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ヤンキー熱再燃 “ドリギャル”油浦桃が描く新時代のドリフト文化【令和カーカルチャー④】

 Netflixのヤンキーの恋愛リアリティショー「ラヴ上等」が話題になり、北千住マルイの「大ヤンキー展」にZ世代が詰めかけるなど、平成のローカルな若者文化としてヤンキーに光が当たっている。かつてヤンキーや走り屋のものだった改造車やドリフト走行なども、Y2Kや平成レトロの流行、海外での映画「ワイルド・スピード」人気に後押しされ、いなたい文化として再評価されつつある。そうした変化を象徴する1人が、“ドリギャル”として注目を集める油浦桃さん。プロドライバーとしてドリフトの魅力を令和に伝える油浦さんは、実は渋谷109で販売員をしていた時代もある。ヤンキー仕込みの意地と張りで、ドリフトとアパレルブランド経営に打ち込む油浦さんを直撃した。

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“ドリギャル”油浦桃/プロドライバー

油浦桃のポートレート

(ゆうら・もも)1998年生まれ、埼玉県出身。バンタンデザイン研究所卒業後、アパレル販売員などを経て2022年にドリフトに出会い、ドリフトのプロドライバーを目指すことを決意。2024年に、ドリフト競技の最高峰カテゴリー「D1 GP」の下部リーグにあたる「D1lights」のライセンスを取得。自身のアパレルブランド「ブラックピーチ(BLACK PEACH)」も手掛ける。

「ドリフトはフィギュアスケートに近い」

サーキットで走行する油浦桃さんの車

レース中の油浦さん

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編集部

そもそも、ドリフト競技って何ですか?

自動車のレースだと、スピードを競うレースがイメージしやすいですよね。たとえるならそれはスピードスケートで、ドリフト競技は車体を真横に滑らせる技術や美しさを競うフィギュアスケート。ドリフト競技は、評価する人によって点数が異なります。

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油浦桃

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編集部

漫画やアニメの影響で、ドリフトは峠を走るものだと思っていました。それとは別に、競技としてのドリフトがあるんですか?

公道でのドリフト走行は法律違反ですが、ストリートのドリフトとサーキットで行う競技ドリフトでは、環境や目的が大きく異なると感じています。私は競技ドリフトから入っているので、サーキットでのドリフトの魅力や文化を中心に発信しています。

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油浦桃

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編集部

油浦さんがそもそもドリフトに興味を持ったきっかけは?

最初はヤンキーへの憧れからバイクに興味を持ち、バイク友達が「ドリフトもきっと気に入るよ」とサーキットに連れて行ってくれました。ドリフトって、爆音やタイヤの焦げる匂いなど、五感で感じるものです。実際に見ると、映像で見るよりスピードも速くて迫力がすごい。私も人を魅了する走りがしたいと心をつかまれました。皆さんにもぜひ生で見てもらいたいです。

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油浦桃

YouTube「ドリギャル油浦桃」から

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編集部

デモ走行を見たことがありますが、確かに大迫力です。運転していて、怖くないんですか?

事故の怖さもあるし、運転しているのは自分の車なので、ぶつけたらお金が飛んでいく怖さもあります。技術をつけても新しい怖さが出てくるので、恐怖は消えません。私は一度、デモ走行中に車が燃えてしまったことがあって、そのときは大きなニュースになってしまいました。

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油浦桃

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編集部

普段はどのように練習や活動をしているのか教えてください。

月に3~4回、サーキットでの走行会で練習して、2ヶ月に1度大会があって、月に1回イベントにゲストとして参加する、という感じです。タイヤはサーキットを数周すれば摩擦でダメになるので、それだけで4万円が飛んでいく。さらにガソリン代、サーキットまでの高速料、走行会参加費など、1回の練習で最低でも6万円はかかる。お金で離脱する人が多い世界です。

