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【連載:基本の「キ」】第1回 スマホ時代に、腕時計って必要?

教えて、山本先生!

山本晃弘編集一井智香子

Image by: LONGINES

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 「腕時計って必要?」「どうやって選ぶ?」⎯⎯腕時計の“基本の「キ」“から学ぶ連載がスタート。ファッション誌編集者として35年以上、ウォッチジャーナリストとして20年以上にわたって国内外の時計ブランドを取材してきた山本晃弘氏に、腕時計初心者であるFASHIONSNAP編集部員の素朴な疑問に答えてもらいました。

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スマートフォンがあるのに、なぜ腕時計を身につけるの?

ある調査では、腕時計を持っていない人は約4割にのぼり、30代女性は半数以上が所有していないそうです。私自身も普段、時間はスマートフォンやスマートウォッチで確認していて、「時計は必要なのかな?」と思うことがあります。一方、高級時計は依然として人気ですよね。スマートフォンがある時代に、なぜ今も腕時計が注目されているのでしょうか。

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山本晃弘

時間を確認するだけなら、スマートフォンで十分です。腕時計の役割は、昔とは変わってきています。今は、「時間を見る道具」というより、「装いを完成させる最後のアイテム」と言える存在です。

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山本晃弘

例えば、お気に入りのジャケットやシャツを着て、靴にも気を配る。そこまでコーディネートしているのに、手元だけ何もないと、どこか物足りなく感じることがあります。腕時計は、服や靴、バッグと同じように、その人らしさを表現するファッションアイテムなのです。

最近はヴィンテージファッションが人気ですが、それに合わせてヴィンテージウォッチを楽しむ人も増えています。時間を知るための道具ではなく、ファッションの完成度を上げるという感覚です。そうなってくると、スマートフォンが普及しても腕時計はなくならない。むしろ、ファッションアイテムとしての価値が、以前より高まっていると感じています。

腕時計はビジネスマナー?

腕時計を身につけることは「大人のマナー」や「ビジネスマナー」とも聞きます。本当にそうなのでしょうか。

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山本晃弘

私は、そういう面もあると思います。例えば、商談や打ち合わせ、会食などで時間を確認したいとき、スマートフォンを取り出すと、「メッセージが来たのかな」「話に集中していないのかな」と受け取られてしまうことがあります。

一方、腕時計なら手元にさっと目を落とすだけで時間を確認できます。相手に余計な気を遣わせず、会話の流れも止めません。相手への配慮をさりげなく示す役割もあるのです。

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山本晃弘

もちろん、今は時計を着けていないからマナー違反という時代ではありません。ただ、人と会う機会が多い人や、仕事で信頼関係を築く場面では、時計はとても役立つアイテムです。時間を知るためだけではなく、装いを整え、相手への敬意や時間への意識を自然に伝えられる。それが、腕時計が長く支持されてきた理由なのだと思います。

初めての一本は、どんな時計を選べばいいの?

腕時計を買おうと思っても、ブランドもデザインも本当にたくさんあって、何から始めたら良いか・・・。初めての1本は、どのように選べばいいのでしょうか。

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山本晃弘

「何を買えばいいですか?」という質問をよくいただきますが、私はまず質問者に「どんな服を着ることが多いですか?」と聞くようにしています。自分のクローゼットを思い浮かべてください。そこに並ぶ服と自然になじむ腕時計こそ、長く付き合える1本です。だから、流行やブランド名だけで選ぶよりも、自分のファッションに合うものを選んでください。

今回は、初めての1本として選びやすい10万円前後~60万円前後のモデルの中から、価格だけではなく、普段の服装との相性を重視したおすすめの時計を選んでもらいました。

クラシックな装いが好きな人にはロンジン

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山本晃弘

「ロンジン(LONGINES)」は、1832年に創業された歴史あるスイスのブランドです。手が届く価格帯で、メンズとウィメンズ両方にクラシックな顔の腕時計が充実しています。

ロンジン「マスターコレクション」(左)39ミリ・L2.949.4.73.2(右)30ミリ・L2.449.4.73.6))

Image by: LONGINES

(左)自動巻き(Cal.L888.5)、2万5200振動/時、パワーリザーブ約72時間、ケース径39ミリ、SS 37万8400円 (右)自動巻き(Cal.L592.5)、2万8800振動/時、パワーリザーブ約45時間、ケース径30ミリ、SS 34万3200円

スポーティなスタイルに合うチューダー

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山本晃弘

「チューダー(TUDOR)」はロレックスの創業者によって1926年に設立されました。かつては“チュードル”とも呼ばれていましたが、2018年に日本に本格上陸してからは、スポーティなモデルがファッション好きの方々に人気です。

チューダー「ブラックベイ 54 “ブルー”」(Ref.79000B)

Image by: TUDOR

自動巻き(Cal.MT5400)、2万8800振動/時、パワーリザーブ約70時間、ケース径37ミリ、SS 65万4500円

ビジネスカジュアルにはハミルトン

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山本晃弘

ジャケットにデニムといったビジネスカジュアルに好相性なのが「ハミルトン(HAMILTON)」です。1892年にアメリカで創業し、現在はスイスのスウォッチグループ傘下にあるブランドで、定番のミリタリーウォッチが男性に圧倒的な人気を得ています。

