Fashioninterview

【トップ対談】三越伊勢丹HD 大西洋×ビームス 設楽洋「新しいカルチャーを生み出す」

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■面白いものづくりは"コクとキレ"

―両者のシナジーや補完し合うのはどういった点ですか?

設楽:企画においては常に"コクとキレ"が必要だと考えています。今回のプロジェクトでは、コクの部分はやはり伊勢丹ですね。長く寝かせたワインのように、時間をかけて熟成された技術やノウハウがあります。キレはビールのようなピリッとした刺激や喉越しで、これはビームスの役割。その両方がマッチした時には最高に面白いものができるだろうと思います。

―「STAND FORTY SEVEN」の狙いを教えてください。

設楽:まずビームスがジャパン企画をスタートしたのは、よく言われるインバウンド対策や、オリンピックなど経済的な狙いではなくて、まずは海外の良いものばかりを見てきた日本人自身に「日本ってかっこいいね」と感じてもらい、自国の誇りを持ってもらうこと。それができたら海外にも伝えていけるだろうという考えです。

大西:三越伊勢丹グループが日本に焦点を当てて「this is japan.」のメッセージを打ち出しているのも、同じ気持ちですね。日本は良いものがたくさんあるので、「もっと頑張れるよ」という意味も込めています。

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プレイベントで人気が高かった「リサ・ラーソンの招き猫」。九州・波佐見焼の招き猫をスウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンがデザインした

―具体的にはどういったプロセスで進めていますか?

大西:社内の専門バイヤーでチームを作り、ビームスの南馬越さんに先導していただきながら地方に出向いて良いものを探し、新しい価値の商品を開発していきます。これまで社内はカテゴリーごと縦で割られていたので、こういった取り組みで横のつながりや外部の方と仕事ができるのは、大変ですが刺激がありますね。

設楽:例えば、伊勢丹と繋がりのある人間国宝の職人やスーパーブランドと、ビームスならではのとんがった面白いデザイナーやアーティストが出会ったり、実験的なことも含めてやっていきたい。

大西:地方の良いものや産業が無くなってしまうのが一番残念なこと。なので地方自治体と組んだり、地方で店を出したり、マレーシアに作ったジャパンストアで売るのもいいかもしれません。

■日本は元気にならない、という危機感

―日本のものは世界から見て本当に評価されるのでしょうか?

設楽:ビームスでは各国でポップアップを出していて、今年もバンクーバーをはじめ6都市くらい周ります。実際の評価は国によって異なりますね。「日本製は良い物」というステータスがある国、一方では品質よりもポップカルチャーやオタク文化がフィーチャーされる国も。ただ、"メイドインジャパン"がスーパーブランドの位置になれるという手応えはある。逆にそうしていかないと日本は元気にならない、という危機感も感じています。

onishi-shitara-interview-20170106_034.jpg「創作こけし」ファインアーティスト・イラストレーターの花井祐介氏と岩手県盛岡市の伝統こけし工房 五葉社がコラボレーション

―12〜1月のプレイベントを終えて「STAND FORTY SEVEN」の本格スタートが3月になりますが、どういったペースでプロジェクトを進めていきますか?

大西:まずは3月に九州にフォーカスした企画を発表するために、いま衣食住で面白いものを作っているところです。1年も経てばニーズが大きく変わってしまうかもしれない世の中ですから、その後もなるべく早いペースで進めていきたい。1つのプロジェクトの準備に半年ほどかけて行くペースが良いかなと考えています。

onishi-shitara-interview-20170106_031.jpg東北と九州の復興祈願「ダブルハピネス」をテーマに「ケイタマルヤマ」が制作したスカジャン。竜や鶴、亀、招き猫など縁起の良いモチーフが刺繍で表現されている

―東京オリンピックが開催される2020年は一つの節目になりそうでしょうか?

設楽:それまでに、もう少し大きい形で一定期間の"ジャパン展"のようなことをやりたいですね。各自治体も巻き込みつつ、単なる物産展ではない、日本をプレゼンテーションするようなことをやってみたいと思っています。

大西:"ジャパン展"だと、パリのボンマルシェが日本にフォーカスしたイベント、あれはとても良かった。ああいったものを日本でもやるべきなので同感です。当社では日本を軸にしたコンセプトは続けていきますから、その途中にオリンピックが来るというイメージ。取り組みが広がって、地方の活性化にもつなげたい。

■ファッションをもっとハッピーで楽しいものに

―2017年のファッションについては、どうなると考えていますか?

大西:アパレルが厳しい時代ですし、ファッションそのものが多様化しています。ファッション=服だけでは無いのでファッションが消えることはないと思いますが、捉え方が広くなっている分、自分達だけのやり方だけでは限界があるとも感じています。全く環境が違う会社でも同じ方向を向いていくことで、業界も変わっていければと。

設楽:ファッションをもっとハッピーで楽しいものにしていかなければいけませんね。服が好きな方じゃなくても、ファッションと繋がることはある。それを見つけることで、ファッションてハッピーなんだという事を伝えることもできると思っています。

大西:服が売れなくなってくると、効率だけ考えてバッグや雑貨を増やしたりするんですが、新宿店では服をしっかり売っていきたい。伊勢丹新宿本店のシェアは、婦人服と婦人雑貨を合わせて4割を超えます。自分たちの姿勢として、改めて"服としてのファッション"を届けていきたいと思っていますし、チャレンジするつもりです。

設楽:ビームスでは、スポーツ、アウトドア、フェスなどにも協力していますし、あまり効率良く儲からないとしてもカルチャーを提案することが、ファッションにもハッピーにも繋がると考えています。コミュニティ作りを今後もっとしていきたいですね。ビームスがブランドや会社の名前としてではなく、そういう面白い事をやっている集団というコミュニティの名前になれたら。それを伝えていかなくては次の時代は無いという覚悟ですから、今年から更に深く取り組んでいきます。

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(聞き手:小湊千恵美)

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