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油浦桃

アパレルブランドは「意地で」法人化

「ブラックピーチ」のアイテム画像
「ブラックピーチ」のアイテム画像
「ブラックピーチ」のアイテム画像

「ブラックピーチ」のアイテム。価格はTシャツで6000円前後が中心

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編集部

プロドライバーでありつつ、ご自身のファッションブランド「ブラックピーチ(BLACK PEACH)」も手掛けています。

ドリフトに出合う前は、アパレルをやりたいという夢がありました。ドリフトを始めてからは続けるためにお金が必要で、お金がないことを諦める言い訳にしたくなかった。それで、SNSなどを通して知名度もついてきたし、ブランドをやろうと。周りのプロドライバーは社長さんが多いので、私も社長になれば大好きなドリフトが続けられるんじゃないかと思ったんです。

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油浦桃

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編集部

油浦さん自身が経営もしているんですね。

アパレルの会社を法人にしたのは2022年。私は見た目がギャルだから軽く見られることがあって、信用が欲しくて意地で法人化しました。でも、そういう反発心があったから頑張れたと思う。今は私と、従業員1人でブランドを運営しています。

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油浦桃

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編集部

ブラックピーチのコンセプトを教えてください。

私の好きなものを形にしています。ヤンキーとギャルに憧れてそこを通ってきたから、自然と反映されていると思う。あと、普通はお出かけやデートでおしゃれをすると思うんですけど、うちの服はやっぱり走りに行くときが一番の見せどころ。ドリフトするときやバイクに乗るとき、車をいじるときに、一番カッコよくてかわいい格好をしてほしい。それで私は戦闘服って呼んでいます。

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油浦桃

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編集部

見た目がカッコいい、かわいいということも、ドリフトの魅力を伝えていく上では重要な要素の1つになりえますね。

ゴルフやスノーボードが流行ったのは、ウェアのかわいさによる部分も大きかったと思うんです。特に若い子にとっては、見た目の魅力は大事。ブラックピーチを通して、ドリフトのカッコよさを伝えていきたいです。SNSで発信するときに、かっこいい車とちょっと着飾った感じで表現できたらと思っています。

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油浦桃

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編集部

2026年の春は、ドン・キホーテとのコラボ商品を一部のドンキで販売しました。他の販路も教えてください。

自社ECとZOZOTOWNのほか、車のイベントにブース出展して売っています。ECとZOZOTOWNは女性比率が7割で、20代や10代が多いです。男性客が中心の車のイベントでも、ブラックピーチのお客さまの男女比は半々くらい。女子のファンを増やしたいと思ってブランドをやっていて、狙い通りになっている点は自慢したいところです。

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油浦桃

「女の子のファンが多いのが自慢」

油浦さんのインスタグラム(@yuuramomo7)投稿から

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編集部

ブラックピーチをきっかけに、ドリフトファンを増やしている手応えはありますか?

それは結構感じています。男性が支持してくれるのもありがたいですが、女の子の熱狂的なファンがついてくれているのがすごくうれしい。私やブラックピーチがきっかけで、ドリフトを始めたと声をかけてくれる女の子もいますよ。

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油浦桃

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編集部

格闘技イベントの「ブレイキングダウン」や起業リアリティ番組「令和の虎」などにも出演しました。なぜ出ようと思ったんですか?

ドリフトにお金がかかりすぎるので、インフルエンサーとしてもっと知名度をつけたいと思ったんです。ブレイキングダウンを通して、多くの人に自分を知ってもらえて、ブランドの売り上げにもつながったし、ドリフト自体も世の中に広がりました。令和の虎は出演する前に猛烈にアーカイヴ動画を見て、どの虎にどんなことを言われるか、かなり分析して臨みましたね。

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油浦桃

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編集部

Netflix「ラヴ上等」がバズるなど、近年はヤンキー文化のカムバックを感じます。油浦さんはヤンキーのどういう点に惹かれたんですか?

