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パリと東京を行き来するメイクアップアーティストKanako Yoshidaのこれまでとこれから

多様な仕事に見える“つながり”と思い

Kanako Yoshida

Image by: FASHIONSNAP

Kanako Yoshida

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パリと東京を行き来するメイクアップアーティストKanako Yoshidaのこれまでとこれから

多様な仕事に見える“つながり”と思い

Kanako Yoshida

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バックステージは本望 潜在的に表現したいことを引き出すメイクを目指す

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⎯⎯ロンドンのあとは再びパリに。一定期間を終えてからは日本を拠点にする方が多い中、Kanakoさんがパリに住む理由はありますか。

 有難いことに、パリにも仕事があるからです。あとは、仕事で関わっていく人たちの幅が広いことが魅力かなと。レギュラーのクライアントもいれば、初めましての人達との撮影も多くて面白い。最近は、リモートでできる仕事もあり、現地にいなくても日本の仕事を受けることができるようになったことも大きいです。ヨーロッパでインプットすることと、日本でインプットすることの両方に違う面白さがあって、定期的に行き来することで、アウトプットした時にそれが混ざればいいなと思っています。

⎯⎯「ウジョー(UJOH)」や「サルバム(sulvam)」「キディル(KIDILL)」、「ファセッタズム(FACETASM)」など日本のブランドだけでなく、「Laruicci」や「キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)」など海外ブランドのバックステージも手掛けていますよね。

 デザイナーとの仕事は時間をかけて組み立てられたコンセプトとデザインを聞きながらメイクを思考するのが好きですね。デザイナーと一緒に働きたいと思ってメイクを始めた部分もあるので、ショーに関われるのは本望です。

 長い付き合いになってきているブランドも多くあります。 サルバムの哲平君(デザイナー 藤田哲平)とは2018年のミラノコレクションで初めて一緒にショーをしました。以降、私はシャネルで働いてコレクション時期は時間がなかったのもあり、数年空いたのですが、また一緒に働こうと誘ってもらいました。基本的にはパリでショーをしていたので、2025年春夏コレクションを東京で一緒にショーができたのは嬉しかったです。

⎯⎯サルバムのショーは藤田さんの母校(文化服装学院)での開催で、ショー全体がとてもエモーショナルな空気でしたよね。バックステージも熱い雰囲気だったと聞きました。

 今回のチームは私が日本にいた頃(約7年前)に働く機会が多かった人達だったので、数年経って50人規模のショーを東京で一緒にできると言うことに、お互いの成長を感じました。そして、改めて東京って独特のスタイルとか空気感があって面白い場所だなとも思いましたね。

sulvam 2025年春夏

Kanakoさんがメイクで参加したコレクション

sulvam 2025年春夏コレクション 全ショールック

2025 SPRING SUMMERファッションショー

⎯⎯現在パリで担当されているブランドはありますか?

 ずっと変わらず続いているのはキディルとキコ(・コスタディノフ)ですね。キディルのショーで初めてメイクをしたのは2017年で、それからキディルは東京とパリでショーを重ね、コロナが落ち着いてきたタイミングで彼らがパリに戻ってきたので、また一緒に働くことになりました。実はキディルへのメイク提案が私にとっての一番のチャレンジだった時期もあります。チーム自体がブランドのカルチャーにドンピシャなチームなので、私が私生活では通ってきていないカルチャー感なんですよね。もちろんスタイルは好きなんですけど、自分のフィルターを通して表現するのが難しかったというか。 そこから回数を重ねる毎に、自分の役割的なものがはっきりしてきたので、今はメイクで全体のバランスを取る感じになりました。

(提供: Kanako Yoshida)

 キコとの出会いのきっかけは、彼がロンドンでショーを始めた頃。そこから、キコはメンズ・レディースと分かれるようになり、メンズのシーズンでパリでショーを始める時に声をかけてくれました。そこから6シーズンくらい、一緒にショーをしています。

(提供: Kanako Yoshida)

⎯⎯ファションショーにおけるメイクの役割について、Kanakoさんの考えは?

 デザイナーが潜在的に表現したいと感じているものを、引き出せるようなメイクがしたいと思っています。前衛的なデザインでもミニマルなデザインでも、目に見える服のデザインの背景にあるものを、メイクを通じてより伝えられたらなと言う思いです。

(提供: Kanako Yoshida)

⎯⎯具体的には、どんなプロセスでメイクルックを作り上げていくのでしょうか。

 まずはテンションや雰囲気のイメージなどを汲み取る作業ですね。コミュニケーション方法も頻度もデザイナーによって全く違います。例えば、一度ミーティングをして、メイクテストのタイミングで今シーズンのテイストや素材についてヒアリングして、私のアイデアを伝えて「いいね」「もう少しこうしたい」とか、直感的なリアクションを拾って作り上げていく時もあれば、早い段階からコレクションを通じて表現したいことやショーでやりたい演出の話なんかを聞いて、メイクでその要素を引き出すこともできるかも、と、双方向的な議論をすることもあります。

⎯⎯ファッションショーのメイクを担当する一方で、女優さんとのお仕事も多くされていますよね?

