「MORE ME」ポップアップイベントに参加した会社員Aちゃん
Image by: FASHIONSNAP.COM

Beauty インタビュー・対談

【インタビュー】日韓フォロワー138万人 "会社員Aちゃん"に聞く美容系YouTuberの仕事

「MORE ME」ポップアップイベントに参加した会社員Aちゃん
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 独自のメイクの方法やリアルなコスメレビューで日本でも注目を集めている「美容系YouTuber」。中でも韓国出身の会社員Aちゃんは韓国で100万人以上の登録者数を持つだけではなく、日本でも約38万人がフォローし、日本国内の美容系チャンネルの登録者数ランキングTOP10に入るなど異彩を放っている。"元会社員"から飛躍した会社員Aちゃんに聞く、美容系YouTuberの仕事とは。

 

■会社員から転身、"美容系YouTuber"の仕事

―YouTuberの活動を始めたきっかけは?

 ニックネームの由来にもなっていますが、もともとは普通の会社員だったんです。スマートフォンのゲームを作る会社に勤めていたのですが、深夜3時に家に帰って朝9時に出勤するような生活を送っていてとても大変でした。「家で何か気軽にリフレッシュできる趣味はないかな」と悩んでいた時に、海外にYouTuberとして活動する人たちがいるということを知って、大学の専攻が映像だったので「これだったら私にもできるんじゃないかな」と思い、2014年にYouTuberとしての活動を始めました。

―コスメはもともと好きでしたか?

 はい。大学時代に韓国で読者モデルやっていたこともあって、コスメやビューティーにはとても興味がありました。

―YouTubeに投稿するネタはどのように決めていますか?

 まず思い浮かんだものをメモして、その中からシーズンやトレンドなどに合わせて決めています。

―動画の撮影や編集は一人で行ってますか?

 活動を始めた当初は撮影から編集まで一人でやっていたのですが、月50本動画を作っていたら本当に死にそうになって(笑)。今はフォトグラファーをやっていた友人が撮影、もう一人の友人が仮編集を手伝ってくれていて、そこからテロップやBGMなどを入れる細かい編集といった最後の仕上げは私がやっています。

―1本の動画を仕上げるのにどのくらい時間がかかりますか?

 複数の動画を同時進行で編集していますが、1本あたりの仮編集は2時間、その後の仕上げは6時間くらいかかりますね。

―ひと月に投稿する動画の本数は決まっていますか?

 韓国のメインチャンネル、日常チャンネル、日本のチャンネルの3つを運営していますが、基本的には3チャンネルを合わせて大体20〜30本は投稿するようにしています。

―タイアップ動画のブランドや商材の選定基準があれば教えてください。

 まずはその商品を実際に使ってみて、自分なりの"OK"が出たらタイアップの提案を受けています。私自身がすごく敏感肌で、商品によっては肌がボロボロになってしまうこともあるんです。だから化粧品、特にスキンケアは自分がまず"モルモット"になって使ってみて、慎重に選んだものをおすすめしていますね。

―YouTuberとしての収入源はなんですか?

 動画の視聴回数に伴う広告、タイアップ、あとはイベントですね。

―韓国のYouTuberプロダクション大手のCJ E&Mに所属。どのようなマネージメントを受けていますか?

 日本のプロダクションは芸能事務所のようにマネージャーさんがついて色々世話をしてもらえるシステムだと思うんですけど、CJ E&Mは広告代理店と似ていて、マネージメントはほぼ受けていません。

―契約することで得られるメリットは?

 CJ E&Mが展開しているビューティー系のアプリで配信するコンテンツを作らせてもらったり、アプリ上でYouTubeのチャンネルのPRをしてもらえるので登録者以外にもリーチできることですね。

―CJ E&M側からコンテンツの制約はありますか?

 私の場合は韓国のチャンネルの登録者が2,000人くらいだった時からCJ E&Mに所属しているのですが、コンテンツ選びは基本的に自由にやらせてもらっています。

―韓国語のチャンネルを立ち上げた同年に日本語チャンネルを開設。コンテンツは分けていますか?

 そうですね。日本語チャンネルについては、「せっかく日本語が喋れるから、同じ動画をアフレコだけ日本語で出せばいいや」という感じでやろうと思っていましたが、韓国と日本ではトレンドが全然違ったので、結局日本語チャンネル専用のコンテンツを作らなければいけないという結論になりました。日本語チャンネルでは日本のトレンドを軸に、韓国のメイクトレンドを少し取り入れています。

―YouTuberの仕事で大変なところは?

 動画を月50本作った時は筋肉痛になりました(笑)。身体がしんどいと精神もしんどくなるじゃないですか。本当に辛かったですね。

―アンチファンからの誹謗中傷も見られますが、精神的に負担になりませんか?

 そういう時もありますが、日本の視聴者さんは優しいと感じています。

―会社員時代からYouTuberになって変わったことは?

 会社員時代より生活しやすくなりました。好きな時間に作業ができますし、生活パターンも前より自由になりましたね。収入もYouTuberになってからは1ヶ月で会社員時代の年収分稼げるようになりました。

―すごいですね。Youtuberとしての活動を続ける上で、モチベーションになっているものは?

