Image by: FASHIONSNAP
国外ミュージシャンのファッションポートレートを日本独自で撮り下ろす新連載「すばらしき音楽家たちの肖像(Portraits of Fabulous Musicians)」。最終回には、今年開催されたコーチェラ・フェスティバルのステージで、世界中を虜にしたポーター・ロビンソン(Porter Robinson)が登場。彼の楽曲からは、エモ、EDM、アンビエント、J-POPなど、様々な音の要素を聴き取ることができるが、何よりも心に残るのは全体の調和と美しいメロディだ。また、ポーターのライブではバック映像として、ノースカロライナの自宅周辺で撮影された自然風景が投影されるのだが、その“幸福な光景”をそのまま音にしているようでもある。そういえば、かつて音楽にのめりこむあまり暗い生活を送っていたという彼は、SNSを通して鬱を告白したこともあった。今はそうではない。その音楽を通して、いま本人がいかに良い環境で暮らしているのか、それがありありと伝わってくる。
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Tops by M A S U, Pants by UJOH, Shoes by nir
Vintage Swatch by Porter’s Own
Cap by A BATHING APE®, Vintage T-shirt from chillweeb
Pants by M A S U, Wristband by NONE FAITH, Shoes by nir
Pajalopha Bowtie Shirt (Stripe), Night Pants (Stripe) by PHINGERIN
Sunglasses by eye c u
White Shirt, Lime Green Short Pants by AMORPHIA
Shoes by Archive Undercover from chillweeb
ポーター・ロビンソンに聞く10個の質問
ーAsk Porter, question by questionー
Q1. もし別の時代に生きられるとしたら、何年代のどの国がいいですか?
2003年頃の日本で暮らしてみたいです。いま、日本の街を歩いてもステッカーやポスターなど視覚的なインスピレーションを得ることができますが、特に2000年代の日本のデザインが好きなんです。私は幼少期に、ゲームやアニメを通して当時の日本を体験しました。グランジやマキシマリズムの要素を取り入れたデザインは、未来的で世紀末的な美学を感じました。ちなみに、私は「Virtual Self」というサイドプロジェクトを行っているのですが、そこでは今言ったような感覚を結晶化させようとしています。
Q2. スタイリッシュだと思う人は?(身近な友人でも見知らぬ有名人でも)
弟のマーク。彼は、Yuki Nakamuraさんと一緒に「アモルフィア(AMORPHIA)」というブランドを運営しているのですが、いつもスタイルのインスピレーションを与えてくれています。
Q3. 自分の考えに影響を与えた格言や詩や本、あるいは映画を教えてください。
歌手 キャロライン・ポラチェック(Caroline Polachek)の「Billions」という曲のMVで、彼女が子供たちに絵本を読み聞かせるシーンがあるのですが、そこに出てくる「The you-ness is the new-ness(あなたらしさは、新しさ)」というフレーズが心に残っています。アーティストというのは往々にして、自分をユニークにしてくれるかもしれないものに抗うことができません。私や私の兄弟はよく「自分の作品から自分の臭いが取れない」と言いますが、アーティストにとってはそれが不快だったりします。他の人の作品と比較し、自分のやっていることにどこか違和感を感じてしまう。でも、たとえ違和感を感じたとしても、それが「自分」なんですよね。だから、彼女の「あなたらしさは新しさ」という表現が胸を打ちます。つまり、アートは新しさが大事で、その新しさはあなた自身、ということなのかなと。
Q4. 今という時代をどのように捉えていますか?
私たちは今、人工知能がすべてを変えてしまう時代の入り口に立っています。私はそのことが心配で、割合でいうと恐怖が70%、興奮が30%くらい。ほとんどすべての面で私たちよりも優れた能力を持つものを人間が生み出したのは人類史上前例のないこと。だから、まだ人類は準備ができていないのではないか、と本当に心配しているんです。
Q5. 個人的なSNSとの向き合い方を教えてください。
最近は避けています。今は、時系列に関係なく、アルゴリズム(これも人工知能)でコンテンツを表示するようになってしまったので……。私たちのライムラインには、中毒性が高く、腹立たしい、あるいは論争的なコンテンツだけが表示されるようになってしまいました。それでは世界観が歪んでしまうし、人の行動も変わってしまうと思うんです。
Q6. 何をしている時が一番「安心」しますか?
妻と2匹の猫と一緒にいる時。ピアノやギターを弾いている時も同じくらい心が安らぎます。あとは、新しいアイデアを夢中で追いかけている時かな。最高の気分になります。
Q7. 自分のルーツと断言できる音楽は?
ダフト・パンクのアルバム「ディスカバリー」。どの曲も喜びと活力に満ち溢れています。同時に公開されたアニメ「インターステラ5555」(松本零士とのコラボ)も大好きです。もう一つは、細田守監督の映画「おおかみこどもの雨と雪」と、高木正勝のサウンドトラック。私のセカンドアルバム「Nurture」(2021年)は、あれがなかったら存在しなかったでしょう。自然や家族を美しく描いた繊細なサウンドトラックは、暗黒時代を過ごしていた私に、生きることに対する感謝の気持ちを教えてくれました。
Q8. 生きてきた中で一番美味しかった食べ物は?
100%本気で、これはもう、妻の料理です。中でもお気に入りは、サーモンと野菜の塩焼き。いつも私の好みに合わせて作ってくれる、それだけで涙が出そうです。
Q9. 好きなスポーツ、嫌いなスポーツは何ですか?
好きなのは、スパイクボール。2人1組で円形のネットにスパイクを打ち、ボールをバウンドさせて競うゲームです。バレーボールや卓球に似ていますが、それぞれの競技の良さを引き出していると思っています。一方で苦手なのは、ボウリング。ただ単に自分が下手くそなんです。
Q10. 心から信頼できると人物は誰ですか?
両親、兄弟、妻のリカ、そしてキャリアの初期から一緒に仕事をしているマネージャーのアーロンとニールです。
Photography: Kazuki Iwabuchi
Styling: Yosuke Shoji
Nails: Miho Miyakawa
Styling Assistants: Mark Robinson
Direction&Edit: Hiroaki Nagahata (STUDY Magazine)
Management: Mina Jokoji、Asuka Furukata (FASHIONSNAP)
連載:すばらしき音楽家たちの肖像
Vol.1:AURORA from Norway
Vol.2:The xx Romy from England
Vol.3:Fontaines D.C. from Ireland
Vol.4:Maisie Peters
Vol.4:Porter Robinson
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