パタゴニア幹部「消費者ではなくブランドが責任を持つべき」 インパクトレポートの狙い

パタゴニア日本支社が2025年末に行ったシンポジウム
Image by: Shota Matsushima©2025Patagonia,Inc.

パタゴニア日本支社が2025年末に行ったシンポジウム
Image by: Shota Matsushima©2025Patagonia,Inc.

パタゴニア日本支社が2025年末に行ったシンポジウム
Image by: Shota Matsushima©2025Patagonia,Inc.
アウトドアメーカーのパタゴニア(Patagonia)の創業者、イヴォン・シュイナードが2022年に、the Patagonia Purpose Trustとthe Holdfast Collectiveという2組織に会社の全所有権を譲渡し、同社が「パタゴニアの事業に再投資されない資金のすべてが地球を守るために配当金として支払われる」体制に移行したことはよく知られている。これにより、今後もイヴォンの志から逸脱することなく、「営利企業として資本主義が地球の役に立つことを証明する」ことを目指している。2025年には、事業を通じて気候変動と生態系を取り巻く問題に解決策を与えるための取り組みについて、進捗状況を「ワーク・イン・プログレス・レポート(work in progressは進行中の意) 」として公表。これまでも温室効果ガス(GHG)排出量などの公表を個別で行ってきたが、包括的なインパクトレポート*を公表するのはパタゴニアとして初だったという。
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*企業活動を通して社会や環境に与えた影響を、数値と事例によって公開する報告書のこと
10年間の進捗を“見える化”



2025年度の「ワーク・イン・プログレス・レポート」から
Image by: Daniel Beltrá©2025Patagonia,Inc.
同レポートでは、パタゴニアが2015年に策定した、2025年に向けた5つの目標の進捗を明かしている。当初掲げていた①カーボンニュートラル**は、カーボン・オフセット***購入によって達成しても意味がないと考え方を見直し、より厳格な2040年までのGHGのネットゼロ****達成に目標を切り替えた。第三者認証などで裏付けられた②「望ましい素材」の使用100%というゴールに対しては、生地と副資材の重量購入ベースで84%を達成したという。③PFAS(有機フッ素化合物)使用廃止は、2025年春夏で達成。④合成繊維の50%に二次廃棄物(繊維廃棄物や廃棄魚網など)を使用するという目標は、2025年時点では6%に留まっている。⑤サプライチェーン工場の全ての労働者に生活賃金を保証するという目標に対しては、「生活賃金保証の第一歩」というフェアトレード認証の工場で生産された製品が、2025年は95%以上になったと明かした。
**GHGの排出量と吸収量を±0にすること
***削減しきれないGHG排出量の一部を、他の場所で実現した排出削減分を購入することなどで埋め合わせること
****GHG排出量と吸収量を±0にすることからさらに踏み込み、GHG排出量自体を大幅に削減すること
パタゴニアはインパクトレポートの発表と合わせて、日本では2025年末に東京・渋谷で2日間にわたってシンポジウムも開催。本国からプロダクト・フットプリント担当のマット・ドワイアー バイスプレジデント(VP)が来日し、1日目はアパレル関連の企業・団体のサステナビリティ担当者、2日目は他産業の関係者らを対象にインパクトレポートの内容を説明するセッションを開催。参加者と積極的に意見交換した。
「“グリーンプレミアム”は誤解」




シンポジウムに登壇した本国のマット・ドワイアー バイスプレジデント
Image by: Shota Matsushima©2025Patagonia,Inc.
シンポジウムでドワイアーVPは、「パタゴニアのミッションはビジネスを通して故郷である地球を救うこと。サプライチェーンを取り巻くさまざまな問題に向き合うと共に、利益率やコストにも配慮した健全なビジネスでなければ地球を救うことはできない。そこに緊張感を持っている」とコメント。インパクトレポートを発表した理由について聞かれると、「全世界の従業員が、我々がミッション達成のためにやっていることやその進捗を理解する必要がある。(米国の政治状況などによって)外部からのプレッシャーが強まり、多くの企業が正しいことから遠ざかっている。その中で、パタゴニアが未来へ向けた明るい光を提供できればと考えた」と話した。
「サステナビリティに配慮することで、”グリーンプレミアム”としてコストが上乗せされるのではないか」という質問に対しては、「リサイクル素材に対しては、品質が悪い、供給が足りない、コストが高いという3つの誤解がある」と回答。「パタゴニアはリサイクル素材に対し、初期の段階で投資してイノベーションを活性化させる。そうすることで我々以外のブランドもその素材を使うようになれば、生産規模が拡大してコストは下がるものだ」と続けた。
セッションの中でも特に印象的だったのが、「サステナビリティの問題は、消費者にも責任があるのではないか」という問いに対するドワイアーVPの回答だ。「ブランドが消費行動を訓練してきたのに、消費者を責めるのは筋違い。ブランド自身がまず鏡を見て責任を持つべき。消費者が我々のやり方を支持するかどうかは別問題だが、ブランドが責任を取るべきだ」と強くコメントした。
最終更新日:
◾️パタゴニア:2025年度「Work in Progress Report」
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