ジャパンブランドの魅力を深掘り! GENSEI&ニンと巡る、革靴の名店<後編>

革靴の店内を巡る2人

Image by: FASHIONSNAP

革靴の店内を巡る2人

Image by: FASHIONSNAP

ジャパンブランドの魅力を深掘り! GENSEI&ニンと巡る、革靴の名店<後編>

革靴の店内を巡る2人

Image by: FASHIONSNAP

 伝統あるものづくりの歴史を受け継ぎながら、日本独自の文化として発展を続ける日本の革靴。その魅力を探るべく、日本靴工業会に参画する革靴ブランドにフォーカスした連載企画がスタート! 今回は、台湾出身のインフルエンサー GENSEIさん&ニン(Ning Chang)さんを案内役に迎えます。普段から革靴を愛用する2人ですが、日本の革靴については未知の領域とのこと。そこで、日本ならではの職人技が光る都内近郊の名店をハシゴしながら、リアルなショッピング体験をレポートします。

■日本靴工業会とは?
 日本の風土や日本人の足に合う良質な革靴の提供と普及を目的とするNPO法人。革靴の仕様や品質に関する情報提供や日本の革靴規格(JIS)の策定、革靴の製造過程で生じる環境問題への対応など、幅広い活動に取り組んでいます。今後は、激しさを増す国際競争の中で日本の革靴を更に発展させていくことを目標に掲げています。

参画企業:岩手製靴、エイゾー、大塚製靴、共和工業、チヨダシューズ、東立製靴、ハルタ、マドラス、宮城ハルタシューズ、リーガルコーポレーション(五十音順)

日本の革靴を堪能できるモデルコース
後編では3つの工場&ショップを訪問!

 日本の革靴の世界を堪能するべく、今回は「リーガル(REGAL)」「ハルタ(HARUTA)」「大塚製靴」「東立製靴」「マドラス(MADRAS)」「エイゾー(EIZO)」の6社の直営店を訪問!後編では、東京近郊に足を延ばして、ハルタ、東立製靴、エイゾーが構える工場やショップを直撃。リアルな生産現場や、観光がてら立ち寄れる魅力的なショップを巡ります。

観光と一緒に楽しめる、ハルタ 横浜赤レンガ倉庫店

 まず訪れたのが、ハルタの横浜赤レンガ倉庫店。横浜の観光名所・赤レンガ倉庫に位置していることから、インバウンド客も多く、連日賑わいを見せる同店は、ハルタの直営1号店かつ、品揃えも国内最大級なのだとか。

赤レンガを歩く2人


 同店は2022年、館の大規模設備工事を機にリニューアル。レンガ調の温かみのある空間で、幅広い世代がともに買い物を楽しめる店舗となっています。 

店内を物色する2人


トレンドのローファーはメイドインジャパンで

 ファッション性が高くデイリーに履ける革靴を多く展開するハルタですが、やはりハルタといえばローファーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? 日本では一部の中学校や高校のハルタのローファーが指定靴となっていることもあり、学生靴として縁の深いブランドです。

店内を物色する2人

 ローファーは近年、トレンドアイテムにも浮上していますが、ハルタのローファーの魅力はズバリ、メイドインジャパンでありながらリーズナブルな価格帯を実現していること。コストを抑えながら大量生産ができるセメント式製法を取り入れ、国内の自社工場でものづくりを行っていることから、1万円以下から購入することができます。

ローファーを履いたモデル

 さらにハルタでは、ベーシックなコインローファー用のアクセサリーとして、「ハルタグ(HaruTag)」と呼ばれるビットやタッセルを別売りで展開。ワンタッチで簡単に取り付けることができるので、気分に合わせてスタイルの変化が楽しめます。

ローファーにホースビットを取り付けている様子
ローファーにホースビットを取り付けている様子

価格はビットが2750円、タッセルが1320〜1760円。

◆2人が選んだシューズはこちら

革靴を履いたモデル
革靴を履いたモデル

GENSEIさんが選んだ「カジュアルローファー #920」(1万8480円)

 数あるハルタのラインナップの中からGENSEIさんが選んだのは、ガラスレザーで仕立てられたコインローファー。革の表面に二層の塗料を塗り、部分的に研磨する「アドバン仕上げ」によるグラデーションが特徴的なシューズです。

