
Image by: Grand Seiko
腕時計の基本の「キ」について学ぶ連載の最終回。知るともっと楽しい、腕時計の奥深い世界を掘り下げます。日本と海外のブランドそれぞれの魅力や、機械式とクオーツ式の違い、ヴィンテージウォッチならではの楽しみ方、そして近年注目を集める認定中古時計まで。腕時計をもっと身近に楽しむための知識を紹介します。
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目次
腕時計を選ぶときに知っておきたいことは?
第2回では、名品と呼ばれる腕時計の魅力を教えていただきました。でも、いざ買おうと思うと、「何を基準に選べばいいのかわからない」という人は多いと思います。もっと知っておくべきポイントはありますか?

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山本晃弘
まず考えたいのは、どんなファッションに腕時計を身に着けたいのか。仕事でも休日でも使いたいなら、シンプルで主張し過ぎないものが向いています。パンチが効いた個性的なデザインの腕時計が欲しくなる気持ちもよくわかります。ただ、長く付き合うなら、シンプルなもののほうが活躍する場面は多いでしょう。

山本晃弘
どんな服装でも合わせやすいのは、時分秒を表示する三針のシンプルなもの。時間がひと目で読み取りやすく、仕事でも休日でも使えます。次に大切なのがサイズ感です。男性なら35〜40ミリ前後、女性なら30〜35ミリ前後のケースサイズが、今のスタンダード。大きすぎる時計は存在感が強く、ビジネスなどには使いづらいと思います。ストラップは、最初はメタルのブレスレットがおすすめです。革ベルトはドレッシーですが、日本の夏は湿気が多く、汗染みができることもあり、傷みやすい面もあります。メタルブレスレットなら、仕事から休日まで幅広く使えます。

山本晃弘
一生付き合う時計を探そうと思うと、つい特別なものを探したくなりますよね。でも、最初に選ぶべきなのは、自然に手を伸ばしたくなる1本。使っているうちに、「次はこんな時計も欲しい」と思えるようになれば、それが腕時計との付き合いの始まりです。
日本と海外のブランド、それぞれの魅力は?
日本のブランドの強みは?
最近では、日本のブランドも世界で高く評価されていると聞きます。

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山本晃弘
もちろんです。私は「日本のものづくりが好き」という人に、「グランドセイコー(Grand Seiko)」をおすすめしています。ケースや針の仕上げはとても丁寧で、実際に手に取ると光の反射まで計算されていることがわかります。

山本晃弘
もう一つ特徴的なのが、日本の自然をデザインに取り入れていることです。白樺林や雪景色、四季の移ろいなど、日本ならではの風景を文字盤で表現したモデルも多く、「日本らしさ」を腕時計で感じられます。

山本晃弘
海外ブランドには長い歴史がありますが、日本のブランドにも、日本で育まれた技術や美意識があります。腕時計を単なる道具としてではなく、日本のものづくりを身に着ける感覚で選ぶのも、一つの楽しみ方です。海外ブランドに憧れて時計を選ぶ時代から、自分が共感できるものを選ぶ時代になってきました。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション メカニカルハイビート36000 80 Hours モデル(SLGH031)
Image by: Grand Seiko
自動巻き(Cal.9SA5)、3万6000振動/時、パワーリザーブ約80時間、ケース径40ミリ、エバーブリリアントスチール 138万6000円(10月9日発売予定)
スイスのブランドは?
「いつかはスイス製を」という憧れを持っている人も多いと思います。でも、なかなか手が届かない印象です。スイス時計らしい魅力を味わえるブランドはありますか?

FASHIONSNAP

山本晃弘
私がおすすめしたいのは、「フレデリック・コンスタント(FREDERIQUE CONSTANT)」。スイス時計の長い歴史の中で育まれたクラシックなデザインを継承しています。流行に左右されず、10年後、20年後も違和感なく身に着けられるのが、スイス時計の良さです。

山本晃弘
フレデリック・コンスタントは、本格的な機械式時計を比較的手の届きやすい価格で楽しめるブランドです。文字盤のデザインや針の形、ケースのバランスなど、スイス時計らしい品の良さが感じられます。
長く使うことを考えると、流行よりも普遍的なデザインを選んだほうがいいですか?

