プラズマ
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Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】バレンシアガのランウェイを経験ゼロで歩いた日本人、プラズマとは何者?

ツイッターで話題の人に

ー現地でウォーキングの練習などは?厳しそうなイメージですが。

 実際に歩いて「ポケットに手を入れて」「顎を下げて」とかは指示されましたけど、それくらいでしたね。英語が分らなかっただけかもしれませんが。やり方が合っているのかは不安でした。

ーアーティスティックディレクターのデムナ・ ヴァザリア(Demna Gvasalia)とはコミュニケーションを取りましたか?

 はい。ファーストコンタクトは事務所のようなスペースでフィッティングした時だったんですが、話したというよりは挨拶をしたくらいです。

ー他のモデルもスカウトだったのでしょうか?

 スカウトされた時、メモに沢山の連絡先が載っていたのが見えたので、そういう人は多かったのかも。日本からは自分を含めて日本人3人と、日本在住の中国人1人が呼ばれていて、自分以外は事務所に所属しているモデルでした。

ーショー前はどんな雰囲気でしたか?

 全世界から個性が集められてきたという感じで、本当にすごい光景でした。頭がタトゥーだらけの子がいたり、大柄の男性が女性の服を着てハイヒールを履いていたり......刺激を受けまくりですよ。

ー他のモデルとはどんな話を?

 言葉の壁があって多くは話せなかったので、本当にそれが悲しくて悔しかったんです。でも自分が話せる音楽の話題では盛り上がって、おすすめを教え合ったり、現地で人気があるアーティストのこととか、そういった話はすごく楽しかったですね。仲良くなったモデルとは帰国後もインスタのDMなどで情報交換をしてます。

ーバレンシアガのランウェイを歩いた率直な感想を聞かせてください。

 色々な役割のプロフェッショナルの人がいて、一つのショーを協力して作り上げている現場を目の当たりにすることができたのは、貴重な体験でしたね。でもショーが終わってすぐに高熱が出ました。

ーえ...それは相当こたえたんですね。楽しむことはできましたか?

 楽しむつもりで行ったんですけど、実はあまり満喫できなくて。ショー当日までフィッティングやリハーサルでいつ呼び出されるか分からない状態だったし、現地でもモデルの選考が続いていて、落とされて途中で帰った人もいましたからね。自分もいつそうなるのか分からないじゃないですか。メンタルも体力も全部ギリギリだったんです。

ーちなみに出演料などは?

 えーと、契約書に書かれている内容を厳密に理解していないので言って良いのか分からないです(笑)。ちなみにまだ受け取ってません。

ーパリコレデビューを報告したツイッターの投稿が注目を集めましたね。

 ショーが終わるまでは出演を匂わすような投稿はブランド側から禁止されていたので、近況報告のつもりで帰国後にツイートしたんです。バズったのは初めてで。

ーどんな反響がありましたか? 

 かなりの数のメッセージが送られてきました。古い友達からも連絡がきましたし、「勇気もらいました」「ファッションが好きになりました」なんていうDMも届いたり。あまりにも多くて返信できていない人も沢山いるほどで。

ーすごいですね。AAAの日高光啓さんもツイッターで反応していたのを見ました。

 十数年前に、同じクラブで一緒にライブをしたことがあるんです。当時、日高に「髪切った方が良いよ」と言われたことを今でも覚えてますね(笑)。

ーでも切らなかったんですね。

 好きで髪を伸ばしていたので。切っていたらスカウトマンの目に止まらなかったかもしれないと考えると、ちょっと感慨深いですね。日高は覚えてないかもしれないですけどね。

ー投稿にも「有給超過」と書かれていましたが、仕事との両立は大変だったのでは?