革靴を履いたモデル
革靴を履いたモデル

ニンさんが選んだ「カジュアルコインローファー #230」(1万4080円)

 ニンさんは、ベーシックなコインローファーのブラックをセレクト。GENSEIさん同様、コーティング加工が施されたツヤのあるガラスレザーを採用したモデルです。

赤レンガ倉庫を歩く2人

■ハルタ 横浜赤レンガ倉庫店

ハルタの店内
ハルタの店内
ハルタの店内

所在地:神奈川県横浜市中区新港1-1-2 横浜赤レンガ倉庫2号館 2階
営業時間:11:00~20:00
店舗面積:約50平方メートル

今年新たにオープン、「ショーンハイト」を展開する東立製靴本社工場直売店のショールーム

東立製靴の工場から出てくる2人

 トレンドのローファーを通してメイドインジャパンのものづくりに触れた2人が次に向かったのは、千葉県柏市に位置する、自社ブランド「ショーンハイト(Schonheit)を手掛ける東立製靴の本社&工場一体型の店舗。今年3月、本社の一部だったスペースを新たにショールームとして一新し、オープンしました。そんな新しい店内で、東立製靴ならではのものづくりを紐解きます。

東立製靴の店内で革靴を見る2人

 同店では、従来から独自のオーダーメイドシステム「ショーンハイトコンビネーションオーダー」によるシューズのオーダーが可能。事前に電話予約することで、オーダーに加えて工場見学も行うことができます。そのほか、東立製靴と同じくグッドイヤーウェルト製法を取り入れている革靴であれば、メーカーを問わず修理も受け付けているのだそうです。

既製靴からオーダーメイドまで、幅広いニーズに応えるショールーム

 ショールーム内には、クラフトマンシップを体感できる仕掛けとして、革靴の製造工程に用いられる工具用品や、足型にはめ込む前の革などを展示。機械の発達により、今では使われなくなった手作業用の工具も揃えており、職人技の一端に触れることができます。

店内に展示された革に触れる2人

 独自のオーダーメイドシステムでは、ベースの型をもとに、自分だけのオリジナルシューズが作れるパターンオーダーを採用。30種類以上の中から好きな革や色を選び、底やヒールの素材、ステッチの変更や名入れなど、さまざまなオプションを付けることができます。価格は3万3000円〜とリーズナブルで、注文から約50日で手元に届きます。

ショーンハイトコンビネーションオーダーで革を選んでいる様子
ショーンハイトコンビネーションオーダーの価格表

 店内は、オーダーシューズのサンプルに加え、靴作りの原点となる原皮も用意。手に取って触れることで、熟練した職人の手によって生み出される工芸品としての革靴の側面を体感できます。

革に触れているモデル

◆2人が選んだシューズはこちら

革靴を履いたモデル
革靴を履いたモデル

GENSEIさんが選んだ「外羽根プレーントゥ(SH318-B5SS)」(1万9800円)

 東立製靴では、オーダーメイドだけではなくレディメイドの革靴も幅広くラインナップ。ショールームでの展開アイテムの中からGENSEIさんが選んだのは、「外羽根プレーントゥ(SH318-B5SS)」。上品なツヤが光る逸品です。

革靴を履いたモデル
革靴を履いたモデル

ニンさんが選んだ「スエード ローファー(SH211-2)」(1万9800円)

 ニンさんが選んだのは、スエードのコインローファー。すっきりとしたシルエットながら、秋冬のスタイルにマッチする深みのあるブラウンをセレクトしました。

革靴を履いた2人

■東立製靴本社工場直売店

東立製靴の店内
東立製靴の店内
東立製靴の店内
東立製靴の店内
東立製靴の店内

所在地:千葉県柏市豊四季341-13
営業時間:10:00〜18:00
定休日:土日祝日
問い合わせ:04-7146-8680 ※ショーンハイト コンビネーションオーダーは要電話予約

女性向け革靴の奥深さに触れる、エイゾーコレクション 草加店へ

 最後に向かったのが、パンプスなどの女性向けシューズを中心に展開するエイゾーのショールーム「エイゾーコレクション 草加店」。埼玉県草加市に位置するこちらの店舗も東立製靴同様、ものづくりの拠点である工場に併設されています。