 私のチャンネルを見て日本人の視聴者さんが韓国に興味を持ってくれた時はやりがいを感じます。

―他の多くのYouTuberはライバルとして意識しますか?

 YouTubeには視聴数や登録者数などのランキングがありますが、フィールドが異なるのであまり意識していません。例えば私とヒカキン(HIKAKIN)さんはジャンルが異なりますし、同じ美容系にしてもそれぞれに魅力や個性がありますから。でも商品レビューで他のYouTuberさんに先に越された時はちょっと気になります(笑)。内容が被る時はアイテムを違うものに変えたりして工夫していますね。

―インスタグラムも発信力のあるSNSですが、YouTubeとインスタグラムの違いをどのように考えていますか?

 インスタグラムは投稿が流されやすいですが、YouTubeは検索のプラットフォームなので目的を持って観に来てくれる方が多いですね。また、YouTubeの方が動画作りに手間や時間がかかるので、インスタグラムの投稿よりも説得力があると考えています。

■日本と韓国のビューティートレンドの違いとは

会社員Aちゃん


―韓国と日本のビューティートレンドの違いは?

 同じアイテムが人気でも、メイクの方法は全然違いますね。韓国では欠点を完璧にカバーしつつ手を加えた"がっつり"メイクが人気ですが、日本はここ何十年はほぼすっぴんに近い"激ナチュラル"メイクがトレンド。韓国チャンネルのメイクの動画をそのまま日本語にして、日本のチャンネルにアップすると「上手だけど濃い」という書き込みが多いですね。韓国語のチャンネルでも日本で流行ってるメイクを投稿すると「これってメイクなの?」と指摘されます。

―例えばどういったメイクですか?

 ソウルの冬は特に乾燥しているのでツヤ肌を演出する"水光(ムルグァン)"メイクが人気で、韓国女性のほとんどがみずみずしさを演出するクッションファンデーションを使っていますが、日本は湿度が高いためか、ツヤ肌よりマットな肌作りのほうが日本の方の好みじゃないかなと思います。

―日本のコスメのなかで一番好きなアイテムは?

 日本はパウダーファンデーションが発達していると思います。韓国では全部クッション化して、パウダーファンデーションがないんですよ。あとはしっとりとしたリップグロスと口紅が好きです。ブランドだと「スック(SUQQU)」、最近では「エクセル(excel)」のハイライターにハマっています。

―日本のメイクトレンドはどのようにしてリサーチしていますか?

 頻繁に日本に来るので、日本のコスメショップなどで売られているアイテムをいつもチェックしています。あとは10代や20代の雑誌、青文字、赤文字系など10種類以上の雑誌を読んで、それぞれのスタイルの人たちがどのようなルックに憧れていて、美しいと思っているかを参考にしています。

―アメリカなど欧米のYouTuberのメイクは参考にしていますか?

 参考にはしますが、私がそのまま取り入れるとナチュラルではない"ごっつい"メイクになってしまいます(笑)。欧米とはトレンドが非常に離れていますから、韓国人や日本人の日常生活にあまり活かせるようなものではないと思っています。

■今後の美容トレンドとYouTuberの先にある未来

―今後はどのようなビューティートレンドが盛り上がると予想しますか?

 働く女性や高等教育を受ける女性がこれからもっと増えると思いますので、自立した女性に合わせてビューティーも進化していくのではないかと思います。具体的にはより簡単にメイクができるアイテムと、色々な機能が1つに収まったオールインワンなどのアイテムが流行るのではないでしょうか。クレンジング商品に関してはより簡単にオフできるものが出てくると思います。

―会社員Aちゃんさん自身はこの先もYouTuberとして活動していく予定ですか?

 しばらくはYouTuberとしての仕事に集中していきたいですが、一生やっていくかはわかりません。将来的にはブランドを立ち上げて、アレルギーを持つ方が安心して使える化粧品を作りたいです。

―YouTuberが憧れの職業に選ばれるようになりましたが、これから目指す人に向けてアドバイスはありますか?

 YouTuberは始めるのもやめるのも自由なので、自分に合う仕事を探すためのツールとしてYouTubeを利用するといいと思います。

―最後に、会社員Aちゃんの今後の目標を教えてください。

 韓国と日本の架け橋になりたいです。YouTuberとして活動する中で、在日韓国人の方から「韓国語ができないけどAちゃんの動画を見て韓国語の勉強がんばります」というコメントを頂いて、すごく頑張りたいと思いました。また、日本での韓国のイメージが変化していくと感じているので、その良い変化に貢献できたらと思います。

会社員Aちゃん
2014年に韓国語のYouTubeチャンネルを開設し、同年に日本語のYouTubeチャンネル「会社員J」を始動。2015年から韓国文化体験フェス「K-con Japan」に毎年参加しており、2017年にはNHKのビューティー特番「シンデレラネットワーク」に出演するなど、日本での活動領域を広げている。

(聞き手:チェ ユナ)

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