
Image by: FASHIONSNAP
2021年にまな板と包丁の販売からスタートしたブランド「ミスティファイ(Mystify)」。手掛けるのは、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実だ。「M-1グランプリ2006」の王者となり、お笑い界の頂点に立った芸人が、なぜ自らブランドを立ち上げたのか。その根底には、長年抱き続けてきたメーカーへの強いリスペクトがあった。
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アウトドアを趣味にしており、多くのキャンプ動画を公開している徳井だが、ミスティファイのアイテムはアウトドアユースに特化している訳ではない。「アウトドアと都市生活の境界線を曖昧にしたいんです。キャンプが大好きな人でも、週に何度もキャンプに行くことはないですよね。普段の生活でも楽しく便利に使えることを念頭に置いてモノづくりをしています」。Tシャツなどのアパレルアイテムも展開しているものの、ブランドの軸となるのはあくまでもリュックやポーチなどのバッグ類だという。

主力商品であるリュックは、使用シーンを想定した3サイズで展開する。「1番大きい“キャンパー”は、キャンプはもちろん2泊3日ぐらいの旅行でも余裕。物をたくさん入れても重さを感じにくいように、ベルトやストラップなどの素材や仕様にはかなりこだわっています。真ん中の大きさの“デイズ”は、その名の通り通勤や通学などの日常向けで、ノートPCも入れられます。1番小さい“ピコ”は、女性やお子さんにも使ってもらうことを意識しています」。



ブランド始動から5年が経ったが、これまでの道のりは平坦ではなかったと徳井は振り返る。「打ち合わせとサンプル作成を何度繰り返しても、最終サンプルで『ここちょっと違う』みたいなことはよくありますね。デザインだけでなく、在庫管理や物流に関する業務も自分でやっているのですが、慣れないうちはかなり大変でした」。そこまでの手間をかけて、自身でブランドを運営するモチベーションとなっているのは、「メーカーへのリスペクト」だという。「具体的に挙げていけばキリがありませんが、アップル(Apple)や任天堂、カメラのシグマ(SIGMA)、他にも車や家電など、哲学を持ってモノづくりをしているメーカーに対して、昔から非常に強いリスペクトを持っていたんです。素晴らしいメーカーの素晴らしい商品を使っているうちに、『自分もメーカーになってみたい』という気持ちが生まれました」。


とはいえ、個人で運営する以上、大手メーカーと同じ土俵で戦うことは難しい。「今の僕のブランドの規模では、何千個、何万個というロットで作れないので、一点毎のコストは上がってしまいます。しかし、それを全て商品価格に反映させるわけにはいかないので、僕の利益を削ることで、お客さんに納得してもらえる価格にするという方法を取っています。だからうちの商品は、原価率が非常に高いんです」。そうした哲学のもと作られたプロダクトは、身近な人々の心も掴んでおり、芸人仲間やスタッフが購入してくれているという。「銀シャリの橋本(直)や、アキナの山名(文和)が使ってくれていますね。2人とも物へのこだわりが強いので、選んでもらえて嬉しいです」。


今後のブランドの目標について尋ねると、徳井からは「僕の名前が出ないこと」という意外な答えが返ってきた。芸人・徳井義実が手掛けているブランドという「冠」がなくても、商品自体に興味を持ってもらえるようなモノづくりを目指したいという。「売れることを優先するのではなく、『こういうものを作りたい』という気持ちを優先させたいですね。これまで僕は消費者の立場で、たくさんのメーカーさんにワクワクさせてもらっていたので、僕もお客さんにワクワクしてもらえるような商品を届けたいと思っています」。
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