
映画「ワイルド・スピード」のような世界観を追求した「06BASE」の会場
Image by: 06BASE

映画「ワイルド・スピード」のような世界観を追求した「06BASE」の会場
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車カルチャーが盛り上がる中で、“カーミーティング”と呼ばれるイベントが変わりつつある。車好きたちが自慢の愛車で集まり、交流するカーミーティング文化は1980年代以前からあった。ただ近年は、車のスペックやチューニングを語り合う走り屋のコミュニティとしてだけでなく、音楽やストリートカルチャーと交差するフェスのような空間へと拡張され、SNSによってよりライトな層も取り込むようになっている。カーミーティング風に会場を作り込んだファッションイベントが話題になるケースも出てきた。
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ファッション文脈でも注目
2025年11月の夜。車好きたちの聖地、大黒パーキングエリアからもほど近い横浜湾岸で、ミュージシャンのトラヴィス・スコット(Travis Scott)と藤原ヒロシ率いる「フラグメント デザイン(fragment design)」、「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」によるトリプルコラボモデルの「エア ジョーダン 1」の発売イベントが行われた。サーチライトが照らす空間に、クラシックカーや“JDM”(Japanese Domestic Market)と呼ばれる日本仕様の改造車が続々登場。まるでカーミーティングのようなその会場でスペシャルライブを披露したトラヴィス・スコット自身も、熱狂的な車好きとして知られる。
カーミーティング風の「エア ジョーダン 1」イベント
このように、ファッション文脈でも見逃せない存在になっているカーミーティング。その界隈の有名人の1人が、大阪・八尾を拠点に中古車販売や車の整備、加工を手掛ける、ゼロロクベースの飯塚玄代表だ。1994年生まれの飯塚代表は、主に1980〜90年代のスポーツカーが集まるカーミーティング「06BASE」を主催している。2024年9月に群馬の川場スキー場の立体駐車場で行ったオールナイトイベントでは、約300台の展示スペースが車好きたちのエントリーで埋まり、同年11月に大阪の湾岸、泉大津の多目的広場を借りて行ったイベントは、約500台のスペースが埋まった。泉大津のイベントの総来場者は、1万人近くになったという。
車をメインに、異なるジャンルを横断







映画「ワイルド・スピード」のような世界観の「06BASE」
Image by: 06BASE
車好きにとっては、車をお互いに見せ合って、会話をするだけでも十分楽しいもの。それがカーミーティングの原点だが、06BASEは車を展示するだけでなく、有名ミュージシャンのライブやダンスバトルなども組み込んでいる。「車をメインにして、ストリートやヒップホップのカルチャーをミックスしたフェスみたいな場をイメージしている」と飯塚代表。飯塚代表は、漫画「頭文字D」や映画「ワイルド・スピード」の影響で小学生のころからの車好き。一方でプロのヒップホップダンサーを目指していた時期もあり、有名ミュージシャンのバックダンサーを務めたこともある。
車とダンス、DJプレイといった自分の好きなカルチャーを横断する形で、飯塚代表が仲間うちでパーティーを行うようになったのは2015年ごろ。SNSを通じて注目を集めるようになり、イベントとしての形を整え、本格化させたのが2019年だ。以来、2019年、2021年、2024年(2回)と06BASEを開催してきた。イベントが軌道に乗ったことで、9年勤めた長距離トラックドライバーを辞めて、2023年に独立を決めた。
車を展示するためのエントリー料金として、オーナーから1万〜3万円を徴収するカーミーティングは多いが、06BASEは飯塚代表のこだわりで、車両エントリー料金を2000〜3000円前後に抑えている。その代わり、観客の入場料を他のカーミーティングに比べて高めな3000〜4000円に設定することが多いのだという。「すごいものを見にくるんだから、観客の料金が車両エントリー料金よりも高いのは当たり前」。自身も年間30回ほど全国各地のカーミーティングに参加しているからこそ、「車好きにまず楽しんでもらいたい」という気持ちが強い。
映画「ワイスピ」風カスタム車が話題


飯塚玄ゼロロクベース代表と愛車のスカイラインGT-R
Image by:FASHIONSNAP(Kazuo Yoshida)
飯塚代表の愛車の1台は、映画ワイルド・スピードに登場する車をイメージしてカスタムした、日産スカイラインGT-R。SNSでも何度かバズを起こしており、国内外のワイスピファンの間では非常によく知られた存在だ。「10年くらい前までは、ワイスピ風のカスタムは車好きから“浅い”と見られる空気があった。でも、その価値観を僕ら自身で変えてきた」と胸を張る。海外での“JDM”ブームが日本に逆輸入されたことで、空気感や評価が変わってきたという側面もある。そうした変化に伴い、1980〜90年代の日本のスポーツカーの価格は年々高騰している。飯塚代表の愛車も10年前の購入時は100万円ほどだったが、「今では数百万円、個体によっては数千万円の値がつき、若い世代は手が出しづらくなっている」。
2024年は2回開催した06BASEだが、2025年は開催場所やタイミングが理想にはまらず、実施を見送った。企業によるブース出展は受け付けているものの、イベント自体にスポンサーは付けず、ゼロロクベースの資金で運営している。だからこそ、「120%の形になると思えなければ開催しない」。次回は2026年秋に開催予定だ。
カーミーティングは今、車好きだけの閉じた文化から、より広いカルチャーへと広がりつつある。その中で、今年のゴールデンウィークには、一部のマナー違反や騒音問題によってパーキングエリアが閉鎖されたり、歴史あるカーミーティングの終了が報じられたりもした。熱が広がる一方、コミュニティをどう持続可能な形で育てていくかも問われている。06BASEのようなイベントは、その新しい形を模索する存在だ。
最終更新日:
【連載:令和カーカルチャー】
vol.1 「車は一番大きなアウター」 若者が惹かれるヤングタイマー
vol.2 車好きの集まりからカルチャーイベントへ 拡張するカーミーティング
vol.3 映画ワイルド・スピードから軽トラまで 世界が熱狂する“JDM”
vol.4 ヤンキー熱再燃 “ドリギャル”油浦桃が描く新時代のドリフト文化
vol.5 グッチも参戦? F1が“推し活”でポップカルチャーに返り咲き
vol.6 元ZOZOクリエイティブ責任者が仕掛ける、大人のラジコン文化
番外編 フェラーリ新車は「まるで中国EV」? 上海で見たEV大国のリアル
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