ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)による「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズコレクションが披露されるなど新時代への高揚感に包まれながら幕を閉じたパリコレ(パリ・メンズファッションウィーク)。一つの祭りを終えた翌週には、世界最高峰のストリートバスケットボール大会「ケ54(Quai 54)」が開かれ、また別の熱気がパリの街を包み込みました。大会をサポートするのは、3月に日本初のブランドストア「ジョーダン ワールド オブ フライト シブヤ(JORDAN WORLD OF FLIGHT SHIBUYA)」をオープンしたことが記憶に新しい「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」。Quai 54と、大会にあわせて開かれたジョーダン ブランドのメディアイベントを通して、FIBA バスケットボールワールドカップ2023の開催を間近に控え徐々に盛り上がりを見せるバスケカルチャーの最前線をレポートします。
■Quai 54とは?
ハマドゥン・シディベとティボ・ドゥ・ロンジェヴィルによって、2003年にスタートした世界最高峰のストリートバスケットボール大会。フランス・パリで毎年6月から7月にかけて開催される。ジョーダン ブランドがサポートを務め、現役NBA選手など豪華ゲストが来場することでも知られ、世界中から注目を集めている。
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DAY1:パリ到着からのいきなりバスケ
2日間にわたって開催されるQuai 54の大会前日に会場入り。当初は、翌日からの大会に向けてホテルでくつろぎながら準備をする予定でしたが、急遽大会の会場が使用できることに。ということで、飛行機を降りてまだ3時間も経たないうちにQuai 54の会場へ向かいました。
例年、エッフェル塔が見える広場に特設コートを用意して開かれるQuai 54ですが、今年は大会20周年ということでセール・ドートゥイユ庭園のスタッド・ローラン・ギャロスにあるテニスコート「コート・シモンヌ・マチュー」で開催されました。
収容人数は約5000人。全仏オープンを象徴するクレイコート(赤土)が特徴ですが、今回は上からQuai 54のシートを敷いてバスケコートを作り上げていました。
アフリカの伝統を感じることができるカラーリング。今回の大会キーカラーである赤と緑が随所に使われています。
シューズとウェアを手渡され、着替えると......。
じゃん! Quai 54の限定ウェア一式です。20周年を記念した「XX」のグラフィックモチーフがイケています。
ちなみに、こちらは今回のイベントに日本から一緒に参加したバスケットボールアナリストで解説者の佐々木クリスさん。耳馴染みが良い落ち着いた素敵な声をはじめ、分かり易い適確な解説で高い人気を得ています。クリスさんは今回のパリのイベントの様子をYouTubeチャンネルで更新しているのでチェックしてみてください。
YouTube:佐々木クリス チャンネル
エア ジョーダン 38のケ54限定カラー
シューズはエア ジョーダンシリーズ最新作の「エア ジョーダン 38(AIR JORDAN 38)」。パリ到着から数時間で新作お披露目となり、意外な形で公開されました。着用しているのはQuai 54限定カラー。ホールド性とクッション性の高さは履いただけで高揚感を覚えます。エア ジョーダン 38の詳細については、本記事DAY2のメディアイベントパートで深掘りします。
イギリスやイタリア、アメリカ、中国など世界各国のイベント招待者とみんなでバスケをプレイ。全員初対面ですが、同じ服と靴を着用しているとチームみたいで親近感が湧きます。
思っていたよりハードな運動をして......
その後、6人ずつ(1人交代制)のチームに分かれて試合もしました。本来は予選を勝ち上がったチームだけが立てるQuai 54のコートで実際にプレイできるとは......。夢のような体験で、想像もしていなかったバスケ旅の始まりです。
DAY2:豪華ゲスト来場のメディアイベントとQuai 54初日
翌日向かったのは、ジョーダン ブランドが開催したメディアイベント。
ガラス張りの天井による開放感ある会場では、エア ジョーダン 38をはじめ、ジョーダン ブランド契約アスリートのザイオン・ウィリアムソン(Zion Williamson)、ルカ・ドンチッチ(Luka Doncic)、ジェイソン・テイタム(Jayson Tatum)の3人のシグネチャーモデル「ザイオン 3」「ルカ 2」「テイタム 1」が展示されていました。
それぞれのシューズのパーツや、バスケ関連のウェアなど今回のイベントの要素を詰め込んだ空間。開発者のデスクを再現したイメージデスクには......。
故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)によるナイキのスニーカーコレクションをまとめた書籍「Virgil Abloh. Icons」も並んでいました。ライフスタイルシーンで数々の功績を残してきた彼のデザインは、パフォーマンスシューズにも影響を与えているようです。生前にメンズ アーティスティック・ディレクターを務めていたルイ・ヴィトンの新章が始まったタイミングということもあり、感慨深いものがあります。
用意されていたステージでは、素材やカラー担当をはじめジョーダン ブランドのデザインチームが登壇し、トークショーが行われました。ジョーダン ブランドの物作りは、コートの中はもちろんのこと、ファッションや音楽、アート面でも大きな影響力を持つマイケル・ジョーダンをインスピレーション源に、「モーションとエモーション」をキーワードに設定しています。モーションの機能面で優れたプロダクトでありながら、エモーションのアスリートの根底にある精神性を表現して感情面に訴えかける物作りを意識しているそうです。
