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ルメールとのコラボにみる、これからのユニクロの課題

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クリエイティブディレクター

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ユニクロがクリストフ・ルメールと共作した「ユニクロアンドルメール」が10月2日に発売された。

このコラムでも何度か触れてきたが、ユニクロは2006年のデザイナーズ・インビテーション・プロジェクトから国内外の新進、中堅を含め、デザイナーとのコラボ企画を実施している。

これまで国内ではシアタープロダクツやミントデザインズ、サイ、海外ではフィリップ・リムやジル・サンダー。毎年のようにコラボ企画を手がけ、レギュラーの商品とは一線を画するモードライクな市場開拓にも挑んでいる。

デザイナーズブランド側も、契約金やライセンス料など"カネ"に目がくらんだわけではないだろうが、ファーストリテイリング社の潤沢な資金力、アジアに広がる生産背景、まして捕捉しているマーケットは捨て難いはず。

キャッシュフローが進めば、銀行サイドやスポンサー筋の与信力がアップして、「次のコレクション開催がスムーズに行く」との皮算用もあるだろう。

一方で、クリエーターとしての血には逆らえない。自分が創りたい服や手がけたいビジネスがある。それがファーストリテイリング側の意向と折り合わないこともあるだろう。

柳井正社長は真意こそ語ってはいないが、経営者として「デザイナーが思い通りのものを創っても、売れるわけがない」というのが本音ではないのか。

ビジネスとして成り立たせるには、売場の声やお客の反応を重視したマーチャンダイジングが不可欠だ。それをもとにコレクションサンプルに修正を加えるから、商品もブランドも売れるのである。

結果として、よりマスなマーケットを掴むには、万人むけのベーシックなデザインにならざるを得ないわけだ。

ただ、こうしたビジネスライクなやり方は、得てしてデザイナー側の反発を招く。そこでファーストリテイリングとしてのギリギリの妥協点が、ベーシックに近い「ミニマルな作品」を生み出せる、いわゆるつぶしが利くデザイナーとの契約なのである。

ジル・サンダー然り、今回のクリストフ・ルメール然りである。アンダーカバーの高橋盾は、UUではプリント柄の妙で魅せてくれたが、こちらのコラボ商品もデザインはいたってシンプルである。

この辺の意図は、同社のR&D統括責任者である勝田幸宏取締役執行役員も、あるインタビューで「デザインを削ぎ落とした主張のない服がユニクロらしさでもある...(中略)これに価格の制限が入ってくる...」と語る。

さらにクリストフ・ルメールとのコラボについても、「...これまで構築的な服づくりで美しさを表現してきたが、今回は初めてエフォートレス(肩の力を抜いて楽に企画に臨むという意味か)に挑んだ」とも語っている。

コラボで生まれたデザインは、どれも虚飾はなく、襟や着丈といったディテールに多少デザイナーのエッセンスを出したくらいだ。今回のアンドルメールもジルサンダーとコラボした+Jの路線から大きく外れていないと思う。

問題はビジネス面だ。商品の展開方法や売り方は、どうなのだろうか。+Jで生じた課題を踏まえたのか。発売直後から1週間ほど経過した先週末に、筆者が居住する福岡市の中心部にあるミーナ天神店、キャナリシティ博多店をチェックしてみた。

店舗によってアイテムは異なる。立地が都心ではより多くのアイテムが展開され、少し外れると展開数は絞られている。スペースはキャナルシティ博多店の方があるのだが、展開アイテムは少ないことを考えると、売場面積は関係ないようである。

展開方法は、壁面にはめ込んだ棚&ラックでの「たたみ」と「ハンギング」。こちらは+Jと変わってはいない。新たな試みはプロモーション用の写真パネルを堂々と棚の上部に掲示した点だろう。

事前のプレスプレビューやパンフの配布、チラシ掲載などに力を入れているので、「関心があるお客は店内を探すだろう」という認識なのか。チェックした2店舗については、大々的なVP、売場販促、プロモーションといった類いはなかった。

