前回の砂漠のランウェイに続き、「サンローラン(SAINT LAURENT)」の新作2021年ウィンターコレクションもダイナミックな自然が舞台。滝や氷河、荒涼とした大地といったアイスランドの荘厳な景色と、コレクションの輝きがコントラストを描いた。
■黒い大地を歩くモデルたち
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クリエイティブディレクターのアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)が手掛けるサンローランは、2021年春夏コレクションからパリのファッションウィークを離れて独自のスケジュールに切り替え、オンラインで新作を発表している。
今回のコレクションフィルムに添えられたタイトルは「WHERE THE SILVER WIND BLOWS(銀の風が吹く場所)」。ブランドのシグネチャーでもある黒色の大地を歩くモデルたちを、絶景と共に空撮で捉えた迫力のある映像となっている。
■メタリックカラーのボディスーツ×ツイードジャケット
サンローランのブルジョアコードを再解釈したというコレクションで印象的なのは、メタリックカラーのボディスーツとツイードジャケットのコンビネーション。1990年代のミュージシャン、ピーチズ(Peaches)のワードローブの煌びやかな不完全さを取り入れ、チープとラグジュアリーの境界を曖昧にしたという。
ヘムにファーをあしらったツイードスーツは1960年代からのインスピレーション。ローライズのウルトラミニスカートやホットパンツ、へそ出しスタイルもレトロなムード。ブラックを基調としながら、ブルー、レッド、パープルといった鮮やかなカラーが特徴で、全体的に軽やかな仕立てとなっている。
■氷と呼応するジュエリー
コレクションフィルムの中盤、ブラックサンドビーチを歩くシーンで印象的だったのはジュエリーの輝き。黒い砂の上に打ち上げられた氷塊と呼応するように、ガラスのフリンジが揺れるイヤリングや、クローバーのモチーフのチョーカーが映えた。
■対極の狭間にある美しさ
「深刻な問題と立ち向かうことによって、他のことを軽く受け止めることが出来る。境界線でバランスを見つけることは洗練された才能だ」
コレクションノートの最後に記されたヴァカレロのメッセージは、まさに深刻な問題に直面している今を生きるヒントとも読める。暗く冷たい世界で、鮮やかな色彩をまとって力強く歩き続けるモデルたちを映した今回のコレクション。手付かずの大自然とラグジュアリーファッションは対極にあるが、フィルムの映像美が境界を曖昧にし、鮮烈な印象を残した。
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