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山本晃弘
もちろん、トレンドを楽しむ時計もあります。でも、初めての1本なら年齢や服装が変わっても身に着けられる時計がいいでしょう。クラシックなデザインは、スーツにもジャケットにも、Tシャツにも合わせやすい。連載の第1回で紹介した名品も、何十年も基本デザインを変えていません。クラシックというのは『古い』という意味ではなく、『時代を超える』という意味。だから、何年経っても「買ってよかった」と思える1本になるんです。

フレデリック・コンスタント クラシック カレ ムーンフェイズ オートマチック
Image by: FREDERIQUE CONSTANT
自動巻き(Cal.FC-333)、2万8800振動/時、パワーリザーブ約38時間、ケースサイズ33.3×30.4ミリ、SS、牛革ストラップ 33万円

山本晃弘
このほかスイスブランドでいうと、古着やヴィンテージが好きな人におすすめしたいのが「オリス(ORIS)」です。昔のパイロットウォッチやダイバーズウォッチを現代的にアレンジしたものが多くあります。丸みを帯びたケース、少し日に焼けたような色合いのインデックスといった、懐かしさを感じさせるデザインが魅力です。
ヴィンテージウォッチに憧れるけれど、「本当のアンティークはハードルが高い」と思う人には、とても入りやすいブランドだと思います。
新品なのに、昔の時計のような雰囲気を楽しめるんですね。

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山本晃弘
防水性能や精度も安心で、メンテナンスの面でも気軽に付き合えます。

オリス スター エディション
Image by: ORIS
自動巻き(Oris Calibre 733)、2万8800振動/時、パワーリザーブ約41時間、ケース径35ミリ、SS 36万3000円
機械式とクオーツ式はどちらがいいの?
ここまで、機械式時計を中心に紹介していただきました。でも、レディスウォッチではクオーツ式(電池で動く)時計も多いですよね。その使い分け方は?

FASHIONSNAP

山本晃弘
機械式時計には、ゼンマイで動くというロマンがあります。一方で、毎日気軽に使いたいなら、クオーツはとても優れた選択肢です。

山本晃弘
例えば、「シチズン(CITIZEN)」の「エコ・ドライブ」は光で発電するので定期的な電池交換の手間が少なく、時間も正確です。忙しい毎日の中でも気兼ねなく使えるので、実用性を重視する人にはぴったりでしょう。特に女性用の腕時計は、アクセサリー感覚で楽しむ人も多いですよね。何本かを服に合わせて使い分けるなら、止まりにくく、すぐ着けられるクオーツは大きなメリットになります。

山本晃弘
機械式かクオーツかは、優劣ではありません。時計を趣味として楽しみたいのか、毎日使うパートナーとして選ぶのか。ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

シチズン クロスシー daichi collection 30周年アニバーサリー限定モデル daichi collection(EE1004-81N)
Image by: CITIZEN
光発電エコ・ドライブ(Cal.H296)、フル充電時約4年可動(パワーセーブ作動時)、ケース径29ミリ、スーパーチタニウム™(サクラピンク®) 14万3000円(世界限定1300本、2026年8月6日発売)
プレゼントにおすすめの腕時計は?
腕時計は自分で買うだけでなく、就職祝いや誕生日、結婚記念日など、人生の節目に贈られることも多いアイテムです。プレゼントとして選ぶなら、どんな時計がおすすめですか?

FASHIONSNAP

山本晃弘
私は、「ノット(Knot)」のようなブランドが面白いと思います。ノットは、ケースとストラップを自由に組み合わせられるので、贈る相手の好みを思い浮かべながら選ぶことができます。「その人のためだけの1本」をつくれる感覚があるんです。
プレゼントとしても選びやすい価格帯で、日本製という安心感もあります。贈る人にとって、候補になるブランドではないでしょうか。

山本晃弘
実は私自身も、娘にノットの腕時計を贈ったことがありますよ。「就職祝いにもらった時計」「パートナーから贈られた時計」といった思い出も、一緒に刻まれていきます。時間を知るための道具であると同時に、誰かの思いを身に着ける道具でもある。それが、腕時計ならではの魅力だと思います。

ノット ジュエリーソーラー(CJ-32RGRG)
Image by: Knot
ソーラー(Cal.AS01A/EPSON)、ケース径32ミリ、ケース厚7.5ミリ、SS 3万800円(ストラップ別) ※ストラップはカスタマイズ可能。写真のステンレスメッシュストラップ(MS-18RGRG)は6050円
ヴィンテージ時計と中古時計の違いは?
最近では、ヴィンテージウォッチを着けている人も増えました。初心者には少しハードルが高いイメージがあります。そもそも、ヴィンテージウォッチと中古時計は違うのですか?