ハミルトン「カーキ フィールド メカ 36mm」(Ref.H69399930)

Image by: HAMILTON

手巻き(Cal.H-50)、2万1600振動/時、パワーリザーブ約80時間、ケース径36ミリ、SS 9万9000円

男女でシェアして楽しめるベル&ロス

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山本晃弘

シンプルでモダンな装いなら、男女でシェアして楽しめる「ベル&ロス(Bell & Ross)」はいかがでしょう。フランスのパリ発祥の時計ブランドです。航空機のコックピットの計器を模した大型モデルが一世を風靡し、2019年に発表した「BR-05」は都会的なサイズとデザインが人気のシリーズです。

ベル&ロス「BR-05 36mm アイスブルー スティール」

Image by: Bell & Ross

自動巻き(Cal.BR-CAL.329)、2万8800振動/時、パワーリザーブ約54時間、ケース径36ミリ、SS 64万9000円

エレガントなスタイルにはボーム&メルシエ

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山本晃弘

1830年に創業されたスイスの老舗ブランド「ボーム&メルシエ(Baume & Mercier)」は、現代的でエレガントなデザインが得意です。メンズとウィメンズともに手が届く価格帯のブランドとして定評があります。

ボーム&メルシエ「ジョイア ドゥ ボーム&メルシエ」(Ref.10850)

Image by: Baume & Mercier

クォーツ(電池寿命約5年)、ケース径28ミリ、SS 62万7880円

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もちろん、各ブランドにエレガントなモデルもスポーティなモデルもあります。そして、正解は1つではありません。でも、「自分の服に似合いそう」と思える1本を選ぶことが、腕時計を長く楽しむための近道です。毎日身に着けるものだからこそ、ブランドやスペックよりも、まずは自分のワードローブを思い浮かべてみてください。きっと、自分らしい1本が見つかるはずです。

初めての腕時計は、どこで買う?

初めて時計を買うなら、どんなお店を選べばいいのでしょうか。

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山本晃弘

私は、まず百貨店をおすすめしています。

時計専門店も魅力的ですが、初めてなら、複数のブランドを見比べながら選べる環境が大切です。百貨店なら、予算や好み、普段のファッションを伝えると、それに合ったブランドを客観的に提案してくれます。

時計は決して安い買い物ではありません。だからこそ、実際にさまざまなブランドの時計を何本か腕に着けて比較してみることが大切です。商品写真では気付かなかったサイズ感や、服との相性もよく分かります。

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東京都内でおすすめしたいのが、日本橋三越本店の「ウォッチギャラリー」です。国内外の幅広いブランドを取り扱い、専門知識を持つスタッフがブランドの垣根を越えて相談に乗ってくれます。「まだ何を買うか決めていない」という人ほど、安心して時計選びを楽しめる場所だと思います。

日本橋三越本店の本館6階にある「ウォッチギャラリー」では、60を超える時計ブランドを取り扱っている

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山本晃弘

もちろん、多くの百貨店に時計売り場はありますが、腕時計に詳しいスタッフと相談しながら比較できる売り場を選ぶことが大切です。

ウォッチギャラリーの中央に位置する「cal.BAR」では、独立時計師の希少な腕時計も見ることができる

◼︎日本橋三越本店 本館6階「ウォッチギャラリー」
住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1 
電話番号:03-3241-3311
営業時間:10時~19時(1月1日は店舗休業)
※今回の記事で紹介したブランドやモデルの取り扱いについては、直接お問い合わせください

まずはいろいろなブランドを比べてみることが大切なんですね。

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山本晃弘

そうですね。一目惚れで買うよりも、いくつか着け比べて「これが自分らしい」と思える1本に出会うことが大切です。その時間も、時計選びの楽しさの1つだと思います。

知ると、腕時計はもっと楽しくなる!

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山本晃弘

腕時計は、時間を見るためだけの道具ではありません。装いを引き立て、ときには人生の節目をともに刻む存在でもあります。

そして、服に定番があるように、時計にも時代を超えて愛され続ける名作があります。流行に左右されることなく、多くの人の腕元を飾り続けてきた時計です。1本目の時計を考え始めると、次に気になるのは、ブランドが生み出してきた"名品"の存在でしょう。

 次回は、「ロレックス(ROLEX)」、「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」、「カルティエ(Cartie)」などの“名品”と呼ばれる1本が、なぜ時代を超えて選ばれ続けるのか? その理由をひもときます。

文・山本晃弘

Teruhiro Yamamoto

服飾ジャーナリスト / AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター

「メンズクラブ」で編集者のキャリアをスタートしたのち、「ELLE a table(現ELLE gourmet)」「GQ JAPAN」「アエラスタイルマガジン」の3誌を創刊。2019年にヤマモトカンパニーを設立し、新聞、雑誌、WEBでファッションや腕時計について執筆する傍ら、ブランドの広告制作やコンサルティングを行っている。スイス現地での時計展示会やファクトリー取材は、20年以上にわたる。

ビジネスマンや就活生に着こなしを指南する「服育」アドバイザーとして、また、郷里である岡山のRSK山陽放送でラジオパーソナリティとしても活動中。著書に「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。

※商品価格は2026年8月現在の価格です。
※腕時計は未入荷や売り切れの場合もあります。また、為替レートなどの影響で価格が改訂されることがあります。

最終更新日:

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