ジョーダン ブランドは、ザイオン・ウィリアムソンや、ルカ・ドンチッチ、ジェイソン・テイタムをはじめ、八村塁など未来に繋がるプレイヤーとの契約に重きを置いています。また、マイケル・ジョーダンの「ジャンプマン」の精神を受け継いだ「フライト」と「スピード」を重要視しており、ザイオンやテイタムのフライトと、ラッセル・ウェストブルック(Russell Westbrook)やルカのスピードと、それぞれが強みとするプレイスタイルを分析して組み合わせることで、次世代のためのシューズ製作を行っています。
ここからは展示されていたシューズを紹介。まずは昨日着用したエア ジョーダン38。エア ジョーダンシリーズは、長い歴史を持ちながら次世代のプレイヤーたちに向けて最先端のイノベーションを提供するシリーズとしても展開しており、今回はフェイダウェイ・ジャンパーをはじめとするマイケル・ジョーダンを象徴するプレイを研究して、コートでの機動性で相手に差をつけることを強みとしています。ここ数年のエア ジョーダンシリーズでは、空洞があるソールの「エクリプス プレート」が特徴的でしたが、同作はピボットやカット、ディフェンスのための横の動きをスムーズにするため、これまでのプレートを進化させた新技術「Xプレート」を搭載し、薄めのソールで作られました。アッパーはメッシュのような刺繍地で作られており、通気性と軽量性を保ちながら、優れたフィット感に繋がっています。着用すると、ブレのないフィット感を強く感じました。8月18日に販売を開始します。
続いては、同じく新たに発表された「ザイオン 3」です。エモーションも大事にしていることから、同作のデザインはこれまでのザイオンの心情を反映しました。2019年にドラフト1位でNBA入りし、デビュー戦での球団史上最多得点記録を更新するなど成功を収めている彼ですが、これまで泥の中にいるような苦しい環境で努力をし続けた経験があったそうです。アッパーのデザインは、泥沼から這い出てきた自信の経験から足が泥の中から飛び出す様子を表現しており、「努力すれば夢を叶えることできる」というザイオンのメッセージが込められています。
技術面では、ザイオンの爆発的な強さとスピードを兼ね備えたプレイスタイルにあわせて、足の動きのコントロール、設置感、衝撃保護の3つに注力しました。フォーミュラ 23 フォームと前足部のズーム エアによる挿入式のミッドソールで、反発感のあるクッション性と安定感を発揮。また、アッパーの泥模様は補強の役割も担っており、足を包み込み横方向の動きに対してサポートします。
こちらは6月に発表された「ルカ 2」。前作のルカ 1では自由なプレイスペースを生み出すためにブレーキにフォーカスしていましたが、今作ではさらにスペースを作るためにルカが得意とするステップバックをはじめ、全方面への動きのサポート力を強化しました。ルカは、シューズに求めるものとして「バランス」を挙げており、本作ではルカの巧妙な動きで相手に差をつける能力に着目し、非直線的な動きを念頭にデザインされました。
フォーミュラ 23 フォームとIso プレートを組み合わせ、内側にクシュロン 3.0 フォームを搭載することで、曲線的な動きでも適切な角度で着地し、効率良く踏み出せるように作られています。また、写真のカラーはルカが現実の世界で得点を重ねている間にデジタル世界のLuk.AIがファンと交流し、彼自身のゲームをレベルアップさせているというアイデアにヒントを得たデザイン。デジタル世界のLuk.AIのコーデとマッチさせ、暗闇で光るグローインザダーク仕様のディテールが洗練されたスタイルをキープします。
最後は、史上最多55得点でMVPに輝いたNBAオールスターゲーム2023で初披露となったジェイソン・テイタム初のシグネチャーモデル「テイタム 1」です。「生まれ変わったらイルカになりたい」というほどイルカ好きのテイタムのエモーションを刺激するため、デザインコンセプトの一つとして「イルカ」を設定。デザインチームが、テイタムとイルカの共通点を探したところ、滑らかで効率の良い動きをする点が確認できたそうです。そこから、プレイ中の滑らかな動きをサポートするため、ミッドソールの前足部に空洞を作り、シューズが捻れるような屈曲性を持っています。また、子ども好きなテイタムの性格から、キッズモデルはサイズを小さくアレンジするだけでなく、子どもでも履きやすいディテールを取り入れるなどテイタムのパーソナルを色濃く反映させました。
そのほか、会場にはVRを用いてシューズカラーのカスタマイズ体験や、Tシャツデザインのワークショップが行われました。
しばらくすると再びステージでイベントが。スペシャルゲストが登場すると言われ、出てきたのは......。
なんと、ザイオン・ウィリアムソン、ルカ・ドンチッチ、ジェイソン・テイタムの3人が登壇しました。豪華すぎる面々に会場のテンションが上がります。
トークショーでは、好きなシューズや試合前の習慣について話しました。シグネチャーシューズについて話すときには、それぞれ少年のように嬉しそうに話す姿が印象的で、ジョーダン ブランドが選手のエモーションを上手く商品に取り入れていることが伝わってきました。
メディアイベントを終えて、Quai 54の会場へ。大勢の観客に見守られながら開かれた大会初日は、男女それぞれのトーナメント戦やダンクコンテストが行われました。
白熱した試合で、度々大きな歓声が湧きます。
ダンクコンテストでは、メディアイベントにも登場したスペシャルゲストのザイオン・ウィリアムソン、ルカ・ドンチッチ、ジェイソン・テイタム、新しくジョーダン ファミリーとなったギャビー・ウィリアムズ(Gabby Williams)らが審査員を担当。ザイオン・ウィリアムソンが持つボールを空中で受け取りながら頭上を越えてリングに叩き込むなど、技アリの迫力あるダンクで大いに会場を盛り上げました。
DAY3は後日公開の後編で紹介。メディアイベントやQuai 54最終日の様子をはじめ、バスケカルチャーを取り入れた最新スタイルをお届けします。
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