Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】女性社長から交代、H&Mジャパン新代表の仕事観とグローバル観

 H&Mジャパンの代表取締役社長にスウェーデン出身のルーカス・セイファート(Lucas Seifert)が新しく就任した。日本上陸時から代表を務めたクリスティン・エドマン(Christine Edman)の後任にあたり、ブランドの新しい"顔"として今後日本で職務にあたる。H&M発祥の国スウェーデン出身ながらグローバル経験豊富な自身を「H&Mと共に成長してきた」と語る"生粋"のH&M新社長の素顔とは?

 

日本に来たことは、パズルのピースがカチッとはまるような感覚

―スウェーデン生まれ、H&M育ちなんですよね。

 生まれはスウェーデンですが、11歳の時に、香港に引っ越し約5年間過ごしました。アメリカの高校に通い、それからパリに移って大学に進学しました。その後、つまり20年前ですね、大学の卒業間近の頃にH&Mで働き始めました。初めての仕事がH&Mでした。

ー入社してからはどのような仕事に携わってきたのですか?

 

1996年にH&Mに入社後、フランス語を話せるということで、まずベルギーのブリュッセルでエリアコントローラーとして仕事をすることになりました。その後、ストックホルムの本社やパリでの勤務を経て、2009年から2016年までH&Mノルウェーの代表取締役社長として7年間オスロにいました。パリで出会ったスウェーデン人の妻と3人の子供がいます。



―国際色豊かなバッググラウンドですね。

 スウェーデン人としてのルーツがありながら、色々な国でグローバルな経験を持つという点では、私とH&Mはとても似ていますね。なのでH&Mと共に成長してきたという実感もあります。とても親しみを持って働いてきましたし、私にとても合っている会社だと思っています。


―主にヨーロッパで経験を積まれたとのことですが、日本、もしくは日本に関連するプロジェクトなどに携わったことはありますか?



 日本の企業やクライアントとプロジェクト単位で一緒に仕事をしたことはありませんが、幼少の頃にアジアで過ごしたこともあるので、こうして日本に来られたことは私の中のパズルピースがカチッとはまるような感覚ですね。日本はこれまで経験した環境とは異なり、非常に規模の大きいマーケットです。これまでの経験が生かせると思っています。

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―日本のマーケットは西洋と比べ、文化、言語、ビジネスマナー、消費者行動においても異なる点が多いかと思います。

 H&Mジャパンに来て感じたのはグローバルでの価値観を共有しているということです。我々は同じ企業で、同じ価値を共有し、グローバルでビジネスを行っています。もちろんそれぞれの国に違いはありますが、私はそこにこだわるより、共通点を探してコミュニケーションをとっていきたいと思っています。H&Mジャパンのチームとも顔合わせをし、昨日は大阪のストアマネジャーと話をしましたが、皆H&Mで働くことにエキサイトしていて、共に成長したいという向上心が伝わってきました。その一員に加わることができて嬉しく思います。これから色々なことを学ぶことになるかと思いますが、とても楽しみです。

前任のクリスティンさんは、日本上陸時からH&Mジャパンのいわば「顔」として活躍されていました。経営者であるとともに女性の働き方について社内外で積極的に活動されていた姿が印象的です。役職を引き継ぐにあたり、話し合いやアドバイスなどはありましたか?



 もちろんクリスティンの活躍は知っていますし、彼女が成し遂げたことは素晴らしいことです。現在H&Mジャパンでは従業員の72%を女性を占め、52%の女性が管理職に就いているという実績も彼女が築き上げてきたことだと思います。私は女性ではありませんが、彼女の姿勢を引き継ぎたいと思っています。H&Mは多様性に重きを置いている企業です。それは決して女性だけのことを指しているのではなく、男性を含め、あらゆるジェンダーなど様々なバッググラウンドを持つ人にとって働きやすい環境を提供することを意味しています。クリスティンは社長として企業の持つDNAを体現し続けてきたのだと思いますね。

―ご自身も3児の父親として、仕事と家族と過ごす時間のバランスについて積極的に取り組んでいると伺いました。

 日本に限らず父親が育児に参加することは簡単なことではありません。私はプライベートの生活の充実が仕事にも良い影響を及ぼすと信じています。子供からはエネルギーをもらいますし、仕事の他にも情熱を注げることがたくさんあります。家族と仕事のバランスをとることは私にとってとても大事なことで、よりよいビジネスマンでいるためには必要なことだと思っています。

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対人口比からもまだまだ出店拡大の余地あり

―日本のマーケットについてはどう捉えていますか?



 日本の消費者についてはとても感心させられています。彼らは自分の欲しいものを理解し、ショッピングエクスペリエンスに関してとても高い基準を持っているからです。ファッションへの知識が豊富ですしね。日本は世界で3番目の経済大国で、競合と言われるグローバルプレーヤーも揃っていますのでとても重要なマーケットです。競争心の強い私にとってやりがいのあるマーケットですね(笑)。

H&M_004.jpg―日本には様々なファッションブランドがひしめき合っていますが、H&Mが差別化できる点とは何でしょうか?



 H&Mの強みは多様性です。メンズ・ウィメンズ、キッズ、ヤングその中にも様々のコンセプトを設けています。H&Mには「Something for Everyone /Every occasion(誰にでも/どのオケージョンにも何かある)」というように、コレクションラインからベーシックラインまでバランスよくそろっているのが競合優位性です。「ファッションとクオリティを最良の価格でサステイナブルに提供する」というブランドの掲げるスローガンを誠意をもって遵守し続けてきたことも強みだと考えています。

―昨年はオンラインもオープンしましたね。


 売り上げの比率は明かすことはできないのですが、店舗及びEC共に売り上げは好調です。ECでの展開を開始したことで店舗がない地域のお客様にも商品を購入してもらうことができ、たくさんの層にリーチできたと思っています。

―H&Mグループ全体としては「コス(COS)」や一昨年、昨年と店舗閉鎖してしまった「モンキ(MONKI)」「ウィークデイ(WEEKDAY)」、また海外では店舗を持ち日本ではオンラインのみでの展開となる「H&M HOME」や日本未上陸の「アンド アザー ストーリーズ(& other stories)」などがありますね。今年新しい動きはありますか?

 まずH&Mでは2017年、4月の沖縄初出店を含め、モールなどを中心に10店舗から14店舗新たにオープンを予定しています。COSは現在国内に2店舗展開していますが、3店舗目もオープンする予定です。他の3ブランドについてもまだ日本での可能性は大いにあると思っていますが、急ピッチでことが運ぶというより、全ては「タイミング」によると言えるでしょう。しかしながら、現時点では後にも先にもH&Mが最重要項目です。H&Mは国内に64店舗出店しており、約1.3億人という日本の人口から見てもまだまだ出店拡大の余地はあると思っています。ユニクロはすでに約840店舗構えているわけですから。他のブランドに関しても日本の市場に上陸もしくは再上陸の可能性は常にあると思っています。

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(聞き手:今井 祐衣)

ルーカス・セイファート
1974年7月28日生まれの42歳。香港、アメリカ、フランスで過ごし、大学卒業後の1996年にH&Mに入社。ブリュッセル、ストックホルム、パリで勤務し、2006年から2016年までH&Mノルウェーで代表取締役社長を歴任。2017年2月付でH&Mジャパンの代表取締役社長兼日本・韓国統括責任者に就任。

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