「商品解説動画は接客に近い効果がある」という後藤洋平代表
アメリカンビンテージに着想を得るメンズカジュアルブランドの「ジェラード」(東京、後藤洋平代表)は、ユーチューブを活用して新規客を増やしている。商品に込められたこだわりを語る動画が、視聴者の関心を引き、これまでアプローチできていなかった層にも認知が広まり始めた。
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ユーチューブを本格化したのは2年前。コロナの影響で、直営店の客数が大きく減ったことがきっかけだ。「強みの生地や縫製のこだわりなどを詳しく伝える接客ができなくなった」と後藤代表。展示会の開催も難しく、卸でも苦しんだ。
思いついた活路は、公式ユーチューブチャンネルで商品について語ること。開発に力を入れていたジーンズの解説の配信を始めた。
特に反応が大きかったのは、生地の解析のために貴重なビンテージジーンズのデッドストックを解体する動画。「高価なジーンズにはさみを入れるのは衝撃映像。文字や言葉で伝えるよりもインパクトがあった」とみる。
チャンネル登録者数は、配信開始1年で約1000人。現在も3500人ほどと決して多くはない。しかし、アメカジ以外の服好きや、ジーンズから離れていた大人の男性など、アプローチできていなかった層が店に訪れるようになった。卸先からも同様の報告が集まり、効果を実感したという。
接客にも変化が起きた。ユーチューブを起点に来店した客には、欲しいアイテムが決まっている〝目的買い〟が多く、動画でスタッフの顔を見たことがあるため、初対面でも打ち解けやすい傾向があった。
後藤代表は「動画で一度、接客ができている状態に近いのはアドバンテージだ。ただ、売れるアイテムが偏りがち」と分析する。ジーンズを中心に、Gジャン、サーマルなど動画で語った商品に人気が集中。在庫切れやサイズ欠けが多くなったため、対策を模索している。
今後は次のシーズンに出すアイテムの販促に力を入れる。「うちの凝った商品を支える国内工場はパンパンの状態。納期がかなり長くなっている。サンプルを使った解説動画で、入荷までの間を有効に使いたい」考え。
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