 そうですね。日本にいた時から、女優さんに関わるお仕事は多かったです。当時は水原希子ちゃんや小松菜奈ちゃんをレギュラー的に担当していました。パリではショーに出席する際のメイクに中谷美紀さんをはじめ、いろんな方からお声がけをいただくようになりました。人前に出ることはプレッシャーを感じることだと思うので、メイクとして皆さんが見た目も気持ちも万全の状態で公の場に出れるよう、送り出したいなといつも思っています。

メイクを通じて、「こうしなきゃ」から解放するマインドを広めたい

⎯⎯Kanakoさんのメイクの話を第三者に聞いてみると、「カラーが得意」「肌づくりが綺麗」「ファッショナブル」などいろんな意見が出てきます。ご自身では何が特徴だと思いますか?

 私のメイクは、何をするにしてもモデル自身の顔を尊重することがベースにあります。色を使うのも好きだし、あとは説明的になりすぎないことを意識してるかもしれないです。あとは、受け取られ方は他者に委ねるくらいがちょうど良いと思っています。

(提供: Kanako Yoshida)

 多くの人にとっては、メイクって自分をどう見せたいか、気になる部分をどう魅力に転換するかの“ツール”の側面が大きいのかなと思う時があります。楽しい反面、悩んでしまう人もいる。だから、あまり固定概念に捉われなくても大丈夫なんじゃないかって、伝えていきたいです。

⎯⎯日本人は美に対して熱量が高い反面、「正しい方法」を知りたい人も多い印象です。最近はメイクをより楽しんでもらうためにも、こうしたメンタル面へのアプローチを意識している業界の人が増えてきているように思います。

 自分の周りや最近出会った人たちとも、そういう話をすることは多くなったと感じます。でも直接発信できる場は意外と少ない。そういう気持ちもあって、代官山のサロン「アンダーカレント(Undercurrent)」で、2024年11月にマンツーマンで私のメイクが受けられるメイク体験を実施してみました。

⎯⎯アンダーカレントはどんなサロンですか?

 2023年1月に、友人のヘアスタイリストのTAKAIと一緒に始めたサロンで、代官山と渋谷の間にあります。

⎯⎯いわゆるヘアサロンですが、メイクとヘアスタイリストが立ち上げるって珍しいですよね。

 私がサロンで経験がないので、そこがまず珍しいですよね(笑)。違った感覚の2人で経営した方が、面白いことができると思ったんです。TAKAIとは長い付き合いで性格とかは全然違うんですけど、根本的な想いとかスタイルは似ているんです。

⎯⎯サロン運営ではオーナーやディレクターのコンセプトを立てながら、所属アーティストがスキルを磨くイメージがありますが、アンダーカレントでは違いますか?

 オーナーがレールを敷いて、いろんな人が同じ方向に向かうって面白くないじゃないですか。基本的に自主性を尊重してたいと思っています。でも、その中で自分のスタイルを追求して、目的を達成するのって容易ではないと思うんです。なので、一緒にコミュニケーションを取りながら、それぞれのやりたいことを具現化していけたら、美容だけにとどまらないみんなのクリエイティブな可能性に出合えるんじゃないかと思っています。

⎯⎯話は戻りますが、メイク体験の様子をSNSで拝見しました。幅広い年齢層の方がいらっしゃっていたんですね。

 予想外に色々な方が来てくれて、とても楽しかったですし、私自身、気づきが多かったです。私のメイクの仕方や考え方に「え、これでいいんですか?」っていう場面もたまにありました。私としては別にどちらも間違いではない。大事なのは自分の特徴を知って、似合うものを見つけることですね。デジタル化されて、情報過多な時代だからこそ、実際に会って、お話して、施術するって大事なんだなと実感しました。あとは、同じくメイクを仕事にする方が、私のメイクが気になったから、と足を運んでくれたのは嬉しかったですね。

 こういう小さな催しで、何かが劇的に変わるとか、今ある美の概念や基準を淘汰しようとは考えていませんが、体験を受けた人の視野が少しでも広がって、より深く自分と向き合うきっかけになってもらえたら嬉しいなと思います。

⎯⎯これまで日本、ロンドン、パリと渡り歩いてきて、どこが一番しっくり来ますか?

 住む場所にそんなにこだわりはないですね。これだけ文化が違うので、それぞれでインプットして、それぞれでアウトプットするのが理想。なので、パリと東京を行き来する今の生活がしっくりきていますね。

⎯⎯今気になっていること、これからやりたいことは何ですか?

 パリと東京、美容と他のジャンル。今ある現状と新しく始める何かが、どんどん繋がっていくような事になれば、楽しそうだなと漠然と思っています。 アンダーカレントも、2店舗目を目指したいなと考えています。

最終更新日:

■Kanako Yoshida:makeup artist/salon owner
パリを拠点に東京と行き来しメイクの活動をしながら、hair stylistのTAKAIと共にヘアサロンundercurrentを2023年1月に代官山にオープン。エッジィでモード感の強いテイストをリアルに落とし込むメイクの提案を得意とし、モデル自身の顔の個性を活かしながら普段とは少し違う表情をメイクで引き出す。いつ見返しても色褪せずトレンドに偏りすぎないメイクを目指す。日本の若年層向けのストリートカルチャーと、ラグジュアリーメゾンである「シャネル」で得た洗練された大人の女性への提案を自身の解釈で融合し、独自の感性で表現する。
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