では、買う側の視点での問題点を上げてみたい。まず、たたみ商品のサイズ確認がしにくいことだ。ハンギングされていれば良いのだが、自分のサイズが欠品していると、棚高いっぱいに積まれた在庫から確認しなければならない。

しかも、冬物だから肉厚で嵩張り、摩擦で商品1点1点が取り出しにくい。サイズ確認をするのにすべての商品を取り出さなければならないのは、不便さを感じる。

フィッティングルームまで行かず、その場でデザインやシルエットを確認するには、広げて見ることになる。だが、それを畳み直すのは煩わしいし、畳まないまま戻してしまうとぐちゃぐちゃで、後ろめたささえを感じてしまう。

しかも、棚高が高いので、上部の在庫は身長176cmの筆者でも背伸びしないと、戻せない。背が低い女性スタッフがいちいち踏み台を持って行くのも、面倒ではないか。

それがユニクロのVMDと言ってしまえばそれまでだが、お客が商品を確認しづらい点は、根本的に改善する余地があるのではないかと思う。

アイテムは冬物だからウール主体、アウター注力にならざるを得ない。クオリティは価格からすれば、あんなものだろう。

+Jのニットはローゲージのやや重たいものだったが、アンドルメールではレディスのカシミア混、メンズのラムウールとも幾分かは軽くなっている。

またレディスのクロップドセーター(3,900円)など、セレクトさえノーマークの商品を企画した点では、さすがクリエーターとのコラボ企画である。

布帛については、レディスのウールカシミアケープ(17,900円)、フーデットコート(14,900円)を確認したが、生地はレギュラー商品レベル、またレギュラーよりやや落ちるように感じた。他のニットアウターも同様の印象である。

配色ではダークグリーンやグリーンといったレギュラー商品にはないニューカラーが登場し、"ユニクロは色音痴"と言われ続けてきた悪評からは一歩抜けきった感じもする。

メンズでは、ウールカシミアコート(17,900円)、ウールカシミアノータックパンツ(7,990円)に限って、デザイン、生地の面でコストパフォーマンスは最高レベルだと思う。この2アイテムのクオリティには+Jにあった同じようなアイテムも及ばない。

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しかし、ノータックパンツは発売開始からわずか1週間程度(10月10日の時点)で、キャナルシティ博多店、ミーナ天神店ともに店頭では欠品、完売が出てしまっていた。

色は両店ともダークグリーンのみの展開だったが、ミーナ天神店は73cm1点を除きすべて完売、キャナルシティ博多店は売れ筋サイズなのか、ウエスト79cmのみが欠品。これには閉口した。やはり、お客は良い商品はちゃんとわかっているのだ。

スタッフに79cmのストックをたずねると、スマホで確認してくれた在庫表はすべて0。前にも同じようなことがあったから、おそらく近隣店舗の店頭在庫のことではないか。フォロー体制については、「店頭にはもう入って来ない」という回答だった。

さらにスタッフは「客注は受け付けますが...」と続けたが、その言葉に積極性は感じなかった。店頭在庫が無いのであれば、あとはネット通販で購入してほしいというのが本音ではないのだろうか。

だが、パンツはシルエットの問題があるし、着丈調整を考えると試着はしてみたい。筆者は自分で丈上げをすることもあるが、多くのお客は試着をしてお直しは店舗に頼むケースが一般的のはずある。

だとすれば、せめてパンツくらい、試着専用サンプルを置いててもいいのではないか。

いくらネット通販で丈上げ対応、返品送料を期間限定で無料にしても、お客にすればサイズが合わなかった、色がイメージと違ったなどの理由で、返品交換しなければならないのは非常に面倒である。

