Fashion インタビュー・対談

"究極に無駄な贅沢" 川西遼平らが立ち上げた新ブランド「レ・シス(LES SIX)」とは?

 「究極に無駄な贅沢」ーーー"日本人若手創作家集団"が立ち上げた新ファッションブランド「レ・シス(LES SIX)」について、メンバーの1人 川西遼平はそう説明する。仕立て職人や彫金師、ジュエリー職人、革職人、グラフィックデザイナーなどさまざまな業界で活躍する若手が携わり「リステア(RESTIR)」限定で展開されるファーストコレクションは、コーチジャケットが26万円、フーディが6万円と海外のビッグメゾンにも引けを取らない価格帯だ。「日本発のラグジュアリーブランド」を目指すという新たなる試みについて、来日中の川西に聞いた。

 

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ー 立ち上げに至った経緯は?

 3年間「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」を手掛けてきて、新しい学びはたくさんありました。ランドロードは制約があって、だからこそビジネスとして上手くいっている。そんな中、ものを作っていく上で「もっとこうしたい」という考えもでてきて、自分の好きなことややりたいことを制限なくアウトプットできる場所としてレ・シスを作りました。まだ僕自身どうなるのかわからない部分が大きく、実験的な試みです。

ー ブランド名の「レ・シス」は、20世紀前半にフランスで活躍した作曲家の集団「フランス6人組」に由来しているんですね。

 MoMAの展覧会「Items: Is Fashion Modern?」への作品出展など僕自身の活動は「Ryohei Kawanishi」名義でやっていますが、服を作るとなると僕1人ではなくてグループでの作業になる。レ・シスも僕だけの活動ではないので何か良い名前がないかなと考えていたときに思いつきました。レ・シスはジャン・コクトーとも親交があったんですが、自分がものを作って説明するときにコクトーのようなやり方ができればベストだな、という考えもあって、ブランド名に採用しました。

ー メンバーは何人?

 今は6〜7人です。ただ、固定ではなくシーズンごとに増えたり、減ったり。それぞれの活動拠点も色々な国に散らばっています。

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開襟シャツ(14万円)には、エジプトの限られた地域でしか採れない綿で織られたコットンを採用


ー ウエアは5アイテム。細部まで
こだわっていますね。

 コーチジャケットは芯貼りまで手縫いでしてもらって、スーツと同じ製法で手作業で仕立てられています。シルバーのボタンも彫金師が手で磨いて燻したもの。ボタンホールも手縫いです。ワークパンツには、タキシードに使う生地をイギリスから取り寄せて使っています。究極に無駄な贅沢をしていますね。本来1,000円で買えるアイテムのコーチジャケットをわざわざ仕立てるとか、タキシードの素材であえてワークものを作るとか、そういうひねりやアイロニーが好きなんです。

ー Tシャツやフーディのメッセージにも"ひねり"が?

 ニューヨークで見つけた昔のレアな缶バッジのメッセージをTシャツやフーディに落とし込みました。「LEGALIZE CONTRACEPTIONS FOR TEENAGERS(=10代の避妊を合法に)」や「ARE YOU COMING TO THE ORGY?(=乱行パーティーに来る?)」とか。いまの時代だったら見かけないようなメッセージが面白い。

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ー Tシャツ以外のアイテムは全てシルバージュエリーがついているんですね。

 紐の結び目部分をシルバーで型取りしたシルバージュエリーがフーディやジャケットにあしらって、シャツだったらボタンにシルバーを使っています。コーチジャケットに至っては内ボタンまであわせてシルバーが8個ついていますね。服のブランドをやっていて直面した事実として、布は半年経つと値段が下がりますが、ジュエリーは値崩れしにくい。これから先を考えると、それは結構大事なことだなと思っています。良いものを作っているのに半年後には値段が落ちてしまうって、よくわからないじゃないですか。レ・シスではセールもかけずに展開します。

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隕石を使用したネックレス(7万円)


ー ウエアのほかに、ネックレスとウォレットチェーンも。

 ネックレスには隕石がついているんです。これは1940年代にロシアに落ちたもので、46億年宇宙を旅して地球にたどり着いたそうです。

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ー ルックブックはラッパーのIOさんをモデルに、新宿のゴールデン街で写真家の渡辺眸(わたなべひとみ)さんが撮影。学生運動など政治的なムーブメントを撮影した作品で知られる渡辺さんにとって、ファッションシューティングは今回が初めてなんですね。

 偶然知り合う機会があり、僕の方からオファーしました。写真でこんなに深い黒が出せるのは、写真同人誌「プロヴォーク(provoke)」の世代の方だけだと思っています。眸さんは全共闘の中にいた人で、ジャーナリストとして外から撮るのではなく、立てこもっていたチームのオフィシャルカメラマンとして中から写真を撮っていた人物。写真に生っぽさがある。僕がもともと自分の作品でも政治的なものを作ったりしていたので、今こうやって一緒に物作りができるのはとても嬉しいです。

ー 全共闘世代や焼け跡世代は、レ・シスのインスピレーション源にも。

 あの世代は日本の文化や歴史を作った人たちがたくさんいて、反骨精神が今とは全然違う。自分の親よりも年上で普通だったらあまり関わりのない世代ですが、積極的に一緒にものづくりをしていきたいなと思い、少しずつ声をかけています。

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ー レ・シスの立ち上げによって、ランドロードの方に変化は生まれますか?

 それはないですね。ランドロードはランドロードでとても楽しくやっているので。2つは異なるもので、ランドロードでは軽さを突き詰めてやっている。でも本来僕が学んできたものは重いもので、自分の趣味としても重いものを好んでいます。レ・シスではそっちの部分をリフレクトできるような作品作りをしたいんです。

ー 今後はどのようなペースで展開していくのでしょうか?

 そうですね。半年に1回のペースでコレクションを出していきますが、1シーズン5型くらいなので、5年続けて他のブランドの1シーズンに追いつくくらい。自分が良いなと思えるものを出せるように、焦らずゆっくりやろうと思っています。

■LES SIX:公式サイト

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