(左から)デヴィッド・フィッシャー、ジェフ・カルヴァーリョ
Image by: FASHIONSNAP

Media インタビュー・対談

ストリートブログから世界的メディアへ、「ハイスノバイエティ」のボーダーなき挑戦

(左から)デヴィッド・フィッシャー、ジェフ・カルヴァーリョ
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 今や世界のストリートファッションのバイブルとも言えるベルリン発のウェブメディア「ハイスノバイエティ(Highsnobiety)」が4月、日本に上陸した。これに合わせて設立者のデヴィッド・フィッシャー(David Fischer、以下デヴィッド)と、北アメリカのマネージング・ディレクターのジェフ・カルヴァーリョ(Jeff Carvalho、以下ジェフ)が来日。日本の雑誌文化に影響を受けたという2人に、小さなブログから世界的なメディアに成長した理由と、日本版の展望を聞いた。

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日本と世界を繋ぐメディアに

ーなぜ日本に進出することを決めたのでしょうか。

デヴィッド:ハイスノバイエティは2005年にスタートし、世界中のスニーカー文化やファッションを発信するグローバルなメディアとして成長してきました。アジアに進出しようという時に最初に日本を選んだのは、日本の雑誌文化に影響を受けたメディアとして自然なことだったんです。

ー雑誌から影響を受けていたんですね。

ジェフ:私はボストン出身なんですが、日本食スーパーで「メンズノンノ」や「スマート」などの雑誌を定期購読していました。次のトレンドの指標としていたんです。ハイスノバイエティが始まってからも、日本の雑誌を常にチェックしてきましたね。

デヴィッド:欧米のファッション雑誌はイメージに重きを置いていますが、日本の雑誌はプロダクトに焦点を当てていることが多いんですよね。ハイスノバイエティの核にはプロダクトがあるので、そういった共通点もあります。あと、雑誌に付録が付いているのも新鮮でした。ハイスノバイエティの雑誌にもステッカーを付けていますが、海外では今も付録は珍しいと思っています。

ー日本の文化についてはどのように見ていますか?

デヴィッド:日本は様々なファッション、例えばハイファッションとストリート、カジュアルをミックスする文化があって、境界が存在しないと感じます。ヨーロッパなどの他の国と比べると、服を自分の着たいように着ていてスタイルがあり、自己表現している。境界が無いことによって、ファッションの新しい可能性が生まれてくるのではないでしょうか。

ー日本版ではどのようなことを伝えていくのでしょうか。

デヴィッド:日本のニュースは以前から世界に発信していましたが、これからは日本の事をより早く知ることができるようになると考えています。海外で起こっていることを日本に届け、日本からも海外に発信できるのが楽しみですね。例えば日本には小さくても素晴らしいブランドがありますが、海外からだとそれらを見つけるのは難しかった。でも今後は、日本の才能ある若いデザイナーをサポートして、彼らを世界の舞台に押し上げる手助けをしたいですね。

ーどういった手助けができると考えますか?

デヴィッド:多くのファッション雑誌は、既に確立されたブランドについてしか書きませんよね。私たちは、小さくても世界を変えるかもしれない企業やデザイナーについても注目しています。そして彼らに、ウェブサイトや動画、ポッドキャスト、インスタグラムなどのSNSを通じて、ビジョンを語ってもらう。そういったことが、ハイスノバイエティの存在意義の一つだと考えています。

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ウェブメディアが雑誌を作る理由

ーハイスノバイエティが発行している雑誌については、どういった位置付けですか?

デヴィッド:雑誌は2010年から始まり、年に2回のペースで発行しています。写真や文章は全てハイスノバイエティのメンバーだけで制作していますが、ウェブと違って長期的なものとして位置付けています。理想としては、ずっと手元に置いておきたくなるような。例えば今日買っても6ヶ月後にまた読んでもらえる、タイムレスな存在にしたいですね。雑誌はハイスノバイエティが単なるウェブメディアではなく、いかに高品質なコンテンツを制作しているのかを表現するものでもあります。

ーすでに多くの雑誌が存在する中で、日本版の雑誌も計画していますね。

デヴィッド:日本版は9月に発行する予定です。確かにライバルは多いですが、影響力のあるウェブサイトと質を追求した雑誌の組み合わせは、日本でも勝負できると信じています。またハイスノバイエティは、日本のブランドを世界中の読者に紹介することができます。そうやって国境を超えられるメディアは、あまりないと思っているんです。

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プロダクトへの愛と情熱を

ーブログから始まったメディアですが、ここまで成長できた理由はなんでしょう。

デヴィッド: 13年前にブログを開設したときから、読者が探している情報を、毎日欠かさず配信してきたことが理由の一つだと思います。当時、毎日配信しているようなファッションメディアは無かったので。特にこの5年間では、ニッチだったスニーカーやストリートウェア文化が劇的に変化しましたよね。そういった情報も以前から発信し続けてきた実績から、国際的なファッションメディアとしての地位を確立することができたのだと思います。

ジェフ:私はデヴィッドがどれだけハイスノバイエティに賭けているかを知っていました。彼は1日16時間働くことを何年も続けていましたからね。それはプロダクトへの愛や、私たちが見つけた面白いストーリーを読者と共有することへの情熱があったからです。たとえ世の中が私たちに追いついてこなくても、記事を書き続けてきたからこそ今があると思っています。

デヴィッド:SNSの影響も大きいですね。例えば小さな街にスニーカーが好きな少年がいたとしても、周りに同じ興味の人がいなければ孤独を感じるでしょう。でもSNSさえあれば、何百万人というスニーカー好きと繋がることができます。スニーカーの市場はニッチだと捉える人もいますが、ロンドンやパリだけ見ると確かにそうかもしれません。しかしSNSで世界中の人と簡単に繋がることができる今、ローカルでは小さかった集団がグローバルで大きな集団になり、市場を作っているのは確かです。そういった社会の変化も、私たちの成功に関係していると考えます。

ーこれまでにも様々なブランドとコラボレーションしていますが、これからEコマースには力を入れていくのでしょうか。

デヴィッド:これまでに「アディダス(adidas)」や「マイキータ(MYKITA)」といったブランドとコラボしてきましたが、プロダクトを重要視する私たちにとって商品を販売することは自然なことなんです。2019年からは毎週、ブランドとの限定コラボアイテムやハイスノバイエティの限定コレクションを発表していく予定です。

ーウェブ、雑誌、ECと、異なる形式の中に一本の軸のようなものを感じました。最後に、日本の読者にとってどのような存在になりたいですか?

デヴィッド:まだ始まったばかりなので、まずは日本の読者のことを理解していこうと思います。そして世界中で起こっている素晴らしいことや、私たちが培ってきた国際的な視点を、日本の読者に感じてもらえたら嬉しいですね。

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聞き手:平田陽彦


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