Fashion 次世代の担い手たち

【連載】次世代の担い手たち - vol.4 LANDLORD NEW YORK 川西遼平 -

川西遼平
川西遼平
Image by: FASHIONSNAP

 次世代を担う若手ファッションデザイナーたちの歩みを辿る「次世代の担い手たち」。第4弾は2016年に川西遼平が立ち上げたメンズブランド「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」。セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)、パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)とファッションのエリート校で学び、ユニクロによる次世代の教育支援「TOMODACHI-UNIQLO フェローシップ」に選ばれたデザイナーが体現するロジカルな服作り。

川西遼平
1987年鳥取県生まれ。2011年にセントラル セントマーチンのニット科で学士号を修了。ユニクロの「Tomodachi-Uniqlo」フェローシップによってパーソンズに入学し、2015年に修士号を修了。同年、LANDLORD NEW YORKを設立、クリエーティブ・ディレクターに就任。

LANDLORD NEW YORK 2017-18 AW collection

ロンドンとNY、名門校でファッションを学ぶ


−出身は?

鳥取です。高校の普通科を卒業してからロンドンに移りました。

−日本の大学を経由せず、いきなり海外の学校に入学

最初は日本の美大を目指していたのですが、準備をせずに受験したので全て落ちてしまったんです。進学先が決まらず焦っていた時に、「海外の大学ならまだ間に合うみたいよ」と母親に言われて。セントラル・セント・マーチンズ 美術大学(Central Saint Martins)を受けたんですけどそこもだめで、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)のファンデーションコースに入りました。ただフォトショップとイラストレーターを学ぶカリキュラムで、ファッションデザインを勉強したいと思っていた僕はやる気が出ず、留年して再度セントマを受けて入学しました。色々希望を出して入れたのがニット科でしたね。

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Central Saint Martins時代の作品

−卒業後の2012年、福島でファッションショーを開催

子供達がテキスタイルを作るワークショップを15回ほど行い、そのテキスタイルを使って服を作り、ファッションショーをするというプロジェクトを実施しました。自分から連絡を取って協力してくれる人たちを探し、テキスタイル作りに使う材料はスポンサーを募るなどして集めました。

−企画をやろうと思ったきっかけは?

当時、キュレーターのニコラ・ブリオー(Nicolas Bourriaud)の「Relational Aesthetics(関係性の美学)」という理論に興味があって、それをファッションに持ち込んだら面白いなと考えたからです。要は「デザイナーがいて、布を発注し、作って、発表して売る」という仕組み自体がつまらないと感じていて、どうにか別の方法論が作れないかなと思ったわけです。だからといってインパクトのあるものを作って見せて終わりでは面白くないので、人とのコミュニケーションや関係性に美を見出すリレーショナル・アートの理論をベースに、何かしらの社会性をもたせるようなアプローチができるんじゃないかと。業界の方からの反応は全然なかったんですけど、福島の現地の方は3.11の後でしたが楽しんでくださっていたように思います。

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福島でのファッションショーの様子

−他にも影響を受けた人はいますか?

オリエンタリズムの理論と関係性の美学は結構つながっていてるので、エドワード・サイード(Edward William Said)は好きです。ほかにもカール・マルクス(Karl Heinrich Marx)やジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)とフェリックス・ガタリ(Félix Guattari)など様々な人の著書を読みましたね。その影響もあってか、セントマ時代は直感がベースになるときもありましたが、最近は完全にロジックなモノづくりを行っています。

−福島のショー後、ロンドンに戻られたそうですね

本当はセントマ卒業後にそのままMA(修士課程)に行きたかったんですけど、お金がなくて。すぐにブランドを立ち上げようという思いもなかったので、福島のショーを終えてロンドンに戻った後はベビーシッターの仕事をして生計を立てていました。

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−そこからNYのパーソンズ美術大学に行くことに

このままだと流石にまずいなと思い始めていたときに、「VOGUE US」のサラ・ムーア(Sarah Mower)が「奨学金でパーソンズに入れる制度があるのだけれど」と連絡をくれたんです。NYにはそれまで興味がなかったのですごく迷ったんですけど、いい機会だと思いパーソンズに行くことを決めました。

−何の支援だったんですか?

ユニクロの「TOMODACHI-UNIQLO フェローシップ」という教育支援で、奨学金を使ってパーソンズのMFA(美術学修士過程)の「Fashion Design and Society」というコースに入学しました。

−セントマとパーソンズ、ギャップを感じた部分は?

セントマの自由な校風とは違って、パーソンズは出席や単位も重視されるので正直厳しかったですね。ロンドンでは、誰のためかわからないけど自分がやりたいように服を作っている環境でしたが、ニューヨークでは「誰がどの価格帯でどこで服を買って着るのか」という目的が明確な服作りが行われる環境のように感じました。ロンドンにはなかったリアリティを感じて、そこに楽しみを見出せたのは良かったですね。そういった経験が今ブランドをやっている理由につながっている気がします。

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