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NIGO®とポケモン石原社長の意外な共通点 HUMAN MADE × Pokémonコラボの背景

Image by: FASHIONSNAP

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NIGO®とポケモン石原社長の意外な共通点 HUMAN MADE × Pokémonコラボの背景

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 「ヒューマン メイド(HUMAN MADE)」や「ケンゾー(KENZO)」を手掛けるなど、ファッションおよびカルチャー界のスラッシャーとして活躍しているNIGO®。世界中で熱狂的な人気を集めているビデオゲーム『ポケットモンスター』シリーズをはじめとしたポケモンソフト全般のプロデュースを手掛けている育ての親、石原恒和。異なるフィールドで躍動し続けている2人が交流を始めるきっかけとなったのは、陶芸の世界だったという。コラボレーションプロジェクト「HUMAN MADE × Pokémon」を通じて語り合う2人から、世代や国籍を超えて愛されるコンテンツを生み出すヒントを探っていく。

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HUMAN MADE × Pokémon
 ヒューマン メイドと、世界中で愛され続けているポケモンとのコラボレーションアイテムが登場。「ピカチュウ」をはじめ、「カモネギ」や「アンノーン」といったポケモンが、ウェアから雑貨まで全9型のアイテムと融合する。10月11日、ヒューマン メイドの店舗とオンラインストアで発売予定。

NIGO®、石原恒和

──NIGO®さんが立ち上げクリエイティブを手掛けているヒューマン メイドと、石原さんが代表を務めている「ポケモン」のコラボレーションが立ち上がりました。このプロジェクトは、2人の交流が発端となっているとか。少し意外に感じましたが、どのようなつながりなのでしょうか。

石原恒和(ポケモンCEO、以下 石原):まずは、家が近いことかな。

NIGO®(HUMAN MADE クリエイティブ・ディレクター:そうですね(笑)。

石原:といっても近所付き合いというわけではないんですが(笑)。最初はというと、僕の工房にNIGO®さんが来てくれたんですよね。

NIGO®:はい。石原さんが都内に陶芸の工房を持っていると聞きつけて、ぜひ見学できたらいいなと連絡させてもらったんです。

──趣味が共通していたんですね。

NIGO®:僕は陶芸を2015年6月9日から始めたので、今年でちょうど10年です。

石原:へえ、そういう日にちを覚えているんですね。

NIGO®:偶然ですが、6月9日なので「ろくろの日」という語呂合わせで(笑)。山口県の萩に行って、初めてろくろを挽いた日なんです。

石原:NIGO®さんの方がずっと先輩ですね。僕は大学時代に少し勉強も含めて陶芸をやったことがあるんですが、そこから全くなくて。コロナ禍のステイホームの時に、「引きこもるのに一番いいものは何か」という形で始めたようなもの。なので5年くらいですかね。

──お二人で一緒に作陶することもあるのでしょうか。

石原:はい。でもお互い、ただ静かにろくろを挽くという感じなので、今日のようにじっくりお話をするのは初めてかもしれません。いつも、NIGO®さんは茶碗を作って、僕はコーヒーカップを作って、それぞれが勝手なことをやっている。でもNIGO®さんはコレクターでもありますし、やっぱりいいものを知っているから作る時も"決め"が早いんです。

NIGO®:石原さんが作られた素敵なカップをいただいたこともありますね。僕はお茶だけじゃなくコーヒーも好きなので、嬉しかったです。

石原:僕は好きが高じて豆の焙煎もするので、それも差し上げたり。そうしたらNIGO®さんが、コーヒーのちょっとした道具を送ってくれました。豆を測る時に使うスプーンなんかは、京都でお豆腐をすくう用のさじを、ちょっと小さくして作ったものです、とか。そういったNIGO®さんの道具がどんどん増えていくんです(笑)。僕はそこまでこだわっていなかったなあ、と改めて思ったり。

NIGO®:いやでも、僕は焙煎まではできないので(笑)。石原さん焙煎のコーヒー、美味しかったです。

石原:そうやってお互いが好きなもの同士を少しずつ渡し合ったりしていると、こういうものが好きで、こういう部分にこだわっているんだ、みたいに感じ取れる。たくさん言葉を交わさなくても、わかり合う感覚がありますね。

NIGO®:すごく勉強にもなっています。

一晩中ハマった『ポケモン GO』

──石原さんは1996年発売の『ポケットモンスター 赤・緑』、NIGO®さんは1993年に原宿にショップ「ノーウェア」をオープンと、90年代のキャリアが今につながっているかと思います。実際に交流が始まる前から、お互いの存在は知っていましたか?

