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「パンク」という言葉を愛を持って更新しようとするキディル

ロックバンド「PSYSALIA 人」のライブパフォーマンス

ロックバンド「PSYSALIA 人」

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

ロックバンド「PSYSALIA 人」のライブパフォーマンス

ロックバンド「PSYSALIA 人」

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

「パンク」という言葉を愛を持って更新しようとするキディル

ロックバンド「PSYSALIA 人」のライブパフォーマンス

ロックバンド「PSYSALIA 人」

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

ライター / コーディネーター
倉田佳子

 世の中がここ数年でゆるやかなムードに包まれたと思えば緊迫感が張り詰めたり、急速な速さで動き出したと一歩踏み出せば鶴の一声で静止しなければいけなかったり、常に波に揺らされているような気分になる。いずれの状況においても、以前に増してわたしたちは権威化した硬直した枠組みや思想にとらわれず、きっと前よりも自分たちが信じる声をはっきりあげられるようになっている。「キディル(KIDILL)」を纏ったロックバンド・PSYSALIA 人が叫ぶ声を聴き、そう信じたくなった。

 ブランド初期の頃に比べると、キディルのコアとなる「パンク」は、最近になって音やビジュアルよりも精神性としてデザイナー・ヒロさんの心の中で鳴り続けている。

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 それは、近年のコレクションで迎え入れているコラボレーターたちから感じられていた。2021年1月のショーではレジェンドである灰野敬二氏の音が会場に緊張感をもたらし、6月には草月会館のイサム・ノグチ氏作の「天国」に非常階段のJUNKO氏の清い叫びが響き今年1月にsayaka botanicの演奏が広大な鳩山会館の静寂にノイズを走らせていた

 静かなだけではいられない蠢き。そのようにこれまで純粋にヒロさんの中にいき続けてきた「パンク」は、もう沈黙だけでは抑えきれないものに膨れ上がっていたのではないだろうか。それは前進するために自ら自分のほっぺを叩くような衝動的なものでもあり、ロックバンドと手を組む姿勢にはある種自ら原点に向き合う冷静さも同居してたように感じられた。どこか、いま言葉を轟かせないといけなかったような狂気的な憤りが、ショーの会場をあとにし、手元に届いたコレクションノートに書き殴られたヒロさんの言葉に宿っていた。

初期衝動とか、パンクだとか、いつまで言ってんだ厨二病かよお前。
だけど40歳超えてもやめられないんだわ。
くだらないプライドなんて、捨て去れ。心地いい今を、捨てろ。
がむしゃらに登り詰めて、その先を見据えろ。
大声を出して。怒りを持って、解き放て。
少しずつでも前に進んでいれば、当然いき詰まる。
だから自分を破れ!決して断念するな。
世の中なんてわからないことだらけ。今を痛み、楽しめ。
ロックバンド「PSYSALIA 人」のライブパフォーマンス

ロックバンド「PSYSALIA 人」

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

 2010年代に変革をもたらし、当時の形では終焉を迎えた「ストリート」の強さは、外部/アウトサイドから固定観念を時に真正面から打ち破り、時には同じルールに則りながらも内部から翻していくパラサイトのようなものがあった。そのフィールドで先陣を切るデザイナーたちの声・言葉に導かれた者たちが、次第にそこらじゅうで服作りだけにとどまらず、さまざまなアウトプットで表現し、コアに共感する者同士が親和性の高いコラボレーションを行っていくことで、最終的にトロイの木馬のような革命を起こしたのだ。

 実際同時代を体感したわけではないので、事実が正しいか/正しくないかはさておき、きっとヒロさんが服作りを始めた90年代終わり〜2000年代初頭も同じような時代のムードが流れていたのかもしれない。それも、インターネットもいまほど24時間オンラインになっていない頃に、従来の価値観に退屈した強い声とシンパシー。タブーがタブーではなかったような時代。

ロックバンド「PSYSALIA 人」のライブパフォーマンス

ロックバンド「PSYSALIA 人」

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 勢いを増したムーブメントは、いつしか「過去」のものになってしまうが、キディルは「パンク」という言葉が内包する商業的/純粋なイメージどちらに対しても常に愛を持って更新しようと果敢に声を荒げることで、自ら逸脱者だと証明してみせた。

KIDILL 2022年秋冬

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