P&G傘下のグローバルプレステージスキンケアブランド「SK-II」の製品はどこで作られているか、ご存知ですか?実は、世界中で販売されている「SK-II」全ての製品が滋賀県野洲市にあるP&G滋賀工場で生産されています。滋賀工場は2019年に製造棟を増築し、2021年には管理棟を新設。総面積は17万3521平方メートルと壮大なスケールで、最新の環境サステナビリティにコミットするP&Gの姿勢を表しています。2022年2月にグローバルCEOに就任したスーキョン・リー氏が、「P&Gが世界中に保有する20以上の工場を見てきました。もちろんどの工場も衛生面など徹底していますが、ここはさらに高いレベルです。TOP OF THE TOP」と語る滋賀工場を見学してきました!
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まずは増設・新設を祝って新設された管理棟の1階エントランスで鏡開きが行われました。登壇したリーCEOは、「滋賀工場は40年以上にわたり、SK-IIの生産拠点として最高品質の製品を作り続けてきました。製造工程の中心にあるサステナブルな取り組みで環境に優しいサプライチェーンを実現しており、またP&Gジャパン初の企業内託児所などを設置し、最高水準の労働衛生施設として従業員のサポートにも力を入れています。滋賀工場はイノベーション、サステナビリティ、そしてイクオリティ&インクルージョンを大切にするSK-IIのコミットメントを体現し、今後もイノベーション及び、企業責任を推進していきます」と挨拶しました。
スーキョン・リー グローバルCEO
Image by: SK-II
「ピテラ™️ エクスペリエンス センター」
SK-IIと言えば、「ピテラ™️」。管理棟1階に新設した、「ピテラ™️ エクスペリエンス センター」は、ピテラ™️の歴史やその魅力が分かる“ミュージアム”的なエリアです。
ピテラ™️とは?
50年近く前に、肌の研究を続けていた研究員が、年配の日本酒を作る杜氏の手が、とても美しいことに驚き、その秘密が酵母や発酵にあるのでは、と考え研究を進めた。その結果、導き出した特別な酵母の株から独自のプロセスで発酵させ生み出した、SK-IIだけの天然由来成分。ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、有機酸類等50種類以上の肌に有用な成分を含んでいます。肌の天然保湿因子(NMF)に似たピテラ™️は各層のすみずみまで素早く浸透し、肌を健やかに保つ。また肌のうるおいバリアで乾燥による小ジワを目立たなくし、ハリのある肌へと導く。その開発には、滋賀県の美しくきれいな水が必要であることから、今でも滋賀県で生産を続けている。
Image by: SK-II
新設した製造棟で作られるSK-II「フェイシャル トリートメント エッセンス」
環境にやさしいサプライチェーンを目指し、包装ラインや製造システムを刷新。さらに倉庫の自動化も。安全・衛生管理は厳格に徹底していて、服の上から防護服を着用するのはもちろん、髪の毛を覆うネットを被った上から帽子を着用。全身をいわゆるコロコロ(粘着カーペットクリーナー)で小さなゴミを取り除いていざ、製造現場に。自動で進む、生産ラインを見学しました。
ガラスの容器がぶつかり合って割れないように、型にはめていく
Image by: SK-II
ピテラ™️ エッセンスが注入される Video by FASHIONSNAP
パッケージエリアに移動 Video by FASHIONSNAP
水質循環テクノロジー
サステナビリティのこだわりは、排水循環テクノロジーを用い、製造工程で出る排水の11%を循環させていること。循環させた水はP&Gで初めて、飲用可能な水質になっています。その水を飲ませてもらいましたが、全くの無味無臭。美味しくいただきました。将来的には産業排水の100%を循環させたい、とのことで日々開発が進められているようです。この技術の導入で、滋賀工場の生産量あたりの水使用量は2019年6月以降、10%以上向上したとか。P&G全体で2040年までにネットゼロを目指していて、この排水循環テクノロジーはその一環の取り組みです。
排水を循環させ飲料水レベルまで水質に
Image by: FASHIONSNAP
太陽光パネル
P&Gジャパンで初めて、グループのアジア拠点最大の太陽光発電パネルが、駐車場の屋根に設置されていました。2019年からは、100%再生可能電力を購入しているそうです。また新設した管理棟は建設過程での埋め立て廃棄ゼロを実現していて、さらに低炭素網などの持続可能な素材が用いられています。
リー・グローバルCEOに話を聞きました
■スーキョン・リー(SK-IIグローバルCEO)
1989年韓国の延世大学英文学学士、1992年延世大学経営学修士課程修了。2008年9月からP&Gアジアパシフィック ヘアケア リージョナルマーケティングディレクター、2012年7月からP&G韓国 CEO・ジェネラルマネージャー、2016年1月からAPACスキン&パーソナルケア・セーフガード シニアバイスプレジデント、2018年6月から中国スキン&パーソナルケア・セーフガード シニアバイスプレジデントを歴任し、2022年2月1日から現職。
ーまず最初に、今年2月にグローバルCEOに就任されましたが、ミッションを教えてください。
ピテラ™️は特別な成分で40年以上、処方も変えていない、ポテンシャルとパワーのある成分です。ミッションの1つ目はクリーン、サステナビリティを体現する滋賀工場でしか作れない、唯一無二のピテラ™️の素晴らしさ世界に広げ、体感してもらい使用してもらうことです。2つ目に、全てのお客さま、特に若年層の方々に、ブランド理念の「CHANGE DESTINY」を伝えたいということです。SK-IIの製品で肌の運命を変えていくだけでなく、人生の運命をも変えていきたい。現代社会では自分自身に感じているプレッシャー、社会からのプレッシャーを大きく感じています。そんなプレッシャーに負けないように、応援していきたいと考えています。
ーその一環として、今回の滋賀工場のお披露目を前に、東京でメディアに向けた初の「ワールドピテラ™️ DAY」を開催したのでしょうか?
本当にピテラ™️はアイコニックな製品で、研究開発とともに歴史も長く、現在も研究は休むことなく続けています。その中で新しい発見や知見が次々と生まれています。世界中の多くの人はそのことを知らないのではないかと考えています。ワールドピテラ™️DAYはメディアを招待したイベントでしたが、来場したメディアから大きく発信されることを期待しています。また将来的には一般の方にもそういったイベントが開けたら。
ー滋賀工場の環境サステナビリティを推進する上で困難だったことがあれば教えてください。
それは水です。化粧品の製造にはたくさんの水を使用します。そのため、先ほど見ていただいたように排水の循環システムを導入し、飲料水レベルにまでに達しています。現状は排水の11%を循環していますが、100%を目指したい。すぐには達成できることではないですが、そこには大きな意味があり、挑戦しがいあがる課題です。
また環境サステナビリティは企業側だけの努力では達成できません。お客さまと一緒に考えていきたい。現在は容器回収プログラムを推進していますが、今後もさまざまな循環を考えていきたいと思います。
(聞き手:福崎明子)
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