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“アメリカらしい”ルックとアティテュードで表現するアンチテーゼ 「レシス」24年春夏コレクション

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「レシス」の2024年春夏コレクションルックより

Image by: LES SIX

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“アメリカらしい”ルックとアティテュードで表現するアンチテーゼ 「レシス」24年春夏コレクション

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 11月22日夜、アンダーグラウンドな雰囲気が漂う新宿の小劇場「アットシアター(at THEATRE)」で、川西遼平率いるブランド「レシス(LES SIX)」の2024年春夏コレクションの上映イベントが開催された。

 会場が暗点するなり始まったのは、アメリカの入国審査官に扮した男性による一人芝居。これからアメリカに入国しようとする川西らしき人物に、入国の目的や職業を問いかけ、指紋採取や顔写真の撮影を求め、最後には「アメリカに神の祝福を(God bless America)」と愛国的なお決まりの言葉を掛けるという一連のパフォーマンスに、観客であるこちら側は、アメリカにとっての“余所者"であるという視点を与えられる。

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 そんなパフォーマンスに続いてスタートした2024年春夏コレクションのショー映像は、どこか「古き良きアメリカ」を思わせつつも不穏さを感じさせるような、シャンデリアや豪華な調度品、星条旗が飾られた重厚感のある部屋を舞台に展開。ファーストルックは、ポマードで固めたオールバックのヘアスタイルに、ブルーのピンストライプのシャツと赤いネクタイ、ワッペンが散りばめられた黒いフライトジャケット、オレンジのフライトスーツのようなパンツに身を包んだ芸人の鳥肌実が、狂気と怒気が入り混じったような表情と足取りで登場。続くルックでも、MA-1やミリタリーシャツ、カーゴパンツ、コンバットブーツ、カモフラージュ柄のジャケットやパンツなどのミリタリーアイテムと、Tシャツやパーカー、ダメージデニムといったアメリカを代表するカジュアルアイテム、国旗である星条旗をはじめ、マクドナルドのキャラクター ドナルド・マクドナルドや、赤や青のストライプ柄、鷲柄のエンブレムといったアメリカ文化や社会を象徴する柄やモチーフをふんだんに取り入れたスタイルを、計31体披露した。

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2024年春夏コレクション

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 これ以上ないほどに“アメリカらしい”ルックを展開しつつも、川西が今回のコレクションで提示しているのはアメリカへの「賞賛」ではなく、むしろ強い「アンチテーゼ」だということが、スタイリングやアティテュードの随所から伝わってきた。いかにもアメリカを象徴するようなスタイルに身を包んだモデルたちは、多くのルックで目出し帽やフェイスマスク、バンダナなどで顔を覆い、手には拳銃やライフルを持ち、怒りや暴力性を感じる足取りや態度で「グレート・アメリカ」的空間に乗り込んでくる。その姿からは、アメリカが過去から現在にかけて関わってきた数々の戦争や暴力、アメリカ国内で度々起きる銃乱射事件と昨今増加する組織的窃盗犯罪などの背景にある経済格差、トランプ政権下で加速した排外主義、宗教や民族による差別や分断など、様々な問題を観る側に想起させた。

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 ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)やニューヨークのパーソンズ美術大学(Parsons School of Design)での学びを経たのちに、両校出身者やアメリカ軍支給品の縫製工場とタッグを組んだブランド「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」を手掛けた経験を持つ川西は、「テーマについては明言できない」としながらも、「アメリカや西洋社会のルールやシステムから離れた日本にいるからこそ、インディペンデントだからこそできる強いものづくりは何か、ということを考えて作った」と言及。また、日本でも古着ブームやアメカジブームなどが盛り上がっている中で、「ただアメリカのカルチャーやファッションがかっこいいということで終わらせるのではなく、それが元々どこから来ているのか、それをただ良いものとして捉えるのはどうなのか、というクエスチョンを自分なりに投げかけてみようと思った」と話し、ファッションでもそれ以外の分野でも権威として君臨する欧米のシステムや価値観に疑問を投げかけるとともに、消費者にも無批判な享受ではなく、気づきや思考を促すような試みであることを明らかにした。

LES SIX 2024年春夏

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