石原:ファッションについては、僕は全くといっていいほど接点がなくて。90年代に触れていたのは、どちらかというとストリートや音楽の文脈でしたかね。「六本木WAVE」に通ったり。でもNIGO®さんや、少し前にポケモンと「フラグメント(fragment design)」がコラボしましたが藤原ヒロシさんといった方々は、昔から知っていましたよ。お二人がよく似ていたことも(笑)。

NIGO®:ありがとうございます(笑)。ポケモンについては知らない人はいないでしょうけど、僕はそれこそ『ポケモン GO』を、実は相当やっていまして。リリースされてすぐの頃から、ガッツリとハマりました。

石原:そうだったんですか。

NIGO®:一時期はもう一晩中、朝まで(笑)。移動する時は車が多いんですが、EV車が動きやすそうと思って『ポケモンGO』が購入のキッカケになったりとか。あとは、こんなことやっていいかわからないけど、操船して沿岸部のポケモンを捕まえに行ったこともあります(笑)。

石原:そうやって大人の方々に遊んでいただけたのは、やっぱりみなさんがGoogleマップを使っていた、というところが大きいかもしれませんね。『ポケモン GO』は、地図の上にポケモンを配置したらどうだろう、という考えから始まったんです。どこでどういうポケモンが発生して、生態としてどんな動きがリアルか、とか。

NIGO®:面白いですよね。やっていくうちに色々な場所に行くので、違った発見もあって。

石原:何かムーブメントを作るぞ、みたいな狙いは全くなくて、こうしたら面白いんじゃないか、というアイデアの積み重ねでできたようなもの。それをNIGO®さんやみなさんが興味を持ってくれたのが嬉しいですね。

「カモネギ」がつないだ HUMAN MADE × Pokémon

──今回のコラボレーションプロジェクトは、実際にいつ頃からスタートしたのでしょうか。

石原:NIGO®さんが工房に来てくれたのが今年2月で、そこでコラボの話をしたわけではないですが、キッカケになったかと思います。実は会社としては、数年前から何か一緒にできたらということで、話をしてはいたようですが。

NIGO®:ヒューマン メイドは嬉しいことにコラボのお声がけがたくさんあるんですが、レギュラーのもの作りに力を入れていきたいので、コラボの量は年間で割合を決めているんです。ただ"売り"だけを考えるのは好きではなく、上っ面なことはやらないようにと。でも今回は、すごく自然な入り方だった。そういう方が、面白いものが生まれるんだと思います。

石原:陶芸という意外な共通点があって、そこから自然な流れでしたね。あとひとつ、つながりのキーワードは「カモ」もそうじゃないですか? 僕が、浅草の鴨料理のお店が好きなんですが、そこにいくつも置いてある鴨のオブジェが、よく見たら「HUMAN MADE」と書いてあって。

NIGO®:僕も大好きなお店です。美味しいですよね。通わせてもらっているうちに、お店のものを色々と作らせてもらいました。元はといえば、ヒューマン メイドのキャラクターのカモが生まれたのは、そのお店がきっかけで。

石原:そうだったんですか(笑)。でも今回の我々のコラボ、僕はデザイン自体には携わっていなくて、仕上がったものを見てみたら「カモネギ」が使われていたので、最初は驚いたんです。でも、ヒューマン メイドのカモのモチーフも知っていたので「あっ、そういうことか」と気づいた(笑)。カモで繋がったんだな、という納得感がありましたね。

POKÉMON MADE COVERALL JACKET 6万3800円

──コラボアイテムに登場するポケモンは、「ピカチュウ」と「カモネギ」と「アンノーン」。ワークジャケットはカモネギの刺繍が施されていて、ポケットにネギを挿すことができる仕様などがユニークです。

