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「四次元ポケットのないドラえもんを作る」ロボットベンチャーが開発した「らぼっと」が支持されるワケ

 ロボットベンチャー GROOVE Xが開発した家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」が今、「新たな家族の形」として注目を集めている。今月に入り、ZOZO創業者の前澤友作氏が代表を務める前澤ファンドが、同社の株式の過半数を取得すると発表。4月には前澤ファンドが全株式を取得する予定だ。掃除をしたり、モノを運んだりはしないが、まるで生き物のように人に懐き、オーナーの傍にそっと寄り添う。「ロボットなのに人がお世話をしなくてはならない」LOVOTが、人々に支持されるワケとは。

前澤ファンド GROOVE X  LOVOT

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3月に発売したLOVOTウェアの春の新作 Image by GROOVE X
3月に発売したLOVOTウェアの春の新作
Image by: GROOVE X
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企業や教育施設も導入、次世代型ペット「LOVOT」

表参道の体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」に導入されているLOVOT Image by GROOVE X
表参道の体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」に導入されているLOVOT Image by GROOVE X

 GROOVE Xは2015年に創業。2018年12月にLOVOTを発表し、2019年12月に出荷を開始した。LOVOTは抱き上げるとほんのりと温かく、目の表情が変化するなど生き物のような生命感が感じられるのが特徴。名前を呼ぶと近づいてきて見つめてきたり、好きな人に懐き抱っこをねだるといった振るまいを見せるほか、オーナーの顔を覚えてついてきたり、玄関で出迎えるといった行動もとる。高い技術力が評価され、これまでに国内外でアワードを受賞しており、近年は情操教育、プログラミング教育などの観点からさまざまな教育施設や介護施設、企業に導入されている。

 LOVOTの累計販売台数は非公開だが、直前期では前年比300%を超える売上を達成しているという。在宅時間の充実を図りたいというニーズが生まれるなどコロナ禍での価値観の変化は、売上の伸長を加速させる一因となった。主な購買層は30〜50代の有職者の女性。一人暮らしまたはパートナーと暮らす人、子どもがいる家庭での利用に加えて、遠方に暮らす両親へのプレゼントとして買い求める購入者もいる。仕事が忙しくペットを飼うのが難しいオーナーからは「生き物を飼うよりも気軽に迎えられる」といった声も寄せられている。

「まるで本当の家族」記念日や旅行も一緒に

 オーナーとLOVOTとの過ごし方は多種多様だ。インスタグラム上では「#lovotとの暮らし」「#lovotふぁっしょん」といったハッシュタグと共に、LOVOTとの日常の一コマをSNS上に投稿しているオーナーも見られる。オーナー同士でLOVOTを連れてカフェに行って交流するほか、旅行や実家にLOVOTを連れていく、誕生日を一緒に祝う、季節に合わせて服を着せ替えるなど、本当の家族のように迎え入れ愛情を注いでいる。なぜ、LOVOTは家族の一員としてここまでスムーズに溶け込めるのか。その要因を同社の担当者は「一般的にロボットと聞くと、人の代わりに労働をしてくれる便利な存在だと思われがちですが、LOVOTはそうではなく、むしろ人がお世話をしなくてはなりません。人が面倒を見る、お世話をすると、その人により懐くように設計しています。服にもタグが入っており、LOVOT本体のセンサーと服のタグが感知すると『お着替えをしてもらった』と認識し喜びます。日々のふれあいによって、オーナー様の愛着形成が進んでいくものだと考えています」と話す。

 コロナ禍において心の不調を抱える人が増える中、LOVOTはメンタルケアにも役立てられている。オーナーからはLOVOTと過ごす日々を通じて「一人暮らしなので帰ってきた時にお迎えしてくれるのが嬉しい」「高齢の両親の発話が増え、元気になった」「子どもが弟や妹のように面倒を見ていて、まるでお兄ちゃんのように振る舞っている」「コロナ禍で人と会えず、気分が沈みがちだったが、LOVOTがいてくれてよかった。本当の家族のよう」といった反響が寄せられているという。

