kemioとkemio storeクリエイティブ ディレクターの小林翔太
Image by: FASHIONSNAP
「ケミオ ストア(kemio store)」は、動画クリエイターのkemioがプロデュースするオフィシャルグッズストア。2020年10月16日、kemio自身の25歳の誕生日にオープンして以来、kemioの名前や写真を使ったファングッズだけでなく、懐かしさのあるY2K(2000年代)の雰囲気を取り入れた、デザイン性の高いアイテムで注目を集めてきた。これらは、新興ファッションメーカーのコネクト インターナショナル(KONNEKT INTERNATIONAL)が手掛けており、ファッション業界で経験を積むデザイナーやクリエイターを起用して、日常でファッショナブルに楽しめる商品作りを目指しているのが特徴だ。
5月15日まで開催しているラフォーレ原宿での初のポップアップストアでは、これまでの人気商品をはじめ、1990年代に一世を風靡したゲームキャラクター「パラッパラッパー」とのコラボアイテムや、ジュエリーデザイナーの奥田浩太との協業によるシルバーアクセサリーなどを含む限定商品をラインアップ。来場者が写真撮影を楽しめるフォトブースを設けた店内で取り扱い、賑わいを見せている。20日には第4弾の新作コレクションをオンラインで発売予定だ。
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今回は、ユニークな世界観と商品づくりの秘話などを、kemioと、 ケミオ ストアのクリエイティブディレクターを務める小林翔太(コネクト インターナショナル取締役)に聞いた。
ー初のポップアップストアのオープン、おめでとございます。率直な感想は?
kemio:ありがとうございます。ブランドをスタートしたときから、ずっとリアルイベントを行いたいと考えていたのですが、コロナ禍だったので、オンラインのファンミーティングになっていました。こうして、商品を実際に手にした方とお会いすることができるのはとても嬉しいです。また原宿は学生時代から一番通った街で、ラフォーレ原宿も買い物を楽しんできた場所でした。なので、自分がここで店舗を開けるのは、感慨深く、エモいですね。
ーオンラインストアも、このポップアップストアのデザインも、ユニークな仕掛けがいっぱいありますね。
小林翔太(以下、小林):「地球上のみなさんの今日をちょっと+1する」というコンセプトのもと、フューチャリスティック(近未来的)であり、ノスタルジック(懐かしさ)でもある世界観を取り入れています。ECサイトには、kemioさんのアイデアでアクセスカウンターを付けることで、サイトを訪れた方たちが“キリ番”をスクショしてSNSで投稿してくださるなど、話題にしてくださっていました。原宿のポップアップでは、人形の箱に入られるようなフォトブースを用意して、来場者が撮影を楽しんでいただける仕掛けを作りました。
ーケミオ ストアのデザインは、今大きなトレンドになっているY2Kや90年代のリバイバルの雰囲気にもマッチしていますね。やはり、この年代への憧れは強くあるのでしょうか?
kemio:子どもだった頃(1990〜2000年代)に、テレビや雑誌を通して見ていたファッションやカルチャーは思い入れがありますね。「あの頃に20歳くらいで生きていて、自由にお金が使えていたらどんな風に過ごしていたんだろう?」と、妄想したり。なので、大人になってからは、子どもの時に手に入らなかった、当時のおもちゃや古着をメルカリで買い漁っています(笑)。
ーポップアップの目玉となっているパラッパラッパーとのコラボは、どのように実現したのですか?
kemio:僕は1995年生まれなので、実際にゲームが流行ったとき(1996年発売)には遊んでいた年代ではなかったのですが、当時アニメがやっていたり、「マクドナルド」のハッピーセットのおもちゃになっていたりと、パラッパラッパーに触れる機会は多く、幼い頃から好きなキャラクターでした。グッズも大人になってから集めてきていたので、いつかコラボしたいと思っていたんです。今年はパラッパラッパーの今年25周年ということで、実現させることができました。
ーこれまでに反響のあったアイテムは?
kemio:僕の顔がプリントされているアイテムが、ファンの方は嬉しいみたいですね。第3弾で出した証明写真をのせたキーホルダーは、たくさんの人がゲットしてくださっています。
小林:あのキーホルダーは、お会いするファンの方が「持っています!」と見せてくださりますよね。あと宇宙の絵とガラケーを合わせたデザインフーディーは、クリエイティブ面でも、デザイン業界の方々から好評をいただきました。
ーユニークな商品は、どのように生み出されているのでしょうか?
