進む人は少なくないと思っています。雑誌が売れないと言われている中でも、出版社に進んで雑誌を作りたいという学生は多くいますから。

―服以外のものも含めて捉えると、ファッションが好きで志す若者は減っていないということでしょうか。

 はい。でも販売員になる若者は減っていくかもしれませんね。服が売れなくなっていることや、オンラインを含めて販路が変化している現状もあると思います。それから、次のキャリアが見えないことも気になります。例えば、販売員を何年か経験したらマネージャーやバイヤーへの道があるのかどうか。実際には個人のセンスや努力次第だと思いますが、このスキルがあればここまでキャリアアップできるということが見えにくいなと。企業側から、ファッション業界でこんなことが出来る、こんなキャリアがあるということを示せたら、もっと人材を集められるのではないでしょうか。

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―若者にアプローチできていると思う企業はありますか?

 「STUDIOUS(現・TOKYO BASE)」のEC事業で半年から1年間スタッフをやっていたことがあるのですが、そこはリクルートのアピールの仕方が面白いなと思いました。販売員の賃金向上を謳っているだけあって、初任給も平均より高い。そういった新しい考え方や取り組みに興味を持つ人は多いと思います。

―「READY TO FASHION」で学生と企業を繋げる活動を行う中で、課題に思うことはありますか?

 学生も企業も、就職活動や採用に時間を割くことへの理解が少ないと感じました。多くの学生が4年生になる前の就活をする段階でしか自分の将来を明確に考えないですし、企業側も3年生の終わりの学生にしかアプローチをしていない。1〜2年生に対しても企業の魅力を伝えることは、課題のひとつだと思います。

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―「READY TO FASHION」が株式会社として来年3月から開始する新サービスはどのようなものですか?

 ファッション業界と若者が繋がるための、SNSのようなサービスを開発しており、企業は自社の魅力や、業界の役割、求めている人を投稿できます。投稿は「作る」「売る」「広げる」といった3つの軸を考えていて、「作る」は紡績や染色、加工といった工場、「売る」は販売員やMD、プレス担当(広報)など、「広げる」はメディアやファッションテック等ですね。今までだと「売る」「広げる」といった生活に近い企業の露出が多かったのを「作る」まで取り込むことで、求職者がそのページを見ればファッション業界全体の構造が分かるようにします。このサービスでは最安で0円から投稿して、若者と繋がることができるようにする予定です。小さな工場や若手ブランドが求人に手を出せないのは、ITリテラシーの問題とお金の問題もあるので、まずは求人のコストの問題をクリアして、僕達で使い方を説明して使いやすくしていこうと考えています。

―ファッション業界を目指す若者が少ない中、学生と企業との接点を作ることで業界の将来に繋げたいと思う情熱はどこからくるのでしょうか?

 ファッションが好きということが1番の理由ですね。事業を始めようと思うなら、自分の好きなことから攻めていく方が良いと思っているので。本当は、ビジネスとしては元気な業界に乗っかった方が儲かるかもしれないですが(笑)。

―最後に一言お願いします。

 ファッションをみんなが楽しんでくれたら良いなと思います。

READY TO FASHION

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【連載】「なぜ若者がファッション業界を目指さなくなったのか」
VOL1:早大繊維研究会代表 中林龍平
VOL2:ADDmagazine代表 藤田海斗
VOL3:慶應義塾大学 「Keio Fashion Creator」代表 橋爪彩夏・篠崎莉奈
VOL4:東京大学「fab」代表 横山由佳・吉備悠理
VOL5:立教大学服飾デザイン研究会代表 上山隼人
VOL6:Uni-Share代表 干場清裕
VOL7:READY TO FASHION 石川義朗

(聞き手:西本梨歩)

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