Fashion 次世代の担い手たち

【連載】次世代の担い手たち - vol.7 KOTONA 山下琴菜 -

山下琴菜
山下琴菜
Image by: FASHIONSNAP

 次世代を担う若手ファッションデザイナーたちの歩みを辿る「次世代の担い手たち」。第7弾は山下琴菜が立ち上げたウィメンズブランド「コトナ(KOTONA)」。2015年にデビューし、ニューエイジとして東京ファッション・ウイークでショーを披露したコトナは「現代の高等遊民の価値を築くこと」をテーマに、現代女性に向けた服作りを続けている。百貨店を中心に販路を広げる新進ブランドが大切にする、ネットでは伝わらないファッションの魅力とは?

 

山下琴菜
1987年宮崎県生まれ。学習院大学経済学部卒業後、文化服装学院とここのがっこうでファッションを学び、「KOTONA」を2015年スタート。ブランドコンセプトは「現代の高等遊民の価値を築くこと」。

KOTONA 2018 SS collection


"イケてる"ファッションとは?


−ファッションに興味を持ったのはいつですか?

 興味というか、服に対して敏感だったのは小さい頃からでしたね。兄が2人いたので私をちゃんと女の子にさせようと、母がピンクの服やフリフリのワンピースとかそういう女の子のファッションを着させられていたんです。それが本当に嫌で、小学校低学年からパンツやシャツばかり着るようになっていました。

−親を反面教師していたんですね

 そうですね。小学2年のときに母が参観日にとても派手な赤のツイードジャケットを着てきて、それ見て恥ずかしくて泣いてしまったこともありましたね(笑)。友達のお母さんは普通の格好をしているのに、一人だけキメキメで来てるのが恥ずかしく感じて。その辺りから人の服装をとても気にする性格になっていきました。

−大学入学を機に上京

 学習院大学に進学しました。とても甘い思考なんですが、お金を稼ぐなら会社を興さないといけないんだろうなと考え経済学部経営学科を専攻しました。IT系の会社でずっとインターンをしていて、そこに就職するものだと自分でも思っていたんですが、就職することを辞めて文化服装学院に入ることにしたんです。

−なぜ文化服装学院に入学しようと思ったんですか?

 大学時代はバーでアルバイトをしていて、素敵な人が店に来ていてました。色々お話しさせてもらう中で、ある時気づいたのが素敵だと思える人は美味しくお酒を飲んでいるか飲んでないかだったんです。その中でも、好きなことやってる人が"イケてる"と思えて、私も好きなことをやってそういう人みたいなに美味しくお酒を飲める人生を送りたいなと思ったんです(笑)。自分の好きなことって何だろうと考えた時に出てきたのがファッションでした。

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−その後「ここのがっこう」でもファッションを学ぶ

 文化服装学院では主にパターンを学んだんですが、ただ授業を受けていてもなんでこれだけモノが溢れる時代に服を作る必要があるのかが正当化できないというか、わからなかったんです。悩んでいた時に、友達がここのがっこうに通っていて、面白そうだなと思って私も入ることにしました。ファッションが面白いなって思い始めたのもその頃からだった気がします。

−ここのがっこうがファッションの楽しさを教えてくれたんですね

 授業は辛かったですけどね(笑)。自分を掘り下げることが求められたので精神的にも辛かったですし、私はプレゼンテーションが人よりとても下手だったので。言葉で人に伝えることがとても苦手だったんです。

−その困難をどう乗り越えたんですか?

 「プレゼンしなくていいから本を読め」と先生にアドバイスされたのが一番かなと思っていいます(笑)。作品を作るのをやめて、本を読んだり、モノを蒐集することばかりしていました。そうすると悶々としてきて、もしかしたらこれは可能性があるかもしれないみたいな自分の中で「何か」を見いだせることができました。

−おすすめの本は?

 最近読んだ吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」ですかね。主人公のコペル君が不甲斐ないことをしてしまって、それに対しての心の持ちようではないですが、人間としてどう生きるかみたいなところが描かれていて。恐らく私は人間らしいものが好きなんだと思います。人のものを勝手に食べてしまったとか、二日酔いで寝坊したとか、そういった弱さがあると可愛く感じれるんです。もしかすると、今は世の中的にそういった人に対して寛容になれなくて、真面目であることを求められているというか。それで息苦しくなってバーチャルの世界に飛び込んで、自分は一体どこにいるのかわからないという感じになっているかなって。私はこの本が自分を見つめ直すきっかけになったのでおすすめしますね。

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−何を集めていたんですか?

 変なオブジェなどを集めていましたね。今でも石を蒐集しています。

−集めたものに共通点はありますか?

 自分が"イケてる"と思ったものですね。

−"イケてる"とは?

 言語化するのは難しくて。例えばこれはアフリカで買ったものなんですが、この像の前にあるなくてもいい無駄な間合いがとても"イケてる"と思い購入したんです。購入理由は本当にそれだけで。人が惹きつけられる理由はそれぞれあると思うので物の善し悪しは一概には言えませんが、ただ作り手のアティチュードや癖に左右されることは、割りとあるのではないかと考えています。私はミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)やフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)、ラフ・シモンズ(Raf Simons)が好きなんですが、それは挑戦しなくてもいい立場の人達なのに常に新しいものを生み出そうとしているアティチュードに感銘を受けているからです。正直どんなに似合わない服であろうとクリエーションに対する態度が格好良ければ買ってしまいますからね。デザインの背景にある、現状に満足せず新しいことに取り組もうとするアティチュードが"イケてる"という感覚を生むんじゃないかと思います。色んな"イケてる"の表現があると思いますが、ジャガイモの袋で素敵な服を作れたらそれは"イケてる"し、新しい人物像を提案し時代を作ることも"イケてる"、そして"イケてる"の中身は時代と捉える人によって変わっていくから面白いと思います。

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