今年3月にオープンしたシテン1号店
Image by: FASHIONSNAP
ユナイテッドアローズが、2025年度を最終年度とした現中期経営計画で、本格的なリアル店舗の出店再開に踏み切る。今後3年で、国内外で約100店舗増となる見通し。既存ブランドに加えて、新規ブランドの出店も予定する。
同社は2022年度を最終年度とした中期経営計画で、不採算店舗の見直しや主力事業の収益改善などに取り組み、コロナ禍前の実績には及ばなかったものの最終的に各利益が修正計画を超過して着地した。松崎善則社長は「想定していた以上の成果」だったと総括している。不採算店舗の見直しと同時に新規出店も抑えた結果、店舗数は2019年度比で2割近く減少した。
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2023年度から取り組んでいる現中期経営計画では、既存事業で65〜75店、新規事業で約10店舗、「コーエン(coen)」で約10店舗程度の出店を計画するほか、台湾に10店舗程度を出店する予定。一部、退店予定のブランドもあるが、約100店舗の純増を見込む。主な出店先は、既存店舗が入居する商業施設になるという。松崎社長は「事業ごとで差異をつけていく必要がある」とし、明確に異なるコンセプトを持たせながらシーズンごとに複数店舗を同時出店する考え。今年3月からは「シテン(CITEN)」が常設店舗の展開をスタートし、3店舗を続けてオープンした。EC主軸のブランドとしてデビューしたシテンだが、松崎社長は「店舗としては小型だが、効率的な運営ができており、収益面を含め手応えを感じている」と語っている。
なお、前中期では大型店舗の撤退を行っており、「効率的に運営するのが困難」という反省点から現中期における大型店舗の出店は予定しない。
◆若年層ターゲットの新規ブランドを立ち上げへ
現中期の最終年度となる2025年度は、連結売上高1600~1700億円、連結営業利益90~100億円、連結営業利益率5.6~5.9%、ROE13.8~15.4%を目標に掲げる。CHROME HEARTS JP合同会社が連結対象から除外されて以降では最高水準となる。
達成のための課題では「年齢軸の拡大」「ファッションテイスト軸の拡大」「ファッションにとどまらないライフスタイル提案の強化」「オペレーションの効率化」を挙げる。年齢軸に関しては、現在の客層は30〜40代が中心で、10〜20代の若年層への訴求が弱まっているという。若年層の客単価は1万円台半ば〜2万円代半ばと高い水準にあることから、高いポテンシャルを見込み、取り込みを強化する。新規ブランドの開発においても若年層向けのプロジェクトを進めている段階で、これに加えてウェルネスに関連するブランドなどの立ち上げによって、ファッションテイスト軸の拡大やライフスタイル提案の強化を図り、「アクティブで幅広い世代にアピールできる企業ブランド」としてのイメージを再構築していく。オペレーションの効率化では設備投資を行う方針。デジタル施策では昨年3月にリニューアルを実施した自社ECサイトを継続的に機能アップしていくほか、ハウスカードプログラムや自社ECアプリの刷新を計画する。
■ユナイテッドアローズ 2023年3月期通期連結業績
売上高:1301億3500万円(前期比9.9%増)
営業利益:63億6200万円(同278.0%増)
当期純利益:43億4100万円(同492.6%増)
■ユナイテッドアローズ 2024年3月期通期連結業績予想
売上高:1383億円(前期比6.3%増)
営業利益:70億円(同10.0%増)
当期純利益:48億3000万円(同11.2%増)
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