小泉智貴が手掛けるファッションブランド。2019年秋冬シーズンにニューヨークファッションウィークで初となるファッションショーを披露。ラッフルドレスに身を包んだモデルがランウェーを歩く姿は国内で大きな話題となった。自身のブランド運営の他にも様々なアーティストへの衣装提供、ブランドや企業とのコラボレーションも数多く手掛けている。
TOMO KOIZUMIのコレクション
1988年生まれ。国内アーティストなどの衣装デザインを手掛けていたところ、大御所スタイリストのケイティ・グランド(Katie Grand)に見出されたことがきっかけで、2019年秋冬シーズンのニューヨークファッションウィークでデビュー。2020年、ファッションコンテスト「LVMH Young Fashion Designers Prize」のファイナリストに選出、2021年には第39回毎日ファッション大賞の大賞受賞。これまでに「サカイ(sacai)」や「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」、「フレッド(FRED)」などのブランドとコラボレーションアイテムを展開している。
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目次
- BRAND CONCEPT -
ブランドコンセプトは「エンターテイメント性のあるファッション」
日本を拠点にしながら、レディー・ガガ(Lady Gaga)やパフューム(Perfume)といったアーティストの衣装をはじめ、「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」や「サカイ(sacai)」といったブランドとのコラボレーションも数多く発表しているデザイナー小泉智貴。14歳の頃に雑誌で目にしたジョン・ガリアーノ(John Galliano)が作るドレスに衝撃を受けて独学で服作りを習得し、高校在学時には衣装デザイナーやスタイリストのアシスタントに就くなど、10代からファッションの世界に身を置き知識と技術を磨いていった。その後、千葉大学在籍時の作品が評価されたことがきっかけとなり、自身のブランドスタートに至った。
トモ コイズミがコンセプトに掲げているのは、「エンターテイメント性のあるファッション」。服を越えて表現されるファッションの可能性を、自分自身のブランドを通して見せていきたいという。「ファッションは服以上の価値があると信じている」とデザイナーは力強く話す。
- CHARACTERISTIC ITEM -
東京2020オリンピック開会式でも話題となった「ラッフルドレス」
2015年頃から作り始めたラッフルドレスは、着用した人の魅力をより引き立てる色とフォルムが特徴で、加藤ミリヤ、YUKI、ドリカムの吉田美和といった錚々たるアーティストが衣装として採用。そして、レディー・ガガ(Lady GaGa)が2016年の来日時に着用したことで国内外で一気に話題が広がった。「2016年の初めにコレクション作品として作ったものを何着かガガさんサイドに預けていたんですが、実際に着てもらえるかはわからなかった。世界的な著名人が着用してくれたのは初めてでした」と当時のことを振り返る。
また、東京2020オリンピック開会式の国歌斉唱では、MISIAがラッフルドレスを着用して登場。約100m(2反)のオーガンジーを使用し、30色を組み合わせて作り上げたという。デザイナーは「世界中の違った考えや言語の方々の目に触れるので、一目見て純粋に美しいと感じるものを作りたくて”ピュアな美しさ”を目指しました」と振り返る。
- HIGH QUALITY -
日暮里の生地屋から生まれた「ラッフルテクニック」
デザイナーは、衣装の仕事の合間にポートフォリオになるような作品やサンプル作りをしており、日暮里の生地屋で数多くの色展開がされているポリエステルオーガンジーを見つけ「この生地で何かできないだろうか」と考え始めたという。
日本製のポリエステルオーガンジーは170色もの色展開があり、軽くて柔らかな肌触りが特徴だ。また、安価だが強度のある安定した生地として世界的にも評価が高い。この生地で色々と試行錯誤を繰り返したことで、ラッフルテクニックが誕生した。
- HISTORY -
一夜にしてモード界の注目の的となった、NYでの初ショー
2019年2月のニューヨークコレクション期間中に「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のマディソンアベニュー店で、ブランド初となるファッションショーを開催。ドリーミーでクチュールライクなオーガンジードレスに身を包んだベラ・ハディッド(Bella Hadid)やエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)、ローワン・ブランチャード(Rowan Blanchard)ら人気モデルやセレブリティがウォーキングを披露した。VOGUEやBusiness of Fashionなど多くの海外メディアにレビュー記事が掲載され、一夜にしてトモ コイズミの名が世界に知れ渡った。
