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クラシックのその先へ ジュンヤ ワタナベ マンが提示する究極のドレススタイル

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Image by: Koji Hirano(FASHIONSNAP)

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 「街を歩いていて、人からじろじろ見られるようなら、君の服装は凝りすぎているのだ」。正統派メンズドレススタイルの始祖 ボー・ブランメルの言葉だ。彼は、イギリス貴族の間でそれまで主流だった装飾過多な装いに一石を投じ、現代のスーツスタイルの礎を築いた。根底にあるのは、シンプルであることにこそ美が宿るとする「引き算の美学」である。「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」の2026年秋冬コレクションは、既存の正統派ドレススタイルに、ブランドのアイデンティティである解体と再構築のアプローチを融合。洗練されたダンディズムの中に色気と遊び心が同居する「究極のドレススタイル」を提案した。

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 「THE BEST DRESSED」と銘打たれた同コレクション。マイルス・デイヴィスの「My Funny Valentine」のBGMとともに登場したファーストルック、セカンドルックでは、デザイナー 渡辺淳弥によるドレススタイルのデコンストラクトが試みられた。イブニングウェアであるタキシードは、本来混じり気のない無地の布で仕立てるのが鉄則とされるが、今回のコレクションではレザーのパッチワークで表現。ショールカラーは伝統を踏襲しつつも、襟幅を細く調整することで、クラシックな優雅さとアヴァンギャルドな軽やかさを同居させた。

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 そのほか、ブリティッシュトラッドの文脈にハンティングウェアの特徴を組み合わせたテーラードジャケットや、ラペル部分をペイズリー柄で切り替えたツイードのチェックジャケットも披露。2025年秋冬コレクションで登場した「フィルソン(FILSON)」との「マッキーナクルーザージャケット」を彷彿とさせるバッファローチェックを携えたパッチワークジャケットは、繊細なピンチェックのボディに、無骨な印象のウール地を合わせることで視覚的奥行きを生んでいる。

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 アウターでは、「ドレススタイルのアップデート」とも言える今回のテーマをより明確に感じ取ることができる。パッチワークによってフィールドジャケットの意匠を加えたロングコートから始まり、レザーのダブルライダースを大胆にドッキングしたツイードコート、バックにN-2Bを背負ったデザインのヘリンボーンコート、セーラーユニフォームのデザインをアシンメトリーに組み合わせたピーコートなど、そのアプローチは多岐に渡る。

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 今回のコレクションでは、全ルックがクラシックなネクタイスタイルだった。タイドアップという、ともすれば保守的になりがちな作法から、自己の規律と他者への敬意という誠実さを受け取ることができる。端正に整えられた襟元と、ブランドが得意とするアヴァンギャルドなデザインが重なるとき「静的な規律」と「動的な再構築」のコントラストが、着る者の知性と反骨精神を相互作用的に浮かび上がらせる。頭に乗せたシルクハットやボーラーハットも「静的な規律」の役割を果たしており、足元を彩るフォーマルなレザーシューズは、揺るぎない品格をもってスタイリングを引き立てた。

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 コラボレーションも豊富に展開された。今季は「リーバイス(Levi's®)」、「ステューシー(STÜSSY)」、「スピワック(SPIEWAK)」、「リビルドバイニードルズ(Rebuild by Needles)」、「マムート(MAMMUT)」、「トリッカーズ(Tricker’s)」、「ハインリッヒ・ディンケラッカー(Heinrich Dinkelacker)」、「ニューバランス(New Balance)」、「ロッキーマウンテン(Rocky Mountain)」、「フォーティーセブン('47)」と協業。俯瞰して本質を見極めるジュンヤ ワタナベ マンらしく、他ブランドのエッセンスも取り入れながら、よりハイブリッドで研ぎ澄まされたクリエイションを目指した。

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 その時代における「究極のドレススタイル」とは、かつてボー・ブランメルが提唱した「引き算の美学」が既存の価値観を更新したように、自らの哲学を持って服を選び、着こなし、そして固定観念を微細に、時に大胆に更新していく行為そのものを指すのではないか。変わらない良さは確かにあるが、変化を拒絶することは怠慢だ。伝統を重んじながらアップデートを続けていくことこそファッションの面白さであり、真の価値が宿る。ジュンヤ ワタナベ マンは、未来へと続くドレススタイルの可能性を鮮烈に提示してくれた。

村田太一

Taichi Murata

群馬県出身。男子校時代の恩師の影響で大学では教員免許を取得するも、ファッション業界への憧れを捨てきれず上京。某衣料品メーカーを経て、2021年にレコオーランドに入社。主にビジネスとメンズファッションの領域で記事執筆を担当する。「ジョジョ」は人生のバイブル。幼少期、地元の少年野球チームで柄にもなくキャプテンを任せられた経歴を持ち、今もプロ野球やWBCを現地観戦するほどの野球ファン。実家が伊香保温泉の近くという縁から、温泉巡りが趣味。

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