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連載ふくびと「カワイイを世界へ」6%DOKIDOKI代表 増田セバスチャン

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カワイイとヒッピーの意外な関係

 日本語の形容詞のひとつだった「可愛い」は、いつのまにか若者の使う感嘆詞「カワイイ」となり、いまや世界でも共通語のように「kawaii」が浸透しつつある。なぜ原宿の若者がこぞってカラフルな服やアクセサリーを身に付けて「kawaii」を体現し、個性を主張し続けたのだろうか。それには理由があると、増田は説明する。

hukubito-masuda_16.jpg 原宿のファッションにおけるキーワードの1つ「カワイイ(kawaii)」の発展には理由があります。今、世界で広まっている「kawaii」は、日本語の「可愛い」の意味だけではなく「クールでカッコいい」という意味を含んでいます。「kawaii」は「cute」よりもエモーショナルで、日本人のアイデンティティにも関わる繊細な感覚があって、完璧に訳できる言葉はないんです。

 僕は、アメリカ・サンフランシスコで発生した「フラワームーブメント」が今の「kawaii」人気に近い現象だと思っています。1960年代にベトナム戦争への反対運動を発端として発生した「ヒッピー」のカルチャーですね。 戦争で若いエネルギーが吸い取られて色々なものが犠牲になり、軍需産業で経済が活性化していく。そんな、戦争やテロの白や黒の無彩色や迷彩といった色のない世界や世の中に対して若者が立ち上がりました。「ラブ&ピース」や自由を主張して、若い世代が長髪やヒゲ、絞り染めのレインボーカラー、サイケ柄といったカラフルなファッションで大人の作り上げた政治や社会に反抗を示したんです。

 一方、戦争やテロが繰り返されている現在の世の中でも、今の若い世代は「こんなのおかしい」と思っている。言葉を持てないために抵抗出来ない若い世代は、無意識的にカラフルな色使いや子供っぽいモチーフのファッションを身につけて「こんな世の中には染まらないぞ」「そんなオトナにはならないぞ」っていう主張をしているんだと僕は考えています。これは、嘘偽りの社会に対しての自然派生的なアンチテーゼ。「ラブ&ピース」を主張したヒッピー達と同じく、現代社会から生まれた「kawaii」は若者のエネルギーの象徴。「kawaii」の広まりにはそんな背景があり、若者の存在自体をアピールする意味を持っているのだと思っています。

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原宿のスピリットを世界へ

 90年代のホコ天が生んだ原宿カルチャーは、意外な所に飛び火していった。海の向こうの言葉の違う街で、女の子たちが「原宿」をイメージしたカラフルでポップなファッションを楽しんでいたのだ。2009年、増田の元にサンフランシスコにオープンを計画する日本のポップカルチャー専門ビルへの誘いがあり、期間限定ショップとオープニングイベントのステージが大盛況を納める。これを機に、自ら「原宿」のスピリットやカルチャーを伝えるため、世界各都市を巡るワールドツアー「Harajuku Kawaii Experience」を企画。「6%DOKIDOKI」のショップガール達を引き連れて、2010年には原宿を起点にロンドン、パリ、ロサンゼルス、そして「ヒッピー」が生まれた地サンフランシスコへ。各地の女の子と共に作り上げたショーやトークイベントには、数千〜数万人の観衆が押し寄せた。

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 正直僕は、一気に色が失われた街を見て「原宿は終わった」と思っていました。でも、「原宿」のスピリッツは消えたわけではなかった。「原宿」や「kawaii」という独自のカルチャーが、いつの間にか海外に波及していたんです。インターネットの普及とともに、僕のところに海外からメールやSNSを通じたメッセージが届くようになりました。内容は原宿の事やファッションに関する事で、送り主はどれも若い女の子達が中心。皆カラフルな服を着て髪を染めて、たくさんピアスを空けて、スイーツやキャラクターのタトゥーを彫っている子もいました。それに気づいたのはワールドツアーを始めるもっと前でしたが、正直驚きましたね。「原宿のスピリッツやオリジナリティが世界に必要とされている」と感じた瞬間でした。


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