しかも、そうしたタイムラグがあることで、買いたかった商品が逆に売り切れてしまうのは、堪らなく辛い。

オムニチャンネル戦略を想定すれば、店頭販売とE-コマースをスムーズに連動させることが重要になる。ならば、せめて試着用として1カラーでいいから、全サイズ準備していても良いのではないか。

そうすれば、お客も安心して、ネット購入に移ることができる。むしろ、ユニクロのような業態こそ、ショールーミングを充実させ、実際にはネットで購入する方が合っているように思うのだが。

こうした体験を踏まえて、腑に落ちなかったのが先日の連結業績発表で、柳井社長が語った「トレンド読めずに大量欠品してしまった」という反省の弁である。

報道によると、「マストレンド、いわば世の中の変化、ファッションの変化を捉えられなかった。変化に対する注意力が足りず、生産の量やコレクションの幅も少なかった。その結果、ほとんどすべてのコア商品で欠品が起きた。ショートパンツやTシャツ、ポロシャツ...」だそうである。

ベーシックな商品を大量に売っていくだけでは、お客の変化にはついて行けないので、マスになるトレンド商品も仕掛けていく。その戦略はわからないでもない。

しかし、トレンド狙いの商品は売れ残りリスクもあるから、少なめの量しか投入しない。この中からヒットアイテムが出たら、売り逃しは避けられない。これはユニクロだけに限らず、ファッションビジネス全体が抱える永遠のテーマである。

ただ、ユニクロはグローバルSPAで、商品企画はオンシーズンの1年以上前にスタートする。そうして生産した在庫を積みまして売り減らしていく手法をとる。トレンド狙いが奏功してヒット商品が生まれると、なおさらフォローは難しい。

企画の段階で、どんなアイテムがトレンドになるかなんて予測できるはずもない。結果、柳井社長の反省の弁にあるように販売ロス、機会ロスとは切っても切れないのである。

かつて柳井社長は、「...自分たちは変えたと思っていても、知らないうちに従来と同じような品番、色構成、デザインのものを出していた。今後はバランスを考えながら、少しファッションの方に振りたい」と見直しを語ったが、「量を売るためのベーシック偏重は変わらない」とも語っている。

しかし、ユニクロのような売上げ規模になると、すでにトレンド狙いの商品を簡単に生み出し、フォローしていけるような体制にはない。ヒットアイテムの傾向は国別でも違うだろうが、筆者が経験したようにヒットアイテムがどの店も同じという共通点もある。

そもそもユニクロのような企業、ブランド、業態がトレンド商品をメーンにすることはできない。せいぜい、マーケットの間を埋める程度だ。だから、売上げが乱高下したり、低迷した要因は、マストレンドの欠品。そんな短絡的な問題ではないと思う。

レギュラー商品を含めて、「サイズの欠品」「色柄の手配ミス」「在庫バランス」など根本的な要因もあると思う。その辺の徹底した分析、精査が必要なのだ。

対策としては前年や前回のデータを下敷きに、「売れ筋になりそうなもの」「売れ筋にしていきたいもの」はサイズ、色柄などで在庫量をもっと厚めにするなど、リスク集中も必要だろう。

そうした手当てをITを駆使して十分に行った上で、店頭に試着サンプルを全サイズ用意するなどアナログ的な手法で、お客をスムーズにE-コマースに移行させる。まだまだ売場サイドで取り組むことがいくつもあるようだ。

柳井社長の反省の弁は、かつてGAPが直面した課題とも共通する。ベーシック路線ばかりを行き過ぎると、お客に飽かれてしまい、逆にトレンドを狙えば、逆に売れ残りや売り逃しが生じてしまう。経営者としてのジレンマでもあるのだろう。

しかし、そうした背景には、経営者の考えと現場の認識とに大きなズレがあるのではないか。いろんな課題を克服するには、もっと売場起点で取り組まなければならないということである。

ユニクロは小売業として世界の頂点を目指す限り、「ヒントは売場にある」からは避けられないのである。

釼 英雄

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