■ウォルマートは9日、ベンチャー企業のフライトレックス(Flytrex)と提携してドローンによる宅配サービスのテストを始めたことを発表した。ノースカロライナ州ファイエットビルにあるウォルマートの店舗から食品や日用品をドローンで運ぶ。
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ドローン宅配はすでにドラッグストアチェーンのウォルグリーンが開始、ウォルマートはドローン宅配競争に若干遅れて参戦することになる。
ライトレックスはクラウド上でドローンの運航管理をできる技術を持ち、オンデマンド型のドローン配送サービスを提供するイスラエルのスタートアップ。
同社のサイトによるとフライトレックスのドローンは6.6ポンド(約3キログラム)の注文品を3.5マイル(約5.6キロメートル)先まで配送できる。
同ドローンは230フィート(約70メートル)の上空を時速32マイル(約50キロメートル)で飛行して、利用者宅まで届けるのだ。
利用者宅ではバックヤード(裏庭)もしくはフロントパスウェイ(玄関前の通路脇)の上空8フィート(2.4メートル)にまで下降し、注文品がついたケーブルを地面まで降ろして利用者に届ける。
ウォルグリーンは昨年10月18日、IT大手アルファベットの関連企業と提携したドローンを使った最初の宅配を行っている。ウォルグリーンがドローン宅配で最初のチェーンストアとなった事例だ。
ウィング・アビエーションのドローンを使った宅配が行われたのは、人口2.2万人のバージニア州クリスチャンバーグ地区。
届け先はこの地域に住むコリバー家で商品はウォルグリーンがセレクトした「咳止め風邪パック(Cough/Cold Pack)」。
風邪のひきはじめの客を対象にした詰め合わせには人気かぜ薬のタイレノールや咳止めドロップのホールズコフ、ビタミンC、ボトルドウォーターが入っていた。
ウォルグリーンのドローン宅配には他に元気な子供向けに「スナックパック(Snack Pack)」、アレルギー向けに「アレルギーパック(Allergy Pack )」、赤ちゃん向け「ベビーパック(Baby Pack)」が用意されていた。
なおドローン宅配の対象商品には風邪薬・アレルギー薬などの市販薬や食品・飲料など100アイテムがある。商品価格は店舗価格と同じで、ドローンを使った宅配手数料はテストのため無料となる。
その後もドローン宅配はウォルグリーン以外にも拡大し、ローカルのベーカリーショップやコーヒーショップから空からの出前も行っている。
クリスチャンバーグのローカル・ベーカリーショップ「モッキンバードカフェ&ベーカリー(Mockingbird Cafe & Bakery)」ではドローン宅配を始めたことで注文単価が通常時の倍近くになり、人気のクロワッサンやマフィン、アーモンド・マカロンが文字通り飛ぶように売れていると報じられた。
地元のコーヒーショップ「ブラフ・コーヒー(Brugh Coffee)」でもドローンの利用でコールドブリューコーヒーが通常時の店売りの倍になったというのだ
なおウォルグリーンからコリバー家まで注文品を届けたドローン(No. A1229)は商用宅配の成功事例としてワシントンDCにある国立航空宇宙博物館(Smithsonian National Air and Space Museum)に展示されている。
ウォルマートではウォルグリーン以上に山間部や田舎にある小さな町に展開する店舗が多い。迂回する道より空を飛んだほうが早く安く注文品も届けられる機会も多いのだ。ウォルマートも徐々にではあるがドローンを使った宅配を実践的に活かすことが増えてくるのだ。
ウォルマートがドローン宅配を使ったイメージ動画。食品や日用品など限られた商品をドローンで宅配できる市場は極めてニッチながらも存在する。ドローンが飛び交うような街は難しいが「ポツンと一軒家」が多いアメリカではドローン宅配の需要があるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。いつも言っているようにドローン宅配は技術的に別段難しくはありません。ただ住宅街では騒音やプライバシー、コスパ、安全性で課題が多いというだけです。日本ではポツンと一軒家は極めてレアな存在ので人気のコンテンツにもなります。しかし日本の25倍の面積となるアメリカの田舎ではポツンと一軒家ばかりでテレビ番組にするほど珍しくもありません。つまり過疎地の農村部の住民に向けたサービスです。が、儲けにはつながりません。ドローン宅配はどちらかというと竜巻やハリケーン等、被災した住民に向けて活躍するほうが多いのではないかと思います。ウォルマートも非常時のためのテストとしてやるのでは推測しています。自然災害等で被災した住民に食品や医薬品などいち早く届けたら、ものすごい宣伝効果になります。15年前のハリケーン・カトリーナ災害の際、FEMA(連邦危機管理庁)よりも早く被災地域住民に救援物資を配送したことでウォルマートはブラック企業の汚名を払拭したことがありましから。
ドローンの宅配で話題になるのは被災地での活動でしょう。もしくは山間部や農村部の住民に宅配テストしたら、注文品に食いついた家畜やペット、子熊を釣り上げてしまったとか...
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