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モードノオト2025.09.04

「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」の2026年春夏コレクションのルック画像

Image by: FASHIONSNAP

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ファッションジャーナリスト

麥田俊一

1990年より東京、パリなどの各都市で開催されるファッションショー及びデザイナーへの取材を続ける。雑誌『QUOTATION』のファッションディレクターを務める傍ら、新聞、雑誌に記事やコラムを定期的に寄稿。桑沢デザイン研究所非常勤講師。2019年より2021年まで共同通信社47newsにてコラム『偏愛的モード私観』を毎月更新。2014年より現在までFASHIONSNAP.COMにて短期連載『モードノオト』を寄稿。(photo by Shuzo Sato)

 縁あってブランドの歴史を振り返る取材を受けたことがある。短期間ではあるが、足繁く当時の事務所に通った記憶がある。勿論、津森千里本人の談話も取った。往時「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」はパリでショーを続けていた。パリでも毎回取材をしてきた。服を作ること以上に、服のために絵を描くことが本当に好きなのだな、と云うことを、一連の取材を通して改めて実感した。服を彩る自作のイラストこそが、津森が感じ、考えることを表現した、ハッピーでガーリーな服と云うブランドコンセプトを体現する尤も有益なメディアなのである。身の回りにあるモチーフはドローイングやスケッチの題材となり、プリント図柄に組み込まれる。その流れは今も昔も変わってはいない。

「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」の2026年春夏コレクションのルック画像

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「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」の2026年春夏コレクションのルック画像

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 印象に残るイラストは、思い出の数だけある。なかでも私が一番ユニークだと思ったのは自画像のモチーフである。本人が一層確かに自身の姿を捉えているのか、その胸中の自画像は常に生き生きとしている。これまで幾度も、本人が描いた自画像は、プリントや刺繍で服に落とし込まれていて、確か、二十五周年を迎えた2015-16年秋冬コレクションにも本人の自画像が採用されていたように思う。ガーリーだけれど素朴、ポップだけれど人懐こい。素描のようなイラストそのものも魅力的だが、それらが服の設計に変換されてこそ、その命は一段と輝き出す。「縦縞や横縞、格子柄や水玉模様は、私のなかでは『無地』と同じ」と本人が豪語するだけあって、ここまで色柄で遊ぶブランドも珍しいのではないだろうか。シーズンを失念してしまったが、往時のアメコミ人気にあやかった「スーパー“ツモリ”ウーマン」(津森本人が「スーパーマン」に扮したイラスト)は極め付けだった。

 また、ブランドのミューズをデザイナー本人が務めると云うあたりも、このブランドらしいユニークな一面である。そのことを自ら公言して憚らないのだ。本人が標準体型に近いと云うことから、仮縫いでも自ら袖を通し、着心地とシルエットを確認すると云う。年齢云々ではなく、津森と同じ感性、感覚を持った凡ての女性がターゲットだけに、自身がミューズと云うのも過言ではないのだろう。私は、津森の、子供のような天真爛漫を羨ましく思っている。

「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」の2026年春夏コレクションのルック画像

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「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」の2026年春夏コレクションのルック画像

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 2025年9月4日、ツモリチサトは、渋谷区神宮前のTC HOUSE(アトリエ兼直営店)にて2026年春夏コレクションを発表した。今回の東京でのショーは、ブランド設立三十五周年を記念して開催されたものだ。パリにて発表した2018-19年秋冬コレクション(パリデビューは2004年春夏シーズン)以来、七年半ぶりのショーとなった。パリデビューのシーズンは記憶に残っている。「アフロディテ」がそのときの主題で、ギリシャ神話の女神を彷彿させるドレープを効かせたマイクロミニがファーストルック。ピュアな白の潔さが、果敢に挑む当時の津森の熱い思いを代弁するかのようで、印象的なスタイルだった。花や植物、海洋生物、地球、虹と云った津森が愛して止まないモチーフをギュッと濃縮したようにちりばめた今季の作品群は、涼やかなパステルの色彩と煌めくスパングルで彩られている。ファンタジーは、彼女の内面で絶え間なく変化し、変化することで自らを創造し、自らを創造することによって生き続けてゆく。来たる四十周年に向けて、このファンタジーは止むことはないのである。(文責/麥田俊一)

TSUMORI CHISATO 2026年春夏

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TSUMORI CHISATO 2026年春夏コレクション

2026 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

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