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MASUの試作品オークションが開幕 「ジブリの原画展が許されるなら、服のトワルだって世に出していい」

トワル

Image by: FASHIONSNAP

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 後藤愼平が手掛ける「エムエーエスユー(MASU)」が、仮縫いを展示販売する企画「トワルチェック (TOILE CHECK)」を東京・代々木のTEN10 STUDIOで4月26日まで開催している。同企画は2年ぶり4回目。平日にも関わらずオープン前には入場列ができる盛況ぶりだった。

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 今回は、2024年秋冬コレクションから2026年春夏コレクションまでに製作した、トワル(仮縫い)やファーストサンプルなど約150点を展示販売。参加者が希望価格を用紙に記入して非公開で入札を行い、最高額を提示した人が購入券を獲得。会期終了後にアイテムが届けられる仕組みだ。そのままの仕様で製品化されたものはないため、いずれも一点もの。過去のイベントでは、1001円で落札されたものから、製品化された完成品の定価を大きく上回るものまでさまざまだったという。

MASUのトワル
MASUのトワル

 「ユーザーと製作プロセスを共有し、試行錯誤の跡を感じてもらうことで、服作りの苦しみと喜びを伝えたい」という後藤の思いからスタートした同企画。その言葉通り、カットアウトを何通りもハサミで試したジーンズや、ペンでギャザー位置の修正を書き込んだジャケットなど、デザイナーの手の痕跡が随所に見られる。それぞれのアイテムには、製作当時の感想や後日振り返った際の心境の変化などを記したコメントを添付。フリルをハサミで裁断した際のほつれについて「レーザーに変えないと、後々問題が起きそう」という技術的な改善点が綴られていたり、最終的な製品とは全く異なるデザインだったファーストサンプルについては「今見るとこっちのアプローチの方がよかったかもしれない」といった後悔まで明かすなど、作品と合わせてコメントを読むことで、作り手の視点から工程を追体験できる仕組みだ。

 初めて同イベントに参加したというファンは、「ルックで見てきた完成品に至るまでに、どのような判断の積み重ねや葛藤があったのかを知ることができるのはとても楽しい」とコメント。憧れていたテーラードジャケットに入札したといい、「学生はなかなか定価で買えないことも多いので、こうして手に取れるチャンスがあるのはありがたい」と喜びを口にした。スパンコールを編み込んだ特殊な生地に入札し、自身の作品の一部に取り入れたいと話す服飾学生に対して、後藤自ら端の処理や裏地の使い方などをアドバイスする一幕も。スタッフがフィッティングの相談などに親身に乗る姿もあり、“マスボーイズ”と呼ばれる熱狂的なファンダムが生まれる理由の一端が見られた。

 取材に応じた後藤は、「最近のファッションは、綺麗に整いすぎていてつまらない」と口にし、あらゆる工程を最適化して整理しようとする風潮への不満を吐露。「服作りは皆が思うほど華やかなものじゃなくて、泥臭い場面がたくさんある。パタンナーや縫製工場といった、たくさんの物作りのプロが携わってコツコツ作っているもの。そういうリアルをユーザーにもちゃんと知ってほしくて、トワルチェックを始めた」と同企画への思いを語った。

 同氏は、トワルやサンプルの魅力について「バラバラの色でテストされた刺繍サンプルとか、生地の切れ端とか、そういう製作過程で生まれる偶然の産物が、完成品よりもずっと心に刺さるという瞬間がある」とコメント。今後について「他のデザイナーさんが見ている景色も見てみたい」と話し、他ブランドを招いてトワルチェックを共同開催する可能性も示唆した。「未完成のものを見せるのがタブーのように思われているけど、僕が学生だったら作り手の視点を知ることができるのはすごく嬉しい。そもそもジブリの原画展が許されるなら、服のトワルだって世に出していいはず。この取り組みを続けることで、より多くの人に服作りの楽しさが伝わって、少しでも服を作る人が増えたらいいなと思う」と期待を語った。

MASU 2026年秋冬

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佐久友基

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、製薬会社に入社し着道楽を謳歌するも、次第に"買うだけ"では満足できなくなりビスポークテーラー「SHEETS」に弟子入り。4年間の修行の末「縫うより書く方が向いている」という話になり、レコオーランドに入社。シズニでワンドアなK-POPファン。伊勢丹新宿店で好きなお菓子はイーズのアマゾンカカオシュー。

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