 ですね。長い休みを取らないと行けなかったので...。でも、アパレル関係の会社なので、一応の理解はしてもらえたのかな。音楽活動との兼ね合いもいつも融通を利かせて頂いていたり、会社や上司、同僚には、本当〜に感謝しています。

ーご家族も驚かれたんじゃないでしょうか。

 そうですね。沢山の人に知って頂けたことはもちろん有難いですが、親が喜んでくれたことが一番嬉しくて。これまで迷惑かけたり好き勝手にやってきて、連絡する時と言えばお金を借りるかお米を送って欲しい時くらいだったので...。今後も胸を張って報告できる仕事をしていきたいですね。

気が付いたらドイツのモデル事務所に

ードイツのモデル事務所「Tomorrow Is Another Day」への所属が決まりましたね。

 ショーに出る際に仲介に入って頂いたモデル事務所なんです。所属したのはショーの後ですが、事務所がショーを見て決めたのか、その前に決めていたかは分かりません。

ーいずれにしても、事務所の方から声掛けがあったんですよね。

 そうなんですが、実はどの時点で契約したのか分からなくて...。ショーの当日、フィッティングの場所で2枚の書類にサインしたのでその時に契約書にサインしたのかもしれません。

ーえ、ということは...

 気が付いたら勝手に決まっていたというのが正しいです。

ーそうなんですね...!でも所属したということは、モデルの仕事も続けると。

 テレビの取材やインタビューの依頼は頂いてますが、モデルとしての仕事の依頼はまだ来ていないと思います。ショーの後に事務所から「モデルの仕事があるからパリに残ってほしい」という話があったんですけど、仕事があったので断っちゃったんですよ。今思うとやってみたかった気持ちもあるんですが。

ーなるほど。ではオファーがあれば。

 はい。...でも正直、自分が精力的にモデルをやっていけるとは思ってなくて。本場でプロのモデルを目の当たりにしたら、全く別の生き物だなと。美への追求とかファッションに対する情熱がすごくて、「同じ舞台で一緒に戦っていけるのだろうか?」と圧倒されたんです。もちろん使ってくれる人がいるのであればすごく嬉しいですし、挑戦はしたいんですが。

いつかはハリウッド

ー10代からモデル一筋の人も少なくない世界ですね。

 自分はモデルとしてなんでも着こなせるタイプの人間ではないと分かってるんです。なのでゴリ押しで「俺を使ってくれ」という気持ちは無くて。デザイナーさんやブランドの世界観とハマった時にだけ使ってくれれば十分。ただ、ファッションに限らずアートや音楽でも、替えがきかない存在になれたらいいなと。

ー2018年は驚くようなことがあったと思いますが、改めて今年を振り返っていかがですか?

 戌年で年男なんです。パリコレはびっくりですけど、この歳で来るべくして来たのかなと感じる所はあります。音楽ではなかったですが、今回のことで周りに認められたことは自信にもなりましたし、少しでも夢を与えられていたら嬉しい。平成の最後に色々な経験ができて感慨深いです。

ー2019年の抱負は?

 来年は色々なことに挑戦したいと思います。すごいデカいことを言ってしまうと、いつかはハリウッドと大きな音楽フェスに出たいです。

ー大きな夢ですね。

 自分がパリコレに出られたということは、人生何が起こるかわからないということ。なので可能性を信じて大きな夢を言っても良いかなと。それを成し遂げてから死にたい。本当に自分アホですね(笑)。

■プラズマ
大分県出身。ECサイト「粋な着こなし」運営会社exioに勤める傍ら、バンド「g.a.g」のメンバーとしてライブ活動を行っている。「バレンシアガ」がパリで発表した2019年春夏コレクションのショーでモデルとしてランウェイデビューし、現在はドイツを拠点に展開するモデル事務所「Tomorrow Is Another Day」に所属。12月28日には「g.a.g」の前身である「NATURE DANGER GANG」による一夜限りの復活ライブを控えている。2019月6月には、自身が出演する長久允監督の長編映画デビュー作「WE ARE LITTLE ZOMBIES」が公開される。

(聞き手:長岡史織)

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