Culture インタビュー・対談

【インタビュー】パンを被写体にして話題になった「チーム未完成」とは

チーム未完成(黄:ぴっかぱいせん、青:ゆりしー、赤:しをりん)
チーム未完成(黄:ぴっかぱいせん、青:ゆりしー、赤:しをりん)
Image by: Fashionsnap.com

 世界で初めてパンを被写体にした写真集「パン」を発表し、アジア最大級のアートブックフェア・THE TOKYO ART BOOK FAIR 2014(9月19日〜21日)の話題をさらった女性ユニットが居る。皿の上に置かれるだけのインドア派だったパンを、夜のストリートや元気な子供の声が響く公園など意表をつく場所に飛び出させたのは、7月に活動をスタートさせたばかりの「チーム未完成」。初取材になったという今回のインタビューではパン好きなカラオケ店員になりきってもらい、日頃の活動実態を語ってもらった。

■テーマカラーは赤・青・黄

― まずは自己紹介をお願いします。(※挨拶はこれが定形のようです

しをりん(以下S):チーム未完成の見切り発車担当、じょうねつレッドはめんたいこー! リーダーのしをりんことさとうしをりでーす。

ゆりしー(以下Y):うれしーかなしーわたしは\ゆりしー!/チーム未完成の文部科学省担当、ブルーライトヨコハマー! ゆりしーことゆりしーです。

ぴっかぱいせん(以下P):機材担いで右往左往。みんなのハートをシューティング! チーム未完成の大きい方、せんべいえろー、ぴっかぱいせんです。

― 3人の強みを合わせて「チーム未完成」。

S:まだ「パン」しか世に出ていませんが、具体的にはロゴやレイアウトなどデザインまわりをしをりんが担当しています。それから割と全体的にわーわー言っているのも、私です。

Y:冒頭の「パンとは」という文章など、字を書く系はゆりしーが担当しました。

P:写真関係は全てぴっかぱいせんが担当しました。

team-mikansei-20140924_001.jpg夜景が綺麗なカラオケ店にて撮影。


―キャッチコピーは「イケイケ世代のイケない女子によるちょっぴりイケてない制作活動」とのことですが、どんな経緯で「チーム未完成」は結成されたのでしょう?

S:最初は私とゆりしーの2人で、「何か新しいことやりたいね」と話をしていたんです。それが今年7月なのですが、その「何か」が最初は全く決まっていなくて...。

Y:2人とも割と音楽のイベントに顔を出すことが日頃多いのですが、ライブハウスのケータリングって「いつもゴハンがしけてるよね」と意見が一致したところが「何か」の始まりかな。例えばライブを観に行ってお酒を飲みながら踊りたいのに、なぜかカレーを両手で食べなきゃいけない。ジレンマを感じていたんですよね。それで「片手で食べられるものって何だろう」という疑問から、「パンだ!」というアイデアが浮かんだんです。

■顔合わせ初日に撮影開始

― 食の視点からパンと関わり始めたのですね。

S:まずはパンを使った美味しいケータリングを始めようとしたのですが、ケータリング作りで試行錯誤しているうちにお腹がいっぱいになってしまいました。パンを食べるのが嫌になってしまったんですね、「もうパンなんて嫌いだ!」と。

Y:パンの顔も見たくないってね。

S:そうこうしているうちに、「食べる以外のことでパンで何かやりたいねと」いう発想に飛躍し、試しに写真を撮るのが上手なぴっかぱいせんをお呼びしてみようとミーティングの場を新しく設けたんです。その日が3人初めての顔合わせになりました。

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結成記念のプリクラ(美白モード)

― 顔合わせ初日から早速活動をスタートさせたのですね。

S:はい。パンのプリクラもそうですが、あれをやったら面白いんじゃないか、これもやったら面白いんじゃないかと大喜利のように3人からアイデアが溢れてきたんです。

Y:被写体がパン、これはイケる! と思いつきで撮り始めた割に、めちゃめちゃかっこ良い写真が撮れてびっくりしました。コンビニで167円というお手頃な存在が、こんなに良い被写体になったことに感動しましたね。

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― 原宿・浅草で撮影していました。

P:まずはTHE TOKYO ART BOOK FAIR 2014(以下、TABF)で私たちの活動を知ってもらおうという目標を作りました。もっと作品数を増やさなければいけないので、原宿に続く新しいロケ地が必要になったんです。パンを公園のブランコで遊ばせたり滑り台をさせてみたり、花やしきもロケ地にしたら面白いよね、と諸々の理由から浅草が次のロケ地に決まりました。

― 各地の撮影で苦労したことはありますか?

S:パンが乾いちゃいましたね。霧吹きを持参して、(パンに)シュッシュッシュッと吹きかけながらロケを進めました。

P:潤いには気を使いましたね(笑)。

Y:それから、「投げてキャッチ」を繰り返すとパンが地面に落ちて汚れてしまうので、キャッチ係としてゆりしーが活躍しました。原宿1枚、浅草2枚と全部で3枚くらいのパンが出演したのですが、霧吹きや汚れ落としで度々お直しを入れました。

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― インタビューページでは、「トースター以外で飛んだのって、多分初めてだった」とパンが撮影を振り返るエピソードが掲載されていますね。

Y:インタビューは私としをりんの2人で担当したのですが、基本的に文字起こしから原稿制作までを私が担当しました。パンは基本的に無口なので、上手く言葉を引き出すのは少し大変でしたね。

mikansei-pan-20140520_003.jpgパン「やっぱりバターとかジャムが相性いいかな」

■パンは「超ストリートアート」

―「TABF」に初参加してみて、手応えはありましたか?