NIGO®:今回、基本的にはベーシックで、ワークウェアを少しだけひねりました。普段からヒューマン メイドが用いている刺繍やヴィンテージのアプローチもマッチして、自然に溶け込んだんじゃないかなと思っています。

石原:すごくいいものになりましたよね。

NIGO®:これがどんな風に受け入れられるのか、想像を絶するようなことになるのか(笑)。楽しみです。

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POKÉMON MADE VARSITY JACKET 14万800円

POKÉMON MADE CUSHION 1万6500円、POKEMON MADE COFFEE MUG 3850円

「羨ましい」世代を超えて愛されるコンテンツ

──この取り組みを通じて感じたことは?

NIGO®:僕はやっぱり、すごい愛を感じたというか。グローバルに通用するコンテンツを作るなんて、ほとんど無理に近いじゃないですか。ジーンズ作る時に「リーバイスになりたいな」と思っても、やっぱりリーバイスにはなれないですし。でもポケモンは世代に関係なく世界中で愛されている、それが何十年も続いているというのは、コンテンツを作る人間にとって羨ましい限りですね。そして日本発ということも。

石原:ポケモンが生まれてからもうすぐ30年で、最初は151種類だったのが、今は1000種類を超えているので、ものすごく増えています。その中で、我々のやりたいことも、どんどん増えている。僕自身も常に、面白いものをどんどん作っていきたいので、何か変えているというより、足し算して拡張している感覚ですね。このくらいでいいかなと思ったら、そこで止まってしまいますから。

──NIGO®さんはキャラクターのプロデュースなども行っていますが、どのような考えのもとで手掛けているのでしょうか。

NIGO®:10年ほど前ですが「Abema TV(現ABEMA)」のキャラクターを手掛けた時には、最終的に何かわからないものにしようと思って作っていきました。色々な解釈ができるニュートラルなものにと。それで生まれたのが「アベマくん」。まず最初に5000人くらいの社員総会で発表したんですが、どよめきというか「いいね」と「ええ~」が混ざったような、初めて聴くノイズでした(笑)。

石原:アメーバから生まれたのがアベマくんですか。面白いですね。

NIGO®:受け入れられたら嬉しいですが、そういった仕事のプレッシャーはすごく感じます。自分はもともと、裏原宿のストリートやサブカルチャーといったアンダーグラウンドな畑でやってきたのもあって、ユニクロ「UT」の仕事をさせていただいた時に、マスに向けたデザインの難しさに向き合ったんですよね。柳井さん(柳井正 ユニクロ代表取締役会長)に色々と教えていただいたり、そこで勉強になったことは大きかったなと後から思います。

石原:NIGO®さんの考えるもの、シャレの感覚というか、そういうのはどこから来るんだろうと思っていたんです。「CURRY UP®」も「JAPA VALLEY TOKYO」も、アナグラムというか言葉遊びのような面白さがあるじゃないですか。あと「未来は過去にある」というNIGO®さんのコンセプトも、すごく気になっていて。それで今日、この取材にきてみたら(背後の壁を指差しながら)「ああ、原点はこれかな」と思ったんですよね。

NOT A HOTEL OFFICE内の「THE NIGOLOUNGE」

Image by: NOT A HOTEL

──今日お借りしているこの場所、NOT A HOTEL OFFICEのプライベートラウンジ「THE NIGOLOUNGE」の、アンティークコレクションが収められているストレージウォールですね。

石原:今日ここに初めて来て、びっくりしました。ビートルズやスターウォーズのもの、それから草間彌生まで、色々とコレクションしているんですね。NIGO®さんのことを藤原ヒロシさんが「アーキビスト」と表現していた記事を読みましたが、まさにそうだなと納得しました。歴史や価値があるものを集めて、分析して、保管して、いつでも取り出せるようにするといったような。

NIGO®:このストレージは全部で284マスあるんですが、自分は大雑把なところがあるのでだいたいこのくらいの量かなと持ってきたモノが、偶然にもちょうどよく収まった、みたいなことになったんですよね。

