左上)大川ひとみ、右上)立花ハジメ氏と仲良しの友人たち
1970年のデビュー以来、国内のドメスティックブランドの礎を築き上げた「ミルク(MILK)」の大川ひとみ。今回FASHIONSNAP(Fスナ)では、日本のカルチャーを牽引してきた原宿を中心に、国内外で世代の異なる様々なクリエイターと交流を持ち、常に新しいストリートスタイルを提案してきた彼女に迫る短期連載をお届け。最終話は、彼女が考える原宿という街の魅力と、「かわいい」という言葉の定義について。
ー大川さんは今も原宿在住ですよね。
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はい、今も竹下通りを歩くのが大好きです。この間もね、13歳くらいの男の子2人組が踊っている動画を撮っていたの。人混みの流れに逆らって、2人だけが一生懸命踊っている姿をみて感激しちゃって。その姿を見て「負けてらんないな」と思いました。
原宿は平和なんですよね。緑も多いし、安全だし、明治神宮があるからなのか、不思議と日本独特の雰囲気も感じる。可愛い子も多いし、喫茶店もまだ残っているし、パチンコ屋もないし(笑)。
ー原宿の喫茶店と聞いて思い浮かぶのは、原宿セントラルアパート※の1階にあった「レオン」です。
ミルクのとなり※1だったから本当によく通いましたね。店員さんも感じが良くて、トーストもすごく美味しかったし。1日に3回くらい行っていたんじゃないかな。私たちはやっぱり街に生きていて、お茶をしたりするカフェ文化がすごく大切だった。ちょっとしたミーティングもできるしね。
※原宿セントラルアパート:表参道にあった住宅・商業施設。上層階には事務所、下層階に店舗が入居する形態で、カメラマンやコピーライター、イラストレーターなどのクリエーターが多数入居し、1960年代から1970年代にかけての若者文化を象徴する建物のひとつとして知られている。
※1:「ミルク」は1970年に原宿セントラルアパートの1階にオープンした。
ー原宿セントラルアパートは1998年に解体されていますが、当時寂しい気持ちはありましたか?
あんまりなかったかな。日々をこなしていくことで精一杯だったし、一つのことだけを考えていたら次のことができなくなっちゃうでしょ。
ー大川さんにとってミルクはどういうブランドなんでしょうか?
子どもから大人になろうとしている女の子に向けてのブランド。やっぱり、大人になっていく過程って1番キラキラしている時でとっても可愛いし素晴らしいと思う。実際に、ルックモデルとして協力してくれた子たちや、お客さんが、子どもから大人になる経過を見ていると、勉強になるんです。
今の時代は特にそうですけど、色々な子がいるから、私たちはそれに合わせて発信をしていく。そういう時に一番大切なことは、あまり流行を先取りし過ぎないことだと思っています。ミルクというブランドは、少し野暮ったい感じがかっこいいし、可愛いかなって。その路線を崩さないように、気をつけています。
ー大川さんの考える「かわいい」の定義は?
時代によって「かわいい」の定義は違うと思うんですけど、人間の持っているピュアな心のことだと思います。それはお花が可愛いとか、赤ちゃんが可愛いとか、動物が可愛いとか、それくらい純粋な気持ちのこと。このピュアな気持ちが全ての物事の基本かな、って。
私も含めてね、みんな心は16歳のままなんですよ。みんな隠しているだけで、そういう気持ちを胸の内に秘めていると思う。その気持ちこそが「ミルク」であり、だから楽しい。本当に大変だし、みんな好き勝手言いたいことも言ってくるけど、「かわいい」と「ときめき」は忘れたくないし、だからこそファッションブランドという仕事は、好きな人とじゃないとできない仕事なんじゃないかな。
【連載:MILK大川ひとみがFスナだけに話してくれたこと】
第1話「すべてを表現できる職業」
第2話「『ミルク』と『ミルクボーイ』ができるまで」
第3話「藤原ヒロシ、ジョニオ、NIGO®との出会い」
最終話「みんな心は16歳のまま」
(聞き手:古堅明日香)
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