
Image by: foufou

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「健康的な消費のために」というブランドコンセプトを掲げ、SNSを起点に熱狂的な支持を集めてきたファッションD2Cブランド「フーフー(foufou)」。2023年8月にライフカルチャープラットフォーム「北欧、 暮らしの道具店」を展開するクラシコムへの傘下入りを果たしてから2年が経過し、ブランドは今、新たなフェーズへと足を踏み入れている。
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その歩みを象徴するのが、直近の2026年7月期第1四半期で記録した売上高1億1527万円、前年同期比で174.2%増という業績の驚異的な伸びだ。EBITDAも黒字化を果たし、まさに“攻めの経営”フェーズに突入した同ブランド。一時は大幅な減収を余儀なくされながらも、なぜこれほどの急成長を遂げられたのか。その背景には、「会社としての健やかさ」を追求した徹底的な内部改革と、創業以来掲げてきた「すこやかさ」の定義のアップデートがあった。
”攻めのための守り”に徹した2年間 2.7倍成長を導いた「会社化」のプロセス
フーフーは、店舗を持たないD2C業態のファッションブランドとして、デザイナーのマール・コウサカ氏が文化服装学院在学中の2016年にスタート。「健康的な消費のために」というコンセプトを掲げ、流行に左右されないタイムレスなデザインと、人気商品は再販売を繰り返すといった効率的なマーチャンダイジングを特徴とする。定期的に行うインスタライブや、全国各地で開催する「試着会」など、ユニークな訴求・販売方法を通して顧客との強いエンゲージメントを築き、購入・リピート化に繋げるという独自のビジネスモデルを展開してきた。
デザイナーのハンドメイドから始まった同ブランドは、縫製職⼈とのマッチングプラットフォーム「ヌッテ(nutte)」などを運営するステイト・オブ・マインドとの協業期を経て、2023年8月に法人化しクラシコムグループにジョイン。傘下入り1期目となる2024年7月期通期の売上高は3億3535万円を記録するも、2期目は32.1%減と大きく減収する結果に。しかし、この足踏みは「成長のための準備の期間」だったと、フーフーの創業デザイナーであり代表取締役のマール・コウサカ氏は振り返る。

マール・コウサカ氏
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同氏がまず最初に取り組んだのは、属人的な運営から脱却し「会社化」を進めることだ。具体的には、在庫管理や発注管理システムの自社開発を推進。アパレル特有の資金繰りの難しさを解消し、生産から販売までを一気通貫で管理できる体制の整備を進めているという。また、採用活動を行い人員体制も強化した。
この2年間の歩みについて、コウサカ氏は「まずは会社ではなかったものを会社にしていくべく、管理体制や事業計画、予算に至るまで、あらゆるものを0から構築していく日々でした。以前は本当にアナログでマンパワーに頼ったスタイルでやっていたのですが、ようやく企業としての土台が整い、その流れに沿ってやれるようになってきた実感があります」と話す。2026年7月期第1四半期のV字回復は、この2年間の「地味で徹底的な土台作り」が実を結んだ結果なのだ。
夜のライブ廃止で「働き方」を刷新、一時的減収の先に掴んだ好循環
設立初期から「すこやかな服」というコンセプトを掲げる同ブランドだが、法人化を経てその概念は多層化している。「誰もが気持ちよく買い物でき、気持ちよく仕事ができ、気持ちよく関わることができる」というあらゆる「すこやかさ」を両立したブランドの在り方を目指すコウサカ氏がまず着手したのは、「運営側の健やかさ」の実現だ。
「以前は従業員にとってはあまり気持ちよく仕事できる環境ではなかったと思う」と振り返る同氏は、働き方改革による残業時間削減を断行。社内システムの構築による業務の効率化に加え、かつては週4回・20時半から行っていたインスタライブを廃止し、商品の発売時間も21時から正午に変えるなど、夜間の業務負担を減らす決断を行った。
ライブ配信の廃止により一時的な減収を招いたものの、中長期的な効率性を優先。ライブに代わり注力したリール動画が新たなファン層を捉え、結果としてフォロワー大幅増と売上拡大の好循環を生み出したという。



