Image by: VALENTINO
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」が、2022−23年秋冬オートクチュールコレクション「VALENTINO THE BEGINNING」を創業地のイタリア・ローマで発表した。舞台に選んだのはローマでも屈指の観光スポットであるスペイン階段。計102ルックに及ぶ壮大なコレクションをドラマティックな演出で披露した。
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スペイン階段でのファッションショー。一般的にはオードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」でのワンシーンや観光名所としてのイメージが強いが、イタリア人にとってはショーのロケーションとしても馴染み深い場所だという。1980代後半から2000年代初期にかけてイタリア国内で放送された番組「Donna Sotto Le Stelle(Woman Under the Stars)」では、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)を含むイタリアのファッションデザイナーが競演し、プレタポルテなどのショーがお茶の間に届けられていたそう。
スペイン広場には多くのラグジュアリーブランドのブティックが軒を連ね、ヴァレンティノにとっても特別な地。階段を降りて左手のミニャネッリ広場(Piazza Mignanelli)にはブティック、そしてアトリエが位置している。今回のランウェイは約130段からなるスペイン階段からアトリエのエントランスまでとなり、100人以上のモデルたちはイギリス人アーティスト ラビリンス(Labrinth)のライブパフォーマンスに合わせロングウォーキングを披露した。
架空の"ヴァレンティノ・ガラヴァーニとの対話"から生まれたというコレクションは、ピエールパオロ・ピッチョーリの思い描く「美」の考え方を描写。「かつて軽視されていたアイデアを中心へと据え、不完全で基準を満たしていないと思われていたものの中から魅力を見出すということ。美の領域を広げるというアイデア」に沿って登場するモデルも様々だ。年齢、性別、国籍、肌の色、体型など多様なラインナップで構成されている。
カラーパレットはメゾンを象徴するレッドをはじめ、モノトーンから、レモンイエローやパープル、オレンジ、ピンク、ブルー、グリーンとピッチョーリの感性が光る鮮やかな色の組み合わせ。2022年秋冬シーズンのほぼピンク一色で構成された「ヴァレンティノ ピンク PP」コレクションとは、鮮やかさでは引けを取らないが対照的でもある。
ファーストルックのバラが咲き誇るミニドレスは、花びらの造形の精巧さが際立つ。バラはコサージュとして足首や肩などに取り付けられたほか、ドレスのディテールにも随所に登場。またリボンも胸元や腰にカラーのポイントとして印象的だ。ボリュームのあるタフタのドレスやスカート、風を受けて軽やかに舞う薄いオーガンザやレースのドレス、スパングルや細かいビーズが無数に取り付けられたピースなど多様な素材と、刺繍や編み、ドレーピング、マルケトリといったテクニックを巧みに用いてピッチョーリのヴィジョンを形にしていく。
フィナーレでは全モデルが階段でポージングし、圧巻のフィナーレ。最後にピッチョーリを先頭に白衣を着たクチュリエたちも登場し、壮観な演出に酔いしれたオーディエンスからは大きな拍手が送られた。
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