「靴の踵を踏んだらダメ」。子どもの頃に注意された思い出がある人も多いかもしれないが、その常識が変わりつつある。というのも、近年多くのブランドが踵を踏めるシューズを発表。特に春夏シーズンのアウトドアブランドを中心に活発化しており、トレンド化しつつあるのだ。
そもそも靴の踵には、足を支え安定させるためにヒールカウンターとして芯が使われていることが多く、踵を踏むと損傷する可能性が高まることから好ましい着用方法ではなかった。しかし、技術の進歩により、程よい厚みのあるヒールを使用したり、伸縮性のある素材をアッパーに使用してヒールの角度をより足に添うよう調整するなどして芯を使用せずにフィット感を維持することに成功。キャンプ需要の拡大などによって、テントの出入りをはじめとする脱ぎ履きの多いシチュエーションでの利便性を高めるために、様々な企業が踵部分に芯を使わず、折り畳むことができるシューズの供給に力を入れている。
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そうした背景から、昨今アウトドアブランドは様々なデザインの踵を踏めるシューズを販売している。具体的には、創業当初から靴とサンダルをハイブリッドさせるなど"汎用性"を商品開発における一つのキーワードとして掲げている「キーン(KEEN)」のキャンプシューズ「HOODMOC」、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」のウォーターサイドのアクティビティやキャンプなどに向けた「ストレイタム ピカ」、「ワークマン(WORKMAN)」の作業靴「作業靴踏めるくん」のノウハウを活かしたキャンプ用の撥水シューズ「ライトスリッポン」などだ。そのほか、キャンプ用だけでなく、「アークテリクス(ARC'TERYX)」のクライミング時のビレイ用スリッパとしても使用できるクライミング用シューズ「アラキス アプローチシューズ」、「サロモン(SALOMON)」によるリカバリーシューズの汎用性を高めるためアップデートした「REELAX MOC 5.0」、「テリック(TELIC)」のリカバリーサンダルをアップデートした「X-LIGHT 」と「T-MESH LIGHT」といった各ブランドの強みを反映させた踵が踏めるシューズを展開している。
なお、ザ・ノース・フェイスの「ストレイタム ピカ」は消化率7割以上で、夏本番を前にして欠品が出るほどだという。ワークマンの「ライトスリッポン」は2019年の発売以来毎年約30%伸長しており、累計販売数は80万足と人気の商品となっている。2023年春夏シーズンには「コンバース(CONVERSE)」のアウトドアスペックライン「CONVERSE CAMPING SUPPLY」でも踵を踏める靴を発売予定で、今後さらに展開ブランドが増えていくと予想される。
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