
作業服専門店から、高機能・低価格アクティブウェアやカジュアルウェアへと領域を広げ、日本のアパレル市場で存在感を高めてきたワークマンが、大きなターニングポイントを迎えている。今年3月には同社初となる5ヶ年の中期経営計画を発表。グローバル展開をはじめとした今後の成長戦略を打ち出した。
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今回は、これからのワークマンの動向を占ううえで欠かせない、「トレンドファッション戦略」と「オンライン戦略」について、キーマンふたりにインタビューを敢行。この2つのテーマをもとに特集記事をお届けする。第1回は、同社のトレンドファッション戦略の核となる業態「ワークマンカラーズ」の現在地と今後の展望について、大内康二 商品本部長に話を聞いた。
ワークマンは現在、「#ワークマン女子」の屋号で展開していた店舗を、よりファッション性とトレンド性を追求した新業態「ワークマンカラーズ」へとリニューアルしており、新生ワークマンカラーズは、2025年3月のコレットマーレ桜木町店を皮切りに、現時点で10店舗をオープン。今後も出店を拡大する予定だ。同社がカラーズ業態で本格参入する低価格トレンドファッション市場は、「ユニクロ(UNIQLO)」を展開するファーストリテイリング社をはじめとした国内外の巨大企業がしのぎを削っている。ワークマンはこの超激戦区でどのように戦って行くのか。
トレンドアイテムの価格帯はGUを強く意識
⎯⎯リニューアルしたワークマンカラーズに対する顧客の反応はいかがでしょうか。
「#ワークマン女子」では女性客をメインターゲットにしていましたが、「ワークマンカラーズ」では男性顧客からの支持が強くなっていると感じています。実は、カラーズ始動当初はワークマンのカジュアルウェア担当者がカラーズの商品の企画を行っていました。しかし、その体制ではワークマンとカラーズのカテゴライズが曖昧になってしまったので、開発担当者をワークマン向けとカラーズ向けで完全に分けました。この変更によって、それぞれの業態の特性に合わせた商品開発が可能になり、少しずつ成果が出始めています。




ファッションの打ち出しを重視したワークマンカラーズ店頭(2025年3月撮影)
Image by: FASHIONSNAP
⎯⎯カラーズでは、機能性、トレンド、そして低価格という3つの要素のバランスの取り方が難しそうです。
カラーズで最も重視しているのは、トレンド感のあるカジュアルウェアを全面に打ち出すことです。その上で、徹底的にこだわっているのが価格です。例えばデニム一本をとっても、どのような背景で、いくらで生産できるのかを突き詰めて考えています。こうしたベーシックなカジュアルアイテムをしっかりとマス化していくことが、現在の重要なテーマです。
ワークマンの強みである機能性の高い商品はカラーズでも展開していますが、商品の棲み分けは明確にしています。例えば、「エックスシェルター(Xshellter)」に代表されるハイスペックで高価格の商品は、原則としてカラーズでは販売せず、ワークマンおよびワークマンプラスの店舗で展開しています。カラーズの商品のなかには一見すると機能性がないように感じられるものもありますが、何かしらの特徴、例えば素材や細かな仕様などで機能的な強みを持っている場合がほとんどです。ただし、機能性を追求しすぎると、デザインがごちゃごちゃしてしまったり、価格が高くなってしまったりというデメリットも生まれます。そのため、機能性を追求した先進的な商品の開発は、主にワークマンとワークマンプラスを中心に行い、そこでヒットした要素を抽出し、カラーズ向けにデザインや色を変えてファッションアイテムとして展開していく、という流れを基本としています。
この取り扱い商品の違いは、我々が想定する顧客層の違いに基づいています。ワークマンやワークマンプラスの顧客は、屋外で作業をされる職人さんをはじめ、バイクに乗る方、釣りや山登りをされる方など、ハードな環境で着用されるユーザーが多いので、ハイスペックな商品が求められます。それに対して、カラーズの主なターゲットは、日常的なシーンで着用するファミリー層です。そのため、品揃えや商品開発の考え方も、それぞれの業態で変化させていくべきです。価格戦略においてカラーズは、「ジーユー(GU)」などを強く意識しています。

ワークマンカラーズのポジショニング
Image by: FASHIONSNAP

ワークマンカラーズのポジショニング
Image by: FASHIONSNAP
⎯⎯カラーズの実際の顧客の年齢層はどのあたりでしょうか。
当初は30代から50代をターゲットとしていましたが、現状では30代後半から50代のお客様にしっかりと支持していただいています。
⎯⎯トレンドアイテムを数多く扱うカラーズ業態に対して、これまでのワークマンの主要顧客であった職人の方々からはどのような反応がありましたか?
特にローカルエリアの店舗では、お客様がカラーズとワークマンの違いをまだあまり認知されていないケースがあります。そのため、作業着を求めて来店された職人の方が、「ここには作業着がないのか」と戸惑われることもあるようです。しかし、一方で面白い反応もあります。ワークマンだと思って入店されたお客様が、カラーズならではのファッションアイテムを見て、「ワークマンでこんなものも売っているのか」と興味を持ち、購入してくださるケースも増えています。既存の顧客層に、新たな発見を提供できている側面もあると感じています。