一同:めちゃめちゃありました。

―例えばどんな反応を受けましたか?

S:本当に恐縮なのですが、「一番君たちのブースが面白かったよ」と言ってくれる人が多かったです。なかでも興味深かったのが、リピーターがとても多かったということ。私たちのブースとパンが目に入った瞬間に「やばーい」と盛り上がってくれた人が、今度は友達を連れて「やばいのやばいの」ともう1度来てくれるという、「チーム未完成」がひとり歩きしてくれているような、リアルバイラル現象が起きました。そんなこんなで「私たちスゴイのかもね」と3日間を振り返っているうちに、新しく「バイラル系自画自賛女子制作ユニット」というキャッチコピーを思いついたんです。

P:老若男女に愛されるとは、さすがパンだなと感じました。

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「TABF」の様子

―写真集「パン」の売れ行きはいかがでしたか?

P:赤字ギリギリでの制作だったので「パン」の値段は800円にしたかったのですが、800円ですと言い切ってしまうのは忍びないという恐縮感を反映させて「700〜800円」で販売したんです。60冊弱ほど用意していったものの、早い段階で完売してしまいました。

S:「パン」以外にパンステッカーを用意し、こちらも売れ行き好調でしたね。

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―改めて、パンの魅力ってどんなところでしょう?

S:パンという言葉の響きがキャッチーだし、インパクトがあると思います。「TABF」をきっかけに「パンの人だ」と言われることが最近増えたのですが、「チーム未完成」を覚えてもらうためにも、しばらくはパンを追求していきたいなと考えています。「パン」を制作していて感じたのは日常の中にちょっとした違和感があるモノ・コトが3人とも好きなんだなという共通点でした。どこにでもある風景、毎朝見るパン、両者が1枚の写真に収まるとなんだか妙な違和感があって、このズレを私たちは楽しんでいるんだと感じています。

P:私は表紙の写真を撮影したとき、「超ストリートアート」だなと思いました。公衆電話の隣にパンがある、そんな絵面にストリート感があって、「TABF」でもウケていましたね。郵便ポストとパン、グラフィックアートとパン、原宿駅とパン、代々木公園とパン...。「パンテロ」と呼んでいるのですが、公共物にパンを"ボムする"という行為に珍しさがあるのかもしれません。

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■世の中をくだらなくしたい

―「チーム未完成」さんは、時代と逆を行くアナログな雰囲気が漂っている気がします。

P:私がもともと80〜90年代っぽさをずっと求めているので、そういうイメージは表れているかもしれないですね。

S:アナログというキーワードで言えば、私は昔の自分を追いかけるのにいま少しハマっていて、先日、幼稚園時代まで遡って過去のVHSを大量に見返して楽しんでいました。

Yそういえば、私は小学生のときに「チーム未完成」と同じようなことをやっていたんです。架空のユニット2人組を小学校6年生くらいの時に幼なじみの子と結成して、ラップのような音楽を歌詞カード付きで画用紙に描いていたみたり。

―興味深いエピソードですね。

S:恐縮です。きっと、3人とも小さい頃から変わっていないんだと思います。今回、「パン」の撮影ではRICOH THETAなど最新機材の導入も色々と検討はしたのですが、いま話題の新しいものは現代人にとって身近な存在だし、それさえあれば皆が同じものを作れる、それってあまり面白くないんじゃないかなと考えたんです。新しいことを生み出そうとしているわけではなく、昔の良いモノや身の回りにあるモノを使って皆を巻き込みたいという考えで活動しているので、必然的にパンに行き着いたのかもしれませんね。

― 身近な存在だからこそ、バイラルするのでしょうか?

S:そうかもしれません。楽しくしたいですね、世の中を。くだらなくしたい。お金を使わなくても、頑張んなくても楽しいんだよって。

P:本当にお金使ってないよね、パン代くらい(笑)。

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―今後、やってみたいことはありますか?

Y:「店」という名前のお店を開きたいですね。メニューは「麺」「水」「酒」とシンプルで、お品書きにこだわりたい。

S:曲を作りたいし、音楽イベントもやりたいし、カレー屋さんもやりたいし、来年、個展がやりたい。海外でもパンを投げたいし、本当に色んなことをやりたいですね(笑)。

team-mikansei-20140924_012.jpg日々、LINEで次のアイデアが飛び交っているそう

―盛りだくさんですね。

S:なんだかお笑いコントのノリに近いのかもしれないです。日常なんだけど絶妙な突っ込みどころがあるというようなネタでいつもクスクス笑っているので。しかもそのネタになりきるというところがポイントで、パンだったらパン祭りだし、カラオケだったらカラオケ屋の店員だし。おままごとユニットというか、ごっこユニットだと私は思っているんです。かっこ良いものを創りだす方々には絶対に勝てないので。良いテンポでずっと「ごっこ」が続けられて、その「ごっこ」に周りの皆にも参加してもらって、一緒にみんなで「おままごと」をする感覚で活動できたら良いなと思います。近い将来、メンバーが増える可能性があるのですが、「feat.」的な一時的に参加する人がたびたび現れても面白いかなと思っています。

P:割と形から入るよね。

Y:だから正直、アーティストと呼ばれるのは恐縮過ぎますね。

取材後、帰り道に行われたパンパラッチ(左手にパン)

■チーム未完成
2014年7月結成。バイラル系自画自賛女子制作ユニット。 写真やデザイン、ライティングなど一芸を持つメンバーで構成。9月末に行ったインタビュー時は女性3人組だっが、10月よりスナックみつ子が新たに加入している。
公式サイト:http://mikanseimikansei.tumblr.com/

(坂本菜里子)

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