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連載ふくびと「カワイイを世界へ」6%DOKIDOKI代表 増田セバスチャン

「6%DOKIDOKI」代表兼ディレクターの増田セバスチャン
「6%DOKIDOKI」代表兼ディレクターの増田セバスチャン

 世界の若者に人気の街「原宿」と、今や世界共通語となった「カワイイ(kawaii)」。90年代以降に形成された原宿カルチャーの源流を創ったとされるショップ「6%DOKIDOKI(ロクパーセントドキドキ)」代表兼ディレクターの増田セバスチャンは、言わば「原宿」「kawaii」カルチャーの伝道師だ。若者達が集うストリートから何が生まれ、発展を遂げたのか。95年のオープンからこれまで15年以上に渡ってフォーカスし、意味を追求し続けてきた「kawaii」とは?現在も原宿から世界を変えるために活動している増田氏の半生を追いながら、ジャパニーズ・ポップカルチャーの今と未来に迫る。

 

原宿ホコ天からアートの世界へ

 千葉県松戸市で生まれ育った増田セバスチャンは、両親の離婚やネグレクトといった複雑な家庭環境もあり、少しねじれた少年期を送っていた。週末には毎週のように原宿へ。1980年代の原宿は、歩行者天国(通称:ホコ天)から発生した「竹の子族」など様々なブームが加熱。その刺激を肌で感じて育った増田青年に、人生を変える出会いが訪れる。

 中学生になると、地元がつまらなくなって毎週のように原宿に通うようになりました。きっと、刺激的な何かに吸い寄せられていたんですね。ホコ天のバンドブームに憧れて、高校生の時にはチーマー予備軍に入ってみたり。その独特な高揚感の中で、違った自分になれるような気がしていました。当時の渋谷や原宿は、そういう若者が多かったんです。

 高校を卒業すると、新しい生活を求めて大阪に住みました。でも、何もかも上手くいかなくて部屋に引きこもる毎日。さすがにダメになると思った時に出会ったのが、寺山修司の本です。とにかく刺激を受ける言葉が並んでいて、毎日あさるように読みました。だんだんとのめり込み、「何かやらなきゃ」という思いにかられて19歳の時に東京に戻ります。そして、彼に関係していると言われていた演劇を片っ端から見ました。当時の演劇は前衛的なものが多くて、それはもう衝撃的。自分の中のイメージが覆されましたね。

 どんどんのめり込んでいくうちに一つの劇団に誘われてスタッフとして関わるようになるのですが、僕が参加した劇団の舞台は「額縁舞台」と呼ばれている演劇と違って、まずステージとか関係ないんですよ。"舞台と客席が逆"なんてよくある話だし、既成概念をいかに崩すかに命を懸けている。ある舞台では、客が番号で呼ばれて何かを食べさせられたり、飲まされたり、究極だと公演自体が架空だったり。演劇というのは「概念を飛び越えて、想像力を超越していくものなんだな」と肌で感じました。枠にとらわれず自由度の高い表現方法。そんな表現を自分もやってみたいと思ったんです。

無期限の展覧会「6%DOKIDOKI」誕生

 現代美術家の飴屋法水の舞台でパフォーマーとしても出演していた増田は1993年、自身が主宰するパフォーマンスユニット「mama」を結成。前衛的な舞台を公演しながら、更に新しい表現方法を模索する。リアリティを追い求めた先にあったのは、若者のエネルギーに溢れた街「原宿」。ホコ天が最盛期を迎え、ストリートファッションが注目を浴び始めた1995年、増田は自らの「表現」を試すべく小さなショップを開いた。原宿の裏通りから、ファッションブランドの生い立ちとは全く異なるベクトルで、インディペンデントな異彩を放ちはじめる。

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オープン当時の「6%DOKIDOKI」店内

 芸術の世界にどっぷり浸かりながら、僕は常に「新しい表現」を追い求めていました。でも僕が「新しい」「面白い」と思う作品について、一部のギャラリストや演劇評論家からは「これはアートじゃない」とか、概念の部分で否定されることは少なくありませんでした。知り合いが来て「良かったよ〜!」とだけ言って帰るのも何か違う。また、表現する場として演劇だったら公演、アートだったら展覧会がありますが、いずれも期間限定で、せいぜい長くても1ヶ月。そうすると見る人も限られてしまうんですよね。「もっとたくさん色々な人に見てもらうことができ、固定概念無しに、わかりやすく評価してもらえる場所は無いのかな」と考えたんです。

 それでたどり着いた答えが「店」。評価するなら買う、評価しないなら買わないってすごくわかりやすいじゃないですか。無期限の展覧会を開く感覚ですね。店の場所は、自分が好きな原宿しか考えられませんでした。というか、受け入れてくれる街は自由な空気の原宿しかなかったんです。これが「6%DOKIDOKI」の始まりです。


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