Fumitoshi Goto

米スポーツオーソリティ全店閉鎖にみる、これからのチェーンストアの生き残りに必要なこと

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■スポーツ専門店チェーンのスポーツオーソリティは25日、全店で閉店セールを始めた。同社は3月に連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請後、一部店舗の閉鎖や本社スタッフを含めた人員削減などのリストラを進めながら売却先を模索していた。買い手先が見つからなかったことで事業継続を断念し清算に踏み切った。すでに全463店で10%~30%オフとなるセールを行っており、段階的に値引き率を上げ、8月末までに全店を閉鎖する。同社CEOのマイケル・フォス氏は25日、閉店セールを前に「大変残念なことですが、8月末までに全店を閉鎖します」とし「スポーツオーソリティのチームを代表して、長い間にわたり当社をご愛顧いただいたことを感謝いたします。お客様やそのご家族にご奉仕できたことを大変うれしく思っております」と声明文を発表した。
スポーツオーソリティ1号店は1973年、フロリダ州フォートローダーデール地区にオープン。1990年にはKマートの傘下企業になるも、その5年後にはスピンオフを行っている。店舗数でディックス・スポーティング・グッズ(現在は約600店)より150店ほど上回っていた10年前、スポーツオーソリティは投資会社レオナルド・グリーン&パートナーズに買収された。最近ではアスレジャー(アスレチック:競技とレジャー:余暇を掛け合わせた造語で、フィットネスクラブやヨガスタジオで着るスポーツウェアを、普段着として着用するスタイル)のトレンドに乗り損ねた他、オムニチャネル化の流れにも後れを取り、ウォルマートやアマゾンなどの競合にシェアを奪われ、売上が低迷していた。
なおスポーツオーソリティは2003年、ガートスポーツ(Gart Sports)と統合したことで、同社の創業はガートスポーツが2001年に合併したオッシュマンズ・スポーティング・グッズ(Oshman's Sporting Good)の1919年となっている。

トップ画像:25日から閉店セール(GOING OUT OF BUSINESS!)を行っているスポーツオーソリティ。全463店で10%~30%オフとなるセールを始めており、段階的に値引き率を上げ、8月末までに全店を閉鎖する。

16年3月3日 - 【スポーツオーソリティ】、連邦破産法11条で破綻!140店舗を閉鎖してもまだ足りない?

16年5月3日 - 【スポーツオーソリティ】、全店売却で清算!消滅したサーキットシティが小型店で復活?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。企業清算時の全店閉店セールで、トップとなるCEOが顧客に向けてお別れの感謝文を発表するのは比較的珍しいことです。次の勤め先を探さなければならないスタッフにとっては慰めにもなりませんが...現場スタッフにリージョナル・スタッフ、(6月3日に閉鎖される)本社勤務スタッフから役員まで、これからが大変です。運が良ければ一部はスポーツオーソリティ跡地にオープンするディックス・スポーティング・グッズに再就職になるのでしょう。ただ、先に全店を閉鎖した同業のスポーツシャレーもあるので、再就職の競争率は高くなります。また、ディックスが出店しないスポーツオーソリティ跡地は、新たなテナント先も見つからず放置される可能性もあります。アマゾンなどネット販売により、品ぞろえを豊富にした大型店を出店しても以前のように売上は伸びないのです。「多店舗展開=成長」としていたチェーンストアの原則が崩れているのですね。

⇒未だにこの原則に縛られているように見えるのが日本のチェーンストア経営者。日本の市場や流通はアメリカより5年~10年遅れているので、まだチェーンストア原則が有意なのかもしれません。アメリカで100店舗展開の計画を明らかにしているのがユニクロです。ユニクロがスポーツオーソリティの跡地に出店するわけではないでしょうが、以前に比べれば出店はしやすいです。ファーストリテイリングCEOの柳井正氏が米国ユニクロの苦戦を認めながらも、アメリカでの100店舗展開をトッププライオリティ(最重要課題)としているニュースがありました。ニューヨーク以外では自分たちのブランドが認知されていないので地方都市にも積極的に出店しプレゼンスを増やすことで多くの人に知ってもらうということです。彼の考え方は「多店舗展開=成長」としていたチェーンストアの原則を踏襲しています。チェーンストア成長原則が崩壊しているため、今のままのユニクロを多店舗出店すれば、赤字が増えるだけだと後藤は思っています。

⇒今のアメリカは出店よりもIT投資です。多店舗展開よりオムニチャネル化を推進することです。地方に店を作るよりフルフィルメントセンターを追加稼働することです。ユニクロのレビューが書かれているこちらのサイトでは1ツ星以下のレビューで怒りに満ちた声が溢れており、オンライン注文やカスタマーサービス等で問題があることが分かります。ユニクロの場合は厳格な返品条件(ヒートテック等のパッケージ商品は封を切れば返品不可)にも問題があります。ミレニアム層はオンラインで注文して、すぐに手に入らなければSAYONARAです。オンラインストアやお店への返品でも顧客に手間を取らせたらクレームです(後藤が実践したトレーダージョーズでの非常識な返品を参考)。まさに若い層をターゲットにしていたスポーツオーソリティが競合ディックスに負けたのもオムニチャネル化でかなり遅れていたからです。オムニチャネルの「BOSH」「BOROS」「BORIS」「BOPIS」「BOSS」「BODFS」ステップを踏んだ展開ではありませんでしたから...
端的にいえば今のアメリカ市場では、出店するだけでは顧客を創造することはできないのです、柳井さん。

16年5月21日 - 【トレーダージョーズ】、日本では考えられない!非常識すぎる返品を実際にやってみた?

16年2月1日 - 【返品】、寛大な条件ほど売上増!ユニクロのヒートテックはアメリカでなぜ売れないか?

後藤文俊

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