このショーは、世界的スタイリストであり『LOVE』マガジンの編集長も務めるケイティグランドの提案により動き出したという。ショーまで時間が少なかったが、ルックの半分は3週間という限られた時間で一気に完成させた。「それ以前はコスチュームとして扱われることが多かったのですが、ファッションブランドとしてカテゴライズされるようになって、ショーの直後から様々なオファーがくるようになりました 」というデザイナーの言葉からも、ニューヨークでのショーがブランドの今後を大きく変える重要な1日となった。
- COLLABORATION -
大胆なフリル使いで人気を集めた「サカイ」とのコラボレーション
これまで「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」や「フレッド(FRED)」など、数多くのブランドとの協業を発表してきたトモ コイズミ。2021年には「サカイ(sacai)」とのコラボレーション「サカイ x トモコイズミ」を発売し、人気を集めた。
「サカイ x トモ コイズミ」では、レッグウォーマーやサイズの異なるトートバックなど4型を展開。いずれのアイテムも大胆なフリルが特徴で、サカイのトレンチコートやミリタリーアイテムからインスピレーションを得たグラデーションカラーに仕上げられている。
- 2023 COLLECTION -
授賞式のようなショーで魅せた、2023年コレクション
モーリス・ラヴェルが作曲したバレエ音楽「ボレロ」が流れ、色鮮やかなドレスをまとったSUMIRE、森川葵、玉城ティナ、ローレン サイ、仁村紗和らモデルをはじめ、アイナ・ジ・エンドやリトル・ブラック・ドレス(Little Black Dress)などのアーティスト、歌舞伎役者の市川染五郎、大島優子、ともさかりえ、寺島しのぶらの俳優を含む13人が闊歩。会場は「ファッションショー」というよりも、アカデミー賞やトニー賞などの「授賞式」を思わせた。今シーズンのアイテムについて小泉は「出演者それぞれのスタイルに合ったデザインを1から考えて作り上げた」と話している。
- FAVORITE LOOK -
デザイナー小泉の好きなルック
デザイナーが特に気に入っているのは、ダイナミックなマーメイドシルエットのルック。シルバーのフリルが歩くたびに繊細に揺れ、優美な印象を与える贅沢な1着に仕上がった。
- FAVORITE ITEM -
ケープとしても使えるインパクト大のぺプラムがデザイナーのお気に入り
今シーズンのお気に入りアイテムとして、ケープとしても使用できるラッフルペプラムをピックアップ。デザインのポイントについて「2wayになり、どちらの使い方でもドラマティックでインパクトが大きいところです」と小泉はコメントしている。
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主要年表
【2021年】
「第39回毎日ファッション大賞」大賞受賞。
東京オリンピックの開会式で、国歌独唱を披露したMISIAの衣装を担当。
京都 二条城で希望と祈りを込めたファッションショーを開催。
ジュエリーブランド「フレッド」とコラボレーションジュエリーを発表。シグネチャードレスを再現した人形型ブローチを3種発売。
サカイ×トモ コイズミによる、フリルのグラデーションバッグ発売。
【2020年】
「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」の2021年春夏コレクションで、小泉智貴をゲストデザイナーに迎えたカプセルコレクションを発表。
デザイナーを発掘・育成するプロジェクト「SPOT LIGHTS by TOMO KOIZUMI」を始動。企画はアッシュ・ペー・フランス(H.P.FRANCE)が担当。
「LVMH Young Fashion Designers Prize」の2020年のファイナリストに選出。
【2019年】
第37回「毎日ファッション大賞」で選考委員特別賞を受賞。
NYの「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のマディソンアベニュー店で初のショーを開催。
【2017年】
スタイリストの遠藤リカによる展示イベント「ドレスの妄想」にて、ツリーとドレスとドッキングさせた「スペシャルドレスツリー」を制作。
【2016年】
レディー・ガガ(Lady GaGa)が来日時にトモ コイズミのアイテムを着用。国内外で一気に話題となる。
【2012年】
富永愛モデルデビュー15周年記念の写真集「SUPER Ai Tominaga」で、トモ コイズミの衣装を着用。撮影はレスリー・キー(Leslie Kee)が担当した。
【2011年】
大学時代に製作した洋服がセレクトショップオーナーの目に留まり、自身のブランドをスタート。
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