フーフーのインスタグラムのリール投稿(イメージ)
Image by: foufou
「インスタライブをやめるとお客様は買いにくくなるけれど、続けていると従業員の帰りが夜遅くなる。そのバランスをとって、ライブの代わりに日中の時間を使って商品ページのコンテンツを厚くするなど、情報発信の工数のかけ方を変えました。社内で工数を減らせた方が効率がいいし、その分新しいことを生み出せるんです」(コウサカ氏)。
同氏が従業員の「すこやかさ」の実現を目指す背景には、「フーフー社で一緒に働くのは、プライベートを充実させられる人であってほしい」との願いもある。「現代社会においてプライベートを充実させるためには、仕事との良いバランスを取ることや、複数のコミュニティへの関わりや人間関係の構築、物価上昇する中でのお金のやりくりなどが必要であり、それは非常に難易度の高いこと。だからこそ、プライベートを充実させられる人は卓越したビジネスマンだと思うんです」とその理由を語る。
「予約販売・セールなし」の聖域を脱却 再定義した“客のすこやかさ”
一方、客にとっての「すこやかさ」の解釈にも変化があった。従来は予約販売を基本とし、セールを行わないモデルを特徴としていたが、現在は原則「在庫販売」へと転換。その理由について、コウサカ氏は「お客様にとって一番いいのは『欲しいときに買ってすぐ届く』こと。事業を健全に長く続けていくことを考えると、ある程度の規模感で生産して在庫を持ち、結果として残った在庫に対してはセールを行うことで、健やかさを担保する必要があるという判断に至りました」と説明する。
「そのバランスを取るのはすごく難しいですが、今はもう少し大きなサイクルでさまざまな健やかさを実現する方法を、自分なりに考えているフェーズなのかもしれません」。
こうしたブランドの「間口」を広げる試みは、リアルな接点作りにおいても進んでいる。コロナ禍前に不定期開催していた試着会に代わり、2023年には2ヶ月に1回のペースで全国各地でのポップアップを実施。2024年からは全国の百貨店へとその場を広げ、昨年2月の伊勢丹新宿店でのポップアップも好調な売上を記録したという。こうした地道な新規顧客の開拓も、第1四半期の急成長を支える基盤となっている。

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「旗艦店」はファンコミュニティを超えて届ける新たな“メディア”
そして、ブランドの新たなフェーズを象徴するのが、昨年11月に東京・千駄ヶ谷にオープンした旗艦店だ。かつて祐天寺で運営していたブティックは完全予約制で、1日の来店客数は最大10人ほどの「顧客向けのニッチな受け皿」としての役割が強かった。しかし新店舗では「毎日店を開け続けること」にこだわり、豊富な商品ラインナップとブランドの世界観を味わえる間口の広さを追求。オープン以降、来店客数は予想を大きく上回っており、特に土日は平均40組が訪れるなど賑わいを見せているという。



「foufou」旗艦店1階の店内
Image by: foufou
コウサカ氏は、店舗を「メディアでありコンテンツ」と定義する。「旗艦店はより幅広い方々がブランドを味わえる場所。普段は違うテイストの服を着ていても、オケージョン用の服が必要になった際などにふと思い出して立ち寄ってもらえるような店にしたい」と、ブランドの新たな発信拠点としての役割を期待している。
その狙い通り、旗艦店オープン後は顧客の年齢層が拡大。かつては20代後半から30代半ばが中心だったが、新店舗には40〜50代の来店も多く見られているという。
資本主義の中で描く「すこやかな服」の未来
「攻め」のフェーズに突入した2026年7月期は、前期比2倍という高い売上目標を掲げる。この2年間、クラシコムのサポートのもとで経営やマネジメント面を丁寧に構築してきたフーフー。コウサカ氏は、「やっとここから『自分自身やフーフーとしてどうしていきたいか』を考え、会社の文化として根付かせながら、ブランドを長く続けていくための良いバランスの取り方を模索していく段階になりました」と話す。
ブランド設立から10年のキャリアを数える同氏は、現在35歳。今後の展望を訊ねると、「今はまだ資本主義社会とお付き合いしていたいし、諦めたくない。自分の手でできる範囲の中でやるという道もあると思うのですが、僕は元々あまり普通に社会で働けた人間ではなかったこともあり、ブランドを通して社会と接続できているのは、自分にとってもすごく喜ばしいことなんです」と本音を明かす。
「だからこそ、フーフーはかつての試着会と同じように、お客様や取引先、親会社、株主の方も含めたより多くの人を巻き込んでモメンタムやコミュニティを作りながら、より多くの人に喜んでいただけるようなブランドとして長く続けていきたいと、今は思っています」とその未来像を語った。

マール・コウサカ氏
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最終更新日:
■foufou:公式サイト/公式インスタグラム @foufou_ha_fukuyasan
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