Image by: Keiichi Sakakura
デザイナーの中本武志が手掛けるヴィンテージリメイクとカットソーを中心としたユニセックスブランド「マヌ ファベル(MANU FABER)」が、2024〜2025年シーズンに本格デビューする。
中本は、武蔵野美術大学空間演出デザイン科ファッションデザインコースを卒業後、輸入商社でインド国内の生地やアパレル製品の買い付けに4年間従事。その後、単身渡英してロンドンの古着屋やマーケットで素材のリサーチを約1年間行い、帰国後はリメイクブランド「キャピタル(KAPITAL)」のデザイナーとして3年間、「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」のメンズコレクションラインのニットカットソー部で5年間経験を積んだ。
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自身のブランドである「マヌ ファベル」は、2022年に設立。これまではポップアップでの一点物の販売を中心に活動してきたが、ルックとして世界観も含めた提案を行っていきたいとの思いから、今回初めてコレクションとしての展開をスタート。7月には初の展示会を開催した。また、同氏は2022年春夏コレクションより、「コッキ(KHOKI)」の外注カットソーパタンナー兼生産管理を担当。今後も自身のブランド運営と併せて、コッキでの活動も続けていくとしている。
2024〜2025年秋冬コレクション
Image by: Keiichi Sakakura
ブランド名の「MANU FABER」は、“工作的人間”を意味する「HOMO FABER」というヨーロッパの概念と、“手”を意味する「MANU」を組み合わせた造語。「手を動かし、創造することで未来を切り拓いていく」という意味を込めている。
ブランドテーマとして掲げるのは、デザイナー自身が大学の卒業制作から取り組んできた主題でもある「身体性」。「ランウェイショーではなく、パフォーマンスアーティスト集団『ダムタイプ』が手掛けるような表現の中にある服に“ファッション”を感じる」という中本が、リサーチを重ねる中で生まれた「身体と布の間のような服を作りたい」という思いがテーマの背景にあるという。
2024〜2025年秋冬コレクション
Image by: Keiichi Sakakura
ファーストコレクションは、デザイナー自身がインドを訪れた際に手に入れた、1963年刊行のインドの古典舞踊についての古書から着想を得て製作。古書に登場する手の表現をはじめとした「身体性」をテーマに、過去と現在、機能と手仕事を融合し、インドで買い付けたファブリックとヴィンテージ古着、カットソー素材などを織り交ぜたコレクションに仕上げた。
また、着想源となった古書を解体してスキャンし、生地買い付けの際にデザイナーがインドで撮影した写真などとともに再構成したコンセプトブック(通常盤:3300円/特装版:6600円)も販売する。
コレクションは、デザイナーのハンドメイドによるヴィンテージリメイクラインと、工場生産によるカットソーを中心としたベーシックラインの2軸で構成。リメイクライン(23万6500〜35万7500円)では、ヴィンテージのデニムジャケットにインド製のブロックプリント生地を構成して再構築し、さらにダメージ加工を施したジャケットや、ヴィンテージのミリタリージャケットに多くのキルティングステッチを施したアイテムなど計7型を展開する。
中本はヴィンテージリメイク品を製作する理由として、「一から何かを作るよりも、“もう既に世の中にあるものの見方を変える”ということをやりたいと考えている。例えば、古着好きの間では『このアイテムはこの年代がいい』といった決まった価値観がある中で、そこに別の要素を取り入れることでその価値をガラッと変えることができるのではないか」と話す。そのため、オリジナルで製作するカットソーラインについても一から形を作るのではなく、既に存在する形をベースに製作しているという。
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ベーシックライン(2万680〜8万3380円)からは、リメイクアイテムとのコーディネートを意識してデザインしたという前開きのボックスネックTシャツや、シンプルで直線的なシルエットのコットンやリネン、デニムのパンツ、型崩れしにくい横編みの裏毛素材を用いたボンバージャケット、カーディガン、スウェットパンツなど、計18型をラインナップする。
Image by: FASHIONSNAP
アイテムは全て受注生産で、2024年9月末〜2025年3月のデリバリーを予定。工場生産のベーシックラインのアイテムは、ブランドの活動拠点である宮崎をはじめ、鹿児島や福岡、大分など九州の縫製工場で生産を行う。今後は年に1回、7月ごろを目処に新作コレクションの発表と展示会の開催を予定しており、ブランドの公式オンラインストアのほか、セレクトショップなどでの展開も視野に入れているという。
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