FASHIONSNAP

山本晃弘
ヴィンテージウォッチというのは一般的に、20〜30年以上経過して、文字盤の色の変化などのエイジングやブランドの歴史的な背景やキャリバーの特異性などの観点から価値を語られる時計のことを指します。対して、中古時計というのは、過去に所有者がいる時計のことを言います。

山本晃弘
確かに、ヴィンテージウォッチには独特の魅力があります。同じモデルでも1本ごとに状態が違いますし、文字盤が焼けていたり、小さな傷があったり、それも含めて“その時計だけの個性”なんです。

山本晃弘
一方で、製造から何十年も経っている時計ですから、状態を見極める知識も必要になります。オーバーホールがきちんと行われているか、初心者には判断が難しい部分もあります。だから最初は、信頼できる専門店で話を聞きながら選ぶことをおすすめします。
安心して中古時計を選ぶ方法はある?
初心者にはヴィンテージウォッチよりも中古時計のほうが手に取りやすそうですね。安心して中古時計を選ぶ方法はありますか?

FASHIONSNAP

山本晃弘
最近では、「認定中古時計」という新しい選択肢が注目されています。これはブランドが点検し、必要に応じてオーバーホールを行い、真正性と品質を保証した中古時計です。こういった認定中古時計なら、ブランドの基準を満たした1本を安心して選ぶことができます。

山本晃弘
その代表例が、「ロレックス(ROLEX)」のRCPO(ロレックス認定中古時計)プログラムです。新品ともオリジナルの状態を保っているヴィンテージとも違う、新たな選択肢として広がり始めています。


ロレックス ブティック 表参道の2階にあるRCPO(Rolex Certified Pre-Owned)を取り扱うフロア。初回販売から2年以上経過したロレックスを対象に、ブランドが真正性を確認し、必要に応じて純正部品でオーバーホールが行われる。RCPO専用の保証カードが付属し、2年間の国際保証が受けられる Image by: ロレックス ブティック 表参道
◼︎ロレックス ブティック 表参道
住所/東京都渋谷区神宮前5-2-2
電話番号/03-6386-4379
営業時間/11時~19時(木曜定休)

山本晃弘
腕時計の世界には、新品だけではなく、誰かが大切に使ってきた時計と出会う楽しみもあります。新品にも、ヴィンテージにも、認定中古時計にも、それぞれ魅力があって、どれが正解ということではありません。

山本晃弘
腕時計は時間を知る道具ですが、それだけではなく、毎日身に着けて、思い出を重ね、時には誰かへ受け継がれていくものです。今回の連載が、そんな1本との出会いにつながれば嬉しく思います。
※商品価格は2026年8月現在の価格です。
※腕時計は未入荷や売り切れの場合もあります。また、為替レートなどの影響で価格が改訂されることがあります。
最終更新日:

Teruhiro Yamamoto
服飾ジャーナリスト / AERA STYLE MAGAZINE WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「メンズクラブ」で編集者のキャリアをスタートしたのち、「ELLE a table(現ELLE gourmet)」「GQ JAPAN」「アエラスタイルマガジン」の3誌を創刊。2019年にヤマモトカンパニーを設立し、新聞、雑誌、WEBでファッションや腕時計について執筆する傍ら、ブランドの広告制作やコンサルティングを行っている。スイス現地での時計展示会やファクトリー取材は、20年以上にわたる。
ビジネスマンや就活生に着こなしを指南する「服育」アドバイザーとして、また、郷里である岡山のRSK山陽放送でラジオパーソナリティとしても活動中。著書に「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。
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