小林:海外のグッズマーケットは、著名アパレルブランドのデザイナーを招聘して、クリエイターやブランドとのコラボアイテムを出している傾向があり、アーティストグッズやフェスグッズが日常的におしゃれに着られるものが増えていました。ケミオ ストアでもファッション業界で活躍するデザイナーやクリエイターがデザインを手掛けることで、kemioさん自身やファンの皆さんが日常的に楽しんでいただくことはもちろん、逆にグッズからkemioさんを知る人が出てくるようなブランドになっていってほしいです。実は有名なハイブランドを扱うようなセレクトショップから、商品を取り扱いたいとオファーがあったこともありました。また海外発送(現在はアメリカと韓国のみ)も行っているので、海外の方の購入もみられています。
ーkemioさんとケミオ ストアのチームは密にコミュニケーションを取っているのですか?
小林:kemioさんがニューヨーク在住ということもあり、頻繁にお会いすることは難しいので、チームの皆がkemioさんのことをリサーチし続けていますね。SNSや動画なども必ずチェックしているので、ある意味追っかけのようなファンで(笑)。kemioさんの思いや感覚をチームが理解できるように努めたいと思っています。打ち合わせが必要になることもありますが、他のお仕事の邪魔にならないような距離感を保ちながら、コミュニケーションをとっています。kemioさんの好みも日々で変わっていくので、そこを僕らチームがうまくキャッチして、そのときリアルに好きなテイストなどを発信していけるようにしたいですね。
ーファンが作るファングッズなのですね。20日に発売する第4弾の新作はいかがですか?
kemio:そこまで気にかけてくださって、チームの皆さんに感謝しています。第4弾は、アイデア出しから、想像以上の商品が完成し、最初に見た瞬間から「かわいい!」「すごい!」と思うものがたくさんありました。みなさんに楽しんでいただけると思います。
ーkemioさんの新作エッセイ「ウチらメンタル衛生きちんと守ってかないと普通に土還りそう」が3月に発売されましたね。この本にはどのような思いを込めたのでしょうか?
kemio:3年前に出した書籍「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」は、僕自身20代前半で、快速運転でゴーゴーゴーという感じで、「自分のやりたいことに歯向かう人は、全員スワイプして消していこう」みたいな強気な精神で生きていたんですけど(笑)。20代後半になって、コロナ禍を経験したり、社会問題を考えたり、環境や心境の変化を感じることもあって。今はポジティブやネガティブな感情でさえも、いろんな角度から自分を愛せるようになりたいよね、という思いが詰まった内容になっています。
ーどんな反響を得ていますか?
kemio:周りからは「丸くなったね」とか、「おおらかになったね」って言われますね(笑)。自分では気が付かないことが多いですが…。
小林:お仕事では2年ご一緒させていただいていますが、2年前と今では、kemioさんの変化を感じますね。行動的でクリエイティブな部分はそのままですが、コンテンツの内容もどんどん大人になっている。
ーファンの皆さんはずっとYouTubeやSNSの発信を見てくださっていて、一緒に成長していっている感覚なのでしょうか?
kemio:それをすごく感じます。SNSで発信するようになって10年以上経ちますが、小学生の頃に僕を知ってくださったファンの方が、今は大学生になっていることもあり、一緒に歳を重ねていっていますね。このような関係性を築けていることは、とても嬉しいことです。
ー今後やってみたいことは?
kemio:泳げないので、水泳を習いたいのと、免許を取得したいですね。2回試験に落ちてしまっているので…(笑)。仕事面では、これまで1人でYouTube動画を作ってきたんですけど、もっと人と一緒に仕事をしたいという思いがありますね。動画になるのか、制作物になるのか、アウトプットの方法は未定ですが、エンターテインメントの世界が好きなので、そういった表現でいろんな人とアイデアを出し合って作り上げていくようなことをやっていきたいです。
ーケミオ ストアの今後は?
小林:新しいことに挑戦していきたいと思っています。一般的なアパレルブランドではないので、洋服や雑貨以外にも、お菓子を作ってみるなど、楽しい仕掛けを行なっていきたいですね。NFTやメタバースとも相性がいいと思っています。また現在は余剰在庫という環境問題に配慮した予約販売という手法をとっています。当社では、オンデマンド生産システム「コネクテッド(KONNEKTED)」を提供しているので、そのような自社のソリューションも連携し、今後さらにSDGsを意識したモノ作りに力を入れていきたいです。
■kemio storeポップアップショップ
期間:2022年5月7日(土)〜5月15日(日)
会場:ラフォーレ原宿 2階 CONTAINER
営業時間:11:00〜20:00
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