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クロックスとのコラボも、「シモーン・ロシャ」26年春夏は思春期のぎこちなさ表現

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション

Image by: Simone Rocha

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション

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クロックスとのコラボも、「シモーン・ロシャ」26年春夏は思春期のぎこちなさ表現

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション

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 英国でいま、柚木麻子著書「バター(BUTTER)」が注目されているというニュースは知っていたが、ミニバッグのように書籍を片手にした女性が「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」の会場に入る光景には頷けるものがあった。一見すると、シモーン・ロシャの世界観は、可愛い少女性・少年性に満ち溢れたように感じるが、そこには社会に対して個々が態度を向ける自律的で反骨的な像が描かれている。

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「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション
「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション
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 2026年春夏の舞台は、ロンドン市長の官邸であるマンションハウス(Mansion House)。ロンドンの中堅ブランドが次々にコレクション発表の場をパリに移すなか、シモーン・ロシャは一貫して英国を象徴する伝統的な会場を選ぶ。コレクションの着想は「ジェスチャー(gesture)」。これまでテーマにしていたパーソナルなストーリーラインではなく、遊び心のある挑発的な態度や不器用な瞬間からコレクションの世界観を広げていったという。具体的なインスピレーション源にあげるのは、ジャスティン・カールランド(Justine Kurland)の写真集「Girl Pictures」とモーリーン・フリーリー(Maureen Freely)のエッセイ「My Dress Rehearsal: or How Mrs Clarke taught me how to sew」。どちらも思春期に芽生え始める自己意識を描いた作品だ。社会からの目を気にし始め、自分の視点から大人や社会を見つめ、時に純粋で、時に恥ずかしさを感じ、反抗的な態度を取る。そんな思春期のぎこちなさが、絶妙に歪んだクリノリンドレス、肩紐が落ちたブラトップ、無造作に着たシャツの襟にあらわれる。

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション

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 モデルのポーズも、腕を組み、ポケットに手を突っ込んでいたり、どこか気だるけな態度を見せる。オーディエンスはモデルが登場するたび、コレクションノートのルック番号に添えられた短い言葉を見つめる。スパンコールのトラペーズドレス、キルティングツインセット、赤いスリーブ──どれもアイテム名に言及したものだが、中盤に登場する23ルック目だけ「Hold me close(ぎゅっと抱きしめて)」と心理描写が描かれている。枕を力強く抱きしめた姿は、繊細でまだ大人になりきれない思春期の心情を想起させる。具体的なストーリーがなくとも、シモーンはジェスチャーからストーリーを描くことができるのだと感じさせる瞬間だった。

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション
「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション
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Image by: Simone Rocha

 また、シモーン・ロシャを象徴する、フラワーモチーフも登場。大胆にドレスやブラトップ、セーターに貼り付けられた布地のつぼみが目を引くなか、生花を胸元にさしたコートやスカートも登場。まるでモデル含めて花束をラッピングするように絞り上げられたスタイリングは、まさに思春期から大人にかけて成長を遂げる彼らを祝福するように見えた。

「シモーン・ロシャ」の2026年春夏コレクション

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 足元には「クロックス(Crocs)」とのコラボレーション第4弾として、新作「バレリーナ プラットフォーム」が登場。「サイレンクロッグ」から着想を得て制作した新たな型は、トウシューズをモチーフにアウトソールにリボンが施され、機能性とシモーンのロマンティックな世界観が融合した一足に仕上がった。常に誰もが過去に経験したことのある感情の揺らぎをつぶさに見逃さず、ノスタルジックでドリーミーな時間に誘うシモーン・ロシャ。フィナーレに「Que Sera Sera(ケセラセラ)」が流れた瞬間、混沌とした現実を忘れるかのように、会場は束の間の安堵と穏やかな解放感に包まれた。

Simone Rocha 2026年春夏

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「Simone Rocha」2026年春夏コレクション

2026 SPRING SUMMERファッションショー

アーティストコーディネーター/ファッションライター

Yoshiko Kurata

1991年生まれ。国内外のファッションデザイナー、フォトグラファー、アーティストなどを幅広い分野で特集・取材。これまでの寄稿媒体に、FASHIONSNAP、GINZA、HOMMEgirls、i-D JAPAN、SPUR、STUDIO VOICE、SSENSE、TOKION、VOGUE JAPANなどがある。2019年3月にはアダチプレス出版による書籍『“複雑なタイトルをここに” 』の共同翻訳・編集を行う。2022年にはDISEL ART GALLERYの展示キュレーションを担当。同年「Gucci Bamboo 1947」にて日本人アーティストniko itoをコーディネーションする。

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