Fashion 次世代の担い手たち

【連載】次世代の担い手たち - vol.6 AKIKOAOKI 青木明子 -

「リアルクローズという意味だけではない」アキコアオキが目指す"リアリティ"

−ブランドコンセプトに「ファッションを生きる行為そのものと捉え」とあります

 デザイナーとしてやはりスタイルを作ることが大事だと考えています。ロンドンにいた時はイーストが流行っていましたが、イーストは汚くて治安も悪くて(笑)。日曜日にはフリマをやっていて、普通に左右違う靴が売ってたりするんですよね。そこにいる若い人たちは古着とかを着ているんですが、ただ生活など関わっているもの全てが装いにリンクしていると感じることができて、とても格好良いと思いました。リアルクローズという意味だけではない"リアリティ"があるというか。その感覚を大事にしていて、アキコアオキは着用してくださる方が"リアリティ"を見つけられるブランドでありたいなと思っています。

−リアルクローズには興味がない?

 そんなことはありません(笑)。個人的にも、洋服を着ることは大好きです。ただ、ショーをやるのであれば、瞬間性は大事にしていきたいと思っています。そして、今ある既存のもの、事、そしてその先にあるであろう未来さえも示唆していくことがファッションではないかと考えているので、時代の流れによって振り切っていきたいですし、そうした「衣服」というオブジェクトを通して生まれるその先の姿勢は大切だと思っています。

−どうやってデザインしているんですか?

 思考ベースで何となくやりたいことのイメージがぼんやりあって、それをちょっとずつ集合させていく感じです。イメージと言ってもかなり抽象的で、服のビジュアルが思い浮かんでいるわけではありません。ここ数シーズンはショーの後に囲み取材があって、そこでシーズンテーマについて話させて頂いてますが、実は完成に近くならないと言葉にできなくて。作っている段階では自分自身でもうまく言語化できなくて、前回のテーマは「プリミティブ」でしたが、それも前日にうまくリンクしているなと思ってテーマとして打ち出しました。

−デザイナーは事前にテーマを設定する方が作りやすいと思いますが?

 そうですね。そういうやり方もあると思います。余白を残しておくと、コレクションを作っている最中に今まで自分になかった感覚や発想が見つかったりして、自分の中の引き出しが増えてくるような感覚が個人的にあるんです。そして仮にテーマを辻褄とするならば、辻褄が合わない瞬間にこそファッション性が宿るという印象があります。軸はぶらさず、他をどこまでぶらせるか、というか・・・。

−デザインすることが辛くなることはありませんか?

 精神的にキツくなることは多々あります(笑)。ただ服作りは心の底から楽しいんです。
見るのも好きです。最近は「カルバン クライン(Calvin Klein)」が気になります。

カルバン クラインの2018年春夏コレクションはどこが良かったですか?

 最近はメンズテイストが気になっていて。メンズ的な思考でデザインしている服はさっぱりしていると思いますし、それが今の個人的な気分に近いという感覚があってラフ・シモンズ(Raf Simons)のカルバン クラインにはそこをすごく感じました。

−メンズはディティールが決まっているからという意味でですか?

 そうですね。シャツならシャツ、ジャケットならジャケットと決まっていて、その中ですっとデザインを入れているところが今はいいなと思います。潔さがあるというか。今話題の「キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)」も素敵だなと思います。

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−以前「コレクションにストーリー性はいらない」と言っていました

 時代性とそのクリエーション毎の設定の問題だと思っていて、女子美術大学にいた時はストーリー性がある服を格好良いと思っていましたが、今は架空のストーリーみたいなものを皆そこまで求めていないんじゃないかと思うんです。ファッションはその時々で変わるので、またストーリー性があるものを求めるようになるかもしれないですけど。「最後に生き残る生物は環境変化に適応できる者」という言葉がありますが、時代に合わせて価値を変えるファッションはそれに似ていると思っています。

−その理屈でいくと、ファッションはまだまだ死にそうにないですね

 そう信じています。

クリエーションで世界へ

−2017年春夏コレクションから評価が高くなった

 初めて一人でショーをやったということもあって、ちゃんと見て頂けたというのはあったかもしれません。個人的に2017年春夏は、やりたいことが単独ショーで初めてできたシーズンでした。

−次回の2018年春夏コレクションは当初展示会のみの発表という予定でしたが、ショーの開催が決定しました

 出会いがあって、ショーをできることになりました。洋服のクオリティだけではなく、ブランドとして全ての面をアップグレードさせるために、体制を整える必要があると考えていました。そのためお金も時間も費やすショーではなく展示会でと思っていたんですが、幸運にも支援のお話しを頂けたので、アップグレードは継続させながらも、できるうちは続けていこうとプランを変更しました。

−どういったコレクションにする予定ですか?

 デザインとしては、前々回、前回から引き続き体のシェイプという点はポイントになってくるかと思います。そもそも私はシェイプというか体に対する興味があって、有機的で脆さがある身体そのものがウィメンズファッションとリンクしているのではと考えています。

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−現在はランプ ハラジュク(Lamp harajuku)などで取り扱われています

 ランプ ハラジュクや銀座三越など10店舗で取り扱いがあります。地方でのオーダー会も計画中で、今後も引き続き国内展開に尽力し、まずは売上を6,000万円を目指します。

−今後挑戦してみたいことはありますか?

 ビジネスでは国内注力ですが、クリエーションに関しては早い段階で世界で勝負したいです。あとはセミクチュールもやってみたいですし、ユニフォームデザインにも興味があります。

−死ぬまでデザイナーでいたいと思いますか?

 どうなるかわからないですけど、一生デザイナーでいたいと考えています。仕事ですが、人生に親密なライフワークのような感覚に近いかもしれません。

AKIKOAOKI オフィシャルサイト

vol.1 malamute 小高真理
vol.2 IHNN 印致聖
vol.3 BELPER 尾崎雄一
vol.4 LANDLORD NEW YORK 川西遼平
vol.5 PEIEN 伊澤直子
vol.6 AKIKOAOKI 青木明子
vol.7 KOTONA 山下琴菜

(聞き手:芳之内史也)

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