エイゾーコレクション 草加店に入店する二人


 同店は完全予約制で営業。年に1〜2回、ファミリーセールなどのイベント開催拠点としても活用され、シューズの販売はもちろん、足の計測サービスなどを行っています。

革靴を見る2人

とにかく「履きやすさ」が魅力、働く女性のために作られたパンプス

 8cmのハイヒールシューズを起点にスタートしたエイゾー。スタッフによると、エイゾーのアイコンであるパンプスは「とにかく履きやすさが売り」だといいます。一度履いたらリピートする顧客も少なくないそうですが、その秘密は、安定感のある独自の木型と、「ウィズ」の豊富さにあります。エイゾーで展開するパンプスは7cmのヒールが基本となっていますが、足から全身を支える構造の木型を採用することで、ヒールの高さを感じさせない安定した履き心地を実現しています。ヒール靴では“あるある”の腰の痛みも発生しにくいとのこと。

シューズクローゼットを見る2人

 「ウィズ」は「ワイズ」とも呼ばれ、足囲(足の甲をぐるっと一周した長さ)を指します。革靴選びの際、「E」や「2E」といった表記を目にしたことはありませんか? ウィズはこの数値を意味し、足囲が狭いとA〜D、広いと3E〜Fのサイズになります。実は、よく革靴を履くという人でも、ウィズを気にしたことがない人がほとんど。それもそのはず、ウィズのサイズを豊富に展開しているシューズメーカーは少なく、基本的には「D」や「E」などのワンサイズ展開のブランドが多数派です。

 しかしエイゾーでは、定番の「Vカットパンプス」に限り、ウィズを4サイズ展開。ショールーム限定での販売となりますが、店頭での計測データに基づき、より足にフィットする革靴選びを可能にしています。そこで、ニンさんも足の計測を体験! 靴下のまま、足長と横幅、足囲の3つをメジャーで測っていきます。所要時間は3分ほど。

サイズ計測の様子
サイズ計測の様子

 測ってみると、足長のサイズが23cm、ウィズは右足が「C」、左足が「B」という結果に。左右差があり、左足の方が小さいという計測結果に「たしかに、同じサイズの靴を履いても、左足の方が浮きやすいです」とニンさん。また、ウィズが多くのブランドが展開する「D」「E」といった実規格よりも著しく細いことから、サイズの合う靴に出合いにくいことが明らかになりました。なんとなく理解しているつもりでも、プロの手によって自分のサイズを知ることで、今後のシューズ選びの一助となります。

icon

スタッフ

男性靴の場合、シューレースでウィズを調整できますが、ヒールパンプスは甲のフィット感が命。ウィズが合っていないと、痛みや靴擦れの原因になります。ちなみに、エイゾーが展開するVカットパンプス以外のシューズはすべて「D」を基準にしています。

◆ニンさんが選んだシューズはこちら

パンプスを履いたモデル
パンプスを履いたモデル

ニンさんが選んだ「Vカットパンプス(EO17156)」(2万900円)

 まずは、Vカットパンプスを試着。高反発のクッション素材を使用したインソールで足の負担を軽減したシューズで、通勤からフォーマルシーンまで、幅広い需要に対応。今回は、サイズ計測で明らかになった「B」のウィズを選んだことで、より足にフィットした履き心地に。

グレーのブーツを履いたモデル
グレーのブーツを履いたモデル

ニンさんが選んだ「ニットスクエアショートブーツ(EO73110)」(3万1900円)

 エイゾーでは、パンプスだけではなく、デイリーに活躍するブーツやスニーカーなども展開。ニンさんがセレクトしたのは、同色のニットとレザーを組み合わせたショートブーツ。甲裏には抗菌防臭機能を備えています。

■エイゾーコレクション 草加店

エイゾーコレクション 草加店の外観
エイゾーコレクション 草加店の外観
エイゾーコレクション 草加店の外観
エイゾーコレクション 草加店の外観

所在地:埼玉県八潮市南後谷670-7 1階
営業時間:10:00〜16:00
定休日:土・日・祝(平日不定休)
問い合わせ:048-951-2081

 モデルコースで巡った、日本を代表する6つの革靴ブランド。さまざまなプロダクトとともに、長い歴史で培われてきた各社の強みに触れることができました。ぜひ足を運んで、まだ見ぬ革靴の魅力に触れ、あなただけの一足との出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。日本の職人技が生み出す美しい革靴が、きっとあなたを新たな一歩へと導いてくれるはずです。

最終更新日: