
Image by: FASHIONSNAP
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歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第63回は「エルメス(HERMÈS)」キーリング編。
2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
廃盤となった希少なシェーヌダンクルのキーリング
今回は、ヴィンテージエルメスのキーリングをピックアップしました。まず紹介したいのが、数あるエルメスジュエリーのなかでもトップクラスの人気を誇る、シェーヌダンクルのキーリングです。

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シェーヌダンクルが誕生したのは1938年のこと。長い期間販売されていたので、時代によって仕様が少しずつ違っています。1960年代の個体にはシルバー800の「初期コマ」と呼ばれる四角いコマが、それ以降はシルバー925のコマが用いられています。コマのシルエットなど、細かい違いについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、是非ご覧ください。
僕が面白いと感じるのは、この仕様の変遷がネックレスやブレスレットなどのメジャーなアイテムだけでなく、キーリングでも同様だということ。下の画像で言うと、真ん中の四角いコマの個体はシルバー800が用いられた1970年代以降のものです。このシェーヌダンクルのキーリングは既に廃盤になっていますが、根強いファンが多いアイテムです。

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今ならば、こういったキーリングはパンツのベルトループに引っ掛けて使う方が多いですよね。ですが、このシェーヌダンクルのキーリングは、画像の下2つのように片方がTバー(T字型のトグル)になっている個体が多いので、シンプルにキーリングとして使っていたのだと思います。Tバータイプはキーリングとして使うだけでなく、ベルトループに引っ掛けてアクセサリーとして楽しむのもオススメです。僕が個人的に愛用しているのは、画像上の両方ともがナスカンになっているタイプ。これならば、ベルトループに下げて使えます。こちらはTバータイプと比べて流通量が非常に少ない1970〜80年代のアイテムです。

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誰でも付けられるのでプレゼントにもオススメ
もうひとつのキーリングは、ホースビットと呼ばれているモデルで、ホースビットとは馬の口にくわえさせて馬を制御する轡(くつわ)のこと。画像を検索して見ていただくとよくわかるのですが、このキーリングのフォルムは轡の形そのものなんです。

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ホースビットは両方が丸カンですが、以前紹介したヴァンドームと同じくエルメスならではの卓越した職人技によるギミックが隠されています。この刻印が入った部分がボタンになっており、ここを押すと丸カンがスライドして開口部が露出し、鍵が付けられるようになるんです。

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年代や状態にもよりますが、シェーヌダンクルのキーリングの相場は50万円〜が目安です。ちなみに、キーリングは古代エジプトや古代ローマの時代から使われており、その頃は高い身分の人が鍵をまとめて所有しておくためのものだった、という説があるようです。さまざまな技術が進歩し、最近は財布を持つ人が減ってきましたが、鍵をひとつも持たずに生活している人はまだほとんどいないでしょう。ヴィンテージエルメスのキーリングはシンプルなデザインで上品な印象があり、年齢や性別、ファッションテイストを問わず付けられます。ジュエリーだけでなく、このような小物類にもこだわってみるのはいかがでしょうか。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
最終更新日:
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