ワークマンカラーズの2025年秋冬メンズアイテム
Image by: FASHIONSNAP
2025年夏の戦略は「失敗だった」
⎯⎯トレンドを意識する中で、デザイン性の高い商品も増えています。例えば、メンズでは豹柄のカーディガンなども展開されていましたが、このような攻めたデザインのアイテムの売れ行きはいかがですか。
正直に言うと、攻め過ぎているデザインのものは売れ行きが芳しいとは言えません。我々自身も、カラーズという業態についてはまだ勉強中の段階です。現在の戦略としては、まずボトムスのような軸となるベーシックな商品をしっかりと作り込み、売上の基盤を固める。その上で、トップスなどのアイテムで多少の「遊び」を取り入れ、「ワークマンもこれだけおしゃれなことをやるんだ」というイメージを打ち出していくことが重要だと考えています。



ファッション性を重視したワークマンカラーズのメンズアイテム(2025年3月撮影)
Image by: FASHIONSNAP
⎯⎯近年は競合となるアパレル企業も機能性を謳った商品を増やしています。
我々の強みは、機能性商品を全社的な規模で展開することによる「圧倒的な数量」です。これにより、高い機能を持つ商品を低価格で提供できます。この強みを軸にして、カラーズでやるべきこと、ワークマンでやるべきこと、というように業態ごとの役割を明確にして戦っていく方針です。
⎯⎯猛暑を受けて、今年は夏物アイテムの商戦が激化しました。
率直に言って、カラーズにおける今年の夏の施策は失敗でした。特に、ウィメンズの夏物商品がかなり不足していました。例えば、UVパーカはSNSなどで話題となってお客様からのお問い合わせが殺到し、すぐに欠品してしまいました。売れ筋の半袖Tシャツなどもシーズン途中で在庫がなくなってしまい、機会損失が大きかったと反省しています。この反省を踏まえ、来シーズンはウィメンズ衣料の数量を大幅に増やす計画です。
ライバルよりも機能的でファッショナブル、かつ低価格に
⎯⎯今後の計画についてお聞かせください。
機能性をプラスした新しいカジュアルウェアの生産量を大幅に増やします。それに伴い、生産から店舗への商品供給の仕方も大きく変えていこうとしています。これまでは、店舗での販売推移を見ながら海外から商品を段階的に国内に輸送し、店舗に導入するという流れが主でした。しかし近年、新製品発表会などを起点として、特定の商品の需要が急激に跳ね上がるケースが顕著になっています。この変化に対応するため、今後は需要が見込める商品については、シーズンの初めに一気に国内の物流センターに輸送して在庫を確保し、そこから需要に応じて各店舗に配分していくというモデルに移行します。もちろん、物流センターへの負担が非常に大きくなるため、全てのアイテムで実施するわけではなく、注力する商品を絞って集中的に展開していくことになります。



ワークマンカラーズの2025年秋冬ウィメンズアイテム
Image by: FASHIONSNAP
⎯⎯台湾へのワークマンの進出計画が発表されました。カラーズ業態も海外展開を検討されていますか?
台湾へは、「機能性アクティブウェア」という新しいコンセプトでの進出を計画しています。これは、ワーク(作業)の要素を除いたワークマンやワークマンプラスの商品群に、ウィメンズアパレルと靴を加えた品揃えになります。ですので、カラーズ業態そのものでもなければ、ワークマンプラス業態そのものでもない、両方の要素を併せ持った新しいフォーマットになります。現在、この新業態の店舗名をどうするかで社内でも議論が続いています。台湾は沖縄と気候が似ており、雨が多く蒸し暑いため、我々のレインウェアや高通気性のウェアは非常に親和性が高いと考えています。また、日本のファッション企業も数多く進出しているので、市場のポテンシャルは大きいと見ています。
⎯⎯最後に、今後の戦略の要点を改めてお聞かせください。
カラーズとしては、今後もファッション性をさらに高めていく方針です。そこに、ワークマンが培ってきた機能性をいかに組み込んでいくか。そして、何よりも「低価格」であり続けること。この3つが軸になります。競合と考えているジーユーなどと比較しても、価格では絶対に負けないという方針を今後も貫いていきます。
1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、フリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済、世界情勢などの視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。3児の父。
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