石原:きっと、モノに対する感覚を持っているんですね。自分が好きなモノが、どのくらい、どういう位置にあるべきか、とか。

NIGO®:やっぱりモノ自体が好き、というのはありますが、「アレどこにあったっけ」と思った時に、すぐ取り出せないとすごくストレスなんです。なので、見える収納がいい。あとは例えば、家の中でも、テーブルの上のちょっとしたものでも、こう置く方が気持ちいいよね、という置き方があったりします。

石原:なるほど。僕は整理が苦手なんですよ。一つには、昔からコンピュータを触ってきたので、分類をしようとすると、フォルダを作ってドキュメントや画像を入れる。こっちにも作ってまた入れる。という風に、フォルダを山のように作ってきたんです。でも現代のコンピュータはむしろフォルダは邪魔で、巨大な袋の中に全部掘り込んでおけば、あとはタグで関連するものを全部つなげられる、というのがトレンドなんですよね。だんだん自分の部屋もそんな感じになり、収集つかなくなっています(笑)。

進化することはアドベンチャー

NIGO®:ところでポケモンも事業もそうですが、どんどん進化をさせていくという部分で、変えていくことに恐怖はありませんか?

石原:怖さより、アドベンチャーな感じが強いかな。

NIGO®:アドベンチャー。なるほど、いい言葉だなあ。

石原:ポケモンだったら初代の『ポケットモンスター 赤・緑』しか認めない、という方もいるかもしれませんが、そこを変えなかったら全てが懐古的になり、縮小していくでしょう。生物みたいに、成長して、変わっていきたいという気持ちの方が強い。

NIGO®:それをずっと持ち続けているんですね。

石原:こういうことができたら面白いのに、と考えるのが自分の原動力でもあるので、それがなくなったら引退でしょう。

NIGO®:僕の場合も、手掛けているブランドが変わったり、仕事のフィールドも環境もかなり変化している。でもやっぱり、基本的にやっていることは同じというか、熱量そのものは変わらないかもしれない。攻めていきたいですね。

──最後に、石原社長からNIGO®さんへ、何か渡したいものがあると伺いました。

石原:今日ね、これを持ってきたんです。NIGO®さんがうちの工房で作って焼き上がった器が、2個できあがったので。どうぞ。

NIGO®:わぁ、ありがとうございます。これはいい仕上がりですね。土と、その上に乗せた色がよく出てる。石原さんの窯の印も良い感じですし。こういう自分の印を作るのに、僕は何年かかったことか・・・。

石原:ポケモンのモチーフを印にしたんですが、これは3Dプリンターで作ったんですよ(笑)。

NIGO®:その手があったのか(笑)。(しばらく器を手にじっくりと眺めがら)うん、これは本当に良い。

©2025 Pokémon. ©1995-2025 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc

石原恒和 Tsunekazu Ishihara
株式会社ポケモン代表取締役社長・CEO
1957年 三重県鳥羽市生まれ
1980年 筑波大学芸術専門学群総合造形科卒業
1983年 筑波大学院芸術研究科修了
1995年 株式会社クリーチャーズ設立
1998年 ポケモンセンター株式会社(現・株式会社ポケモン)設立
2021年 一般財団法人ポケモン・ウィズ・ユー財団設立

NIGO®
1970年生まれ。文化服装学院在学中からDJやライターとして活動を始め、1993年にブランドをスタート。2010年にブランド「HUMAN MADE」を立ち上げる。
その後、様々なブランドや企業にクリエイティブ・ディレクターとして携わり、2020~21年、2025年には「LOUIS VUITTON」より3度にわたってコラボレーションコレクションを発表。
2021年9月より「KENZO」のアーティスティックディレクターに就任。

最終更新日:

FASHIONSNAP ファッションディレクター

小湊千恵美

Chiemi Kominato

山梨県出身。文化服装学院卒業後、アパレルデザイン会社で企画、生産、デザイナーのアシスタントを経験。出産を経て、育児中にウェブデザインを学びFASHIONSNAPに参加。レコオーランドの社員1人目となる。編集記者、編集長を経て、2018年よりラグジュアリー領域/海外コレクションを統括するファッションディレクターに就任。年間60日以上が出張で海外を飛び回る日々だが、気力と体力には自信あり。

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