ヤンキーとギャルに、いい意味で自由さを感じていたんですよね。周りに流されず、「自分がいいと思うならそれでいい」と貫く姿やその思想がカッコいい。私自身は、中学時代は周りに合わせがちで振り切れていなかったんですけど、高校生になって、バイトでお金を稼ぐようになったら、どんどん好きなものを追求してギャルっぽくなりました。18歳のころは、渋谷109の「バックス(BACKS)」で販売員もしていました。

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油浦桃

 ドリフト走行する油浦桃の画像

レース中の油浦さん

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編集部

F1が注目され、海外でJDMが熱狂を生むなど、いま車カルチャー全体が盛り上がっています。

それはめっちゃ感じますし、車カルチャーとファッションとのつながりが濃くなっているような気がします。ブランドがレースに協賛したり、斎藤太吾さんという有名選手が「ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)」仕様にカスタムされた車に乗っていたり、そういう事例が増えていると感じますね。

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油浦桃

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編集部

最後に、油浦さんの今後の目標を聞かせてください。

「ドリフトと言えば油浦桃」と言われるような、歴史に名前が残るぐらいの存在になりたい。今は「D1lights」で戦っていますが、上のカテゴリーである「D1 GP」に出て、さらに優勝してみたいというのが競技としての目標です。ブラックピーチの目標は世界にブランドを広げること。ドリフトはいま欧米で非常に盛り上がっていますが、もともと日本発の文化だし、ドリ車(ドリフトに使われる車)もほぼ日本車。ギャルも日本発なので、ドリフトとギャルを私が世界に発信していきたいです。

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油浦桃

レッドブルがドリフトの大型イベント

「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子
「Red Bull Tokyo Drift 2026」の様子

大迫力の「Red Bull Tokyo Drift 2026」

 3月21日、横浜湾岸の工業団地エリアにある巨大物流センターで、レッドブル・ジャパンがカーイベント「Red Bull Tokyo Drift 2026」を開催した。展示ブースに集まった車は約500台、観客は約5000人と、同社が昨秋行ったカーイベントから大幅に規模を拡大。イベントの目玉は、ドリフトのデモ走行だ。耳栓をしても響いてくる爆音の中、白煙を上げて走る車に若いカップルも家族連れも車オタクたちも大興奮。アジア系、欧米系共に、海外客も非常に多かった。自慢の車を展示していたオーナーや、来場者のスナップを行った。

映画「ワイルド・スピード」作中で実際に使用されたマツダRX-8のオーナーである美容師の女性(26歳)。RX-8乗りだった母親の影響で車好きになったという

車友達だという東京と埼玉在住の4人。右手前の男性は仕事も車関係といい、愛車は「ワイルド・スピード」風にカスタムしたマツダRX-7(右)。左手間の男性の愛車はトヨタのスープラ

「エンジンルームにこだわっている」と熱く語る、ホンダ「シビック」オーナーの男性は29歳。福島から参戦

来日していたミュージシャンたちも興味津々

日本に住んでいるという2人

レッドブルと契約するプロトレイルランナーの上田瑠偉選手も来場

右の女性はファッションモデル。スタイリッシュな2人の雰囲気が会場に絶妙にマッチ

横浜の老舗カーショップ、ムーンアイズのクルー

「各地のカーミーティングによく遊びに行っている」と話す、22歳の愛知のカップル

日産スカイラインなどに乗っているというアラサー3人組。SNSを通じて仲良くなった車友達という

※背景に写る車のオーナーが別のケースも含まれます。
Images by:FASHIONSNAP(Kazuo Yoshida)

最終更新日:

FASHIONSNAP ディレクター

五十君花実

Hanami Isogimi

1983年愛知県出身、早稲田大学政治経済学部卒。繊研新聞記者、WWDJAPAN副編集長、編集委員を経て、25年10月から現職。山スキー、登山、ラン、SUPを愛するアウトドア派。ビジネスからクリエイション、ライフスタイルまで、多様な切り口でファッションを取材。音声、動画、コミュニティーなど、活字以外のアウトプットも模索中。

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