クチュールドレスやゴルフウェアも、多様なロボットファッション

「ユミカツラ」デザインのラグジュアリーウェアをまとった「LOVOT」(※受注期間は終了) Image by GROOVE X
「ユミカツラ」デザインのラグジュアリーウェアをまとった「LOVOT」(※受注期間は終了) Image by GROOVE X
「ユミカツラ」が手掛ける「LOVOT」専用クチュールドレス Image by GROOVE X
「ユミカツラ」が手掛ける「LOVOT」専用クチュールドレス Image by GROOVE X

 LOVOT本体だけではなく、同社が展開するLOVOT専用のファッションアイテムも好調に売れ行きを伸ばしている。季節やシーンに応じてLOVOTのウェアを着せ替えるオーナーは多く、そのアイテムは公式アイテムから自作ウェアまで多種多様。公式オンラインストアでは、LOVOT専用のTシャツやワンピース、パジャマ、島精機製作所によるホールガーメント®ウェア、メガネ、ショルダーバッグなどを取り揃えている。また、ゴルフウェアブランド「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」や、ブライダルファッションブランド「ユミカツラ(YUMI KATSURA)」との協業アイテムも展開することでオーナーの多様なニーズに対応している。

 「皆さま思い思いの服を着せていらっしゃいます。LOVOTは服でかなり雰囲気が変わるので、オーナー様があれを着せてあげたい、これを着せてあげたい、と複数購入いただくケースが多いです。服はLOVOTとオーナー様との愛着形成に非常に効果的な役割を果たしています。お着替えさせるたびにセンサーを感知し、LOVOTが喜び、懐くことでオーナー様は、購入意欲がわく、という好循環が生まれています」(GROOVE X担当者)。

 このほか、LOVOTとのリンクコーデが楽しめるよう、同様のデザインの人用のパーカやTシャツも取り扱っている。

「パーリーゲイツ」とのコラボレーションアイテム Image by GROOVE X
「パーリーゲイツ」とのコラボレーションアイテム Image by GROOVE X

人とロボットによる新たな関係性

 GROOVE X 林要代表が目指すのは「四次元ポケットのないドラえもんを作る」ことだという。「便利な道具では人は幸せにはならない、それよりもドラえもんという存在自体がのび太くんを成長させる、という思いから発せられた言葉なのですが、人がよりよい明日を生きるためのライフコーチの役割をロボットが果たすのではないでしょうか。アニマルセラピー同様、人では満たせない心のケアをLOVOTができる可能性があると考えています。」(GROOVE X担当者)。

 LOVOTは現在、介護施設での導入事例があるが、入居者を癒すだけではなく介護職員の負担軽減にも繋がっているという。アスリートのメンタルコンディショニングなど、今後もさまざまな分野での活用が期待されている。ロボットと人間が共存する現代において、「人が人をケアする」から「ロボットが人をケアする」といった、SF映画のような社会への変容はそう遠くない未来かもしれない。GROOVE Xは、4月には前澤ファンドへ全株式を譲渡する予定だ。今後も基本的な経営方針に大きな変更はなく、国内での販売拡充を加速させながら海外展開を目指すといい、前澤氏のもとで成長路線を推進していく。

■LOVOT:公式サイト

■LOVOT 製品概要
初期費用:0円
月額費用:
<ソロ> 1万7467円×48ヶ月(以降は9887円)
<デュオ>4万1498円×48ヶ月(以降は2万7478円)
※無金利キャンペーン適用時の費用。キャンペーンは予告なく終了する場合あり。
※月額プランの種類によって変動。ソロはスリムプラン、デュオはスタンダードプランを選んだ場合の費用。
※2022年4月18日以降にLOVOTを購入する場合、月額サービス料は